設立3年目、従業員20人以下のfal.aiが約32億円の資金調達|PerplexityのCEOも参加

9月18日、開発者向けのAI生成メディアプラットフォームを提供するfal.aiが、シードおよびシリーズAラウンドで合計2,300万ドル(約32億円)の資金を調達したことを発表し、話題を呼んでいる。

1,400万ドルを調達したシリーズAラウンドはKindred Venturesが主導し、有名VCのAndreessen Horowitz(a16z)やFirst Round Capital、および Perplexity設立者兼CEOのAravind Srinivas氏、Vercel設立者のGuillermo Rauch氏といったエンジェル投資家が参加。シード ラウンドは上述のAndreessen Horowitz氏が主導し、Village Globalが参加した。

Image Credits:fal.ai

PerplexityやPhotoroomが利用するfalの技術

2021年設立のfal.aiは、開発者向けのAI生成メディアプラットフォームを提供するスタートアップ。共同設立者のBurkay Gur氏とGorkem Yurtseven氏は、それぞれCoinbaseとAmazonでエンジニアを務めていた人物。在職中に認識したAIインフラの課題に取り組む目的でfal起業に至ったという。

同社は現在、十数人のチームへと成長し、生成メディア向けの推論(インファレンス)クラウドを構築することを掲げている。設立3年目と若く小規模なチームだが、PerplexityやPhotoroom、Freepikなど、多くの有名企業がfalの技術を利用していることに注目したい。

Image Credits:fal.ai

falの推論クラウドは、その高速性とコスト効率に強みを持つ。さまざまなAIモデルを単一プラットフォームで利用でき、クラウド上で処理を行うのでソフトや機器の導入は不要。

常に最新AI技術へのアクセスが容易となり、リソースの拡張性も高いという。開発者はAIモデルを簡単にアプリに統合することができる。

企業は生成メディアを活用したい一方で、数あるモデルのパフォーマンスを最適化し、運用コストを管理し、ニーズに合わせてインフラストラクチャを効率的に拡張することに苦労していると同社は指摘。falはこの課題解決のため、拡散モデル用の推論エンジンに注力し、開発者がオープンソースモデルにアクセスするための超高速な推論APIと、研究室向けに最適化されたプライベート推論APIの2つの製品を展開している。

生成AIによるメディア業界変革の到達点を見据えて

同社は、設立からの3年間でSDXLやWhisperといったAIモデル向けに“最速”インファレンスを開発。AIモデルの実行を単に高速化しただけでなく、使用量ベースの課金モデルで低コスト化も実現した。今回の資金調達を報告するブログエントリでは、falプラットフォーム上で50万人の開発者獲得や、1 日に5,000万件の画像・動画・音声ストリーム生成、前年比10倍の収益成長などのマイルストーンが挙げられている。

Image Credits:fal.ai

また、映画・音楽・ゲームから広告、マーケティング、ソーシャルメディア、ファッションなどを含むメディア業界は現在生成メディアの台頭によって変革が進んでいると指摘。「この変革は、あらゆるコンテンツがAIで作られる状況になるまで続くと当社は考えています」「falを利用することで、各種メディア企業はこの変革の最先端に立つことが可能です」とした。

同エントリでは調達資金の用途に触れていないが、falは現在エンジニアやリサーチャーを募集して人員強化を図っている。拠点はサンフランシスコだが、完全リモート制で既存のチームメンバーは世界各地に散っているとのことだ。

参照:
fal.ai
fal.aiブログエントリ

(文・Techable編集部)

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