健康保険のHighmark、慢性腰痛の治療向けVRデバイス「RelieVRx」を保険適用に
2020年時点で、世界では6億1,900万人が腰痛に悩まされており、2050年までに8億4,300万件へ増加すると推定されている(参考)。特に米国では7,200万人以上が慢性腰痛(CLBP)に苦しんでいるという。
そんななか、米国ペンシルベニア州ピッツバーグに拠点を置く民間健康保険会社のHighmarkは、VRベースの医療プロバイダーであるAppliedVRと協力。Highmarkの商業保険加入者向けに、AppliedVRのCLBP用デバイス「RelieVRx」を保険適用治療として提供すると発表した。
慢性腰痛の治療向けVRデバイス「RelieVRx」
Applied VRは2015年に設立された米国のヘルステック企業。VRの特性を利用して慢性疾患の一部を治療する新しい医療機器カテゴリ「Immersive Therapeutics(ITx)」に取り組んでいる。
Applied VRの主力製品であるRelieVRxは、FDAに認可を受けたCLBP治療向けのVRデバイス。CLBPにうまく対処するスキルを個人に身につけさせるために設計された、完全没入型のVR体験を提供するというものだ。
認知行動療法(CBT)や身体意識、痛みから気をそらすスキル、リラクゼーション、行動変容など確立された疼痛管理テクニックを活用したセルフガイドセラピーを通じて、患者が自宅で痛みに対処できるように支援する。
事前承認なしでRelieVRxの処方を受けられる
1996年に事業を開始したHighmarkは、米国で個人・企業向けの健康保険プランを提供する非営利ヘルスケア企業。その加入者数は400万人を超えている。
今回のHighmarkによるRelieVRxの保険適用は、AppliedVRの広範な臨床試験の評価に基づくものだ。AppliedVRは昨年、自宅でのCLBP向けVR療法を評価する大規模な試験の結果を発表。1,000人以上の参加者のデータを活用したこの臨床試験では、RelieVRxのプログラムが患者の痛みの強度と疼痛の干渉を軽減する点で有効であることが実証された。
こうした臨床試験を含む評価を踏まえ、HighmarkはRelieVRxを保険適用した最初の民間医療保険となった。これにより、中等度から重度のCLBPと診断された18歳以上の医療保険加入者は、事前承認なしで医療機関からRelieVRxの処方を受けられるようになる。AppliedVRの共同創設者兼 CEOであるMatthew Stoudt氏は「没入型治療は、痛みに対する身体の反応を再構築する可能性を秘めています。数十年にわたる臨床証拠に基づくRelieVRxは、その可能性を明らかにするもの。当社は今後も、業界のスタンダードを更新し続けるために、さらに大規模な証拠の構築に注力する」と語った。
参考・引用元:
AppliedVR
RelieVRx
Highmark
PR Newswire
(文・Haruka Isobe)
ウェブサイト: https://techable.jp/
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