【ライヴレポート】Conton Candyが自主企画イベントで叫んだ、ライヴハウスへの愛──〈Conton Candy pre. “CHAOS!!!” Vol.1〉
2024年8月30日。台風10号(サンサン)の影響で日本中が大雨に見舞われ、まさに「混沌」とした天候のこの日。3ピース・ロック・バンド、
昨年2023年4月に配信リリースした楽曲“ファジーネーブル”をきっかけに、SNSを中心に多くの人の目につくことになったConton Candy。以降一気に勢いを増し、大型音楽フェスにも引っ張りだこ。いまのバンドシーンの新たな担い手として大きな注目を浴びている「今見ておくべきバンド」だ。
この日のチケットはソールドアウト。当日は前述の大雨が降っていたが、開場時間にはその勢いも収まり、彼女たちのライヴに合わせているかのようだった。フロアには、キャパシティMAXまで観客が集まっており、その期待値の高さを感じさせた。
対バンのThis is LASTの出番が終わり、ハナレグミの「音タイム」を出囃子に、メンバーがステージに現れる。ドラム前に集まると、円陣を組んで気合いを入れ、ライヴがスタートした。
セットリストの1曲目は、“好きなものは手のひらの中”。様々な想いを抱えながらライヴハウスに来てくれるファンのことを思い浮かべて書いた楽曲だ。楓華(Ba./Cho.)は、前列の客にグータッチで挨拶し、観客と近い位置でコミュニケーションをとっていく。そこから3人は、Conton Candyらしさ全開の疾走感溢れるサウンドで、観客の心をガッチリと掴んでいく。ライヴはさらに爽やかで疾走感のあるギターロック“baby blue eyes”、そして愛犬への大きな愛を伝える“プードル”へと続き、ボルテージをじわじわと上げていく。この序盤の3曲だけでも、Conton Candyがライブバンドとして熱いスピリッツを持っている事が、十二分に伝わってきた。
甘さを感じさせながらも、聴く者を惹きつけてやまない紬衣(Vo./Gt.)の歌声。抜群の安定感で、バンドを支える楓華のベース・ライン。常に笑顔を浮かべながらも、何食わぬ顔で脅威的な手数を叩き出す彩楓(Dr./Cho.)。そして、この3人の強靭なアンサンブルの力が、このバンドの1番の魅力である。SNSで注目を集めることになったConton Candyだが、それは単なるきっかけにすぎない。しっかりと実力があるからこそ、彼女たちのサウンドは、聴く者の心を掴むのだ。
MCでは、「楽しんでるー?」「スーパーかっこいいみなさん、ありがとうございます!」と挨拶。続いて、今回の “CHAOS!!!” ならではの企画として行った「セトリ1曲目予想企画」について話す。この日の1曲目の“好きなものは手のひらの中”は、普段ライヴの1番最後にやることが多いため、「当たった人は少ないんじゃないかなー」と話していた。
続いてのブロックは、“リップシンク”という楽曲からスタート。フロアを飛び跳ねさせると、今度は響き渡るクラップのなか、“花びらと生活音”を披露し、自分たちの世界へと誘う。さらにライヴはここからぐっとBPMを落として、「久しぶりにやります」と“milk”を熱唱。強いビートで引っ張る「剛」のタイプの曲だけではなく、「柔」らかな空気を纏えるのもバンドの強みのひとつだ。
ここで紬衣が
「思えばあの時にもらった色んな想いも 好き勝手に歌にできているなと思います
どうしようもなかった どうしていいかわからなかった
自分がどうか 少しでも前を向けるように
胸を張れますように」
という言葉を紡ぎ、バラード・ナンバー“もっと”を歌い上げる。途中「つらいのは自分だけじゃないよ」と声を投げかけ、Conton Candyというバンドの優しさを感じさせた。
万雷の拍手に包まれるなか、バンドは代表曲である“ファジーネーブル”をパフォーマンス。「Crest行ける?」という声に、Aメロからクラップが鳴り響く。サビはフロア全体での特大シンガロング。ファジーネーブルのカクテルのようなオレンジ色の照明の中、圧巻の演奏で観るものを虜にした。
その後のMCでは、彩楓が「紬衣の分まで歌いすぎて、声が枯れそう」と話す。楓華曰く、「声が大きすぎてツインボーカルみたいになってたよ」とのこと。会場は笑顔に包まれ、こういうにこやかな関係も、このバンドならではの空気感だなと思った。
このConton Candyが東京のライヴハウスに立つのは、6月22日〜7月7日にかけて開催された前回のツアー「Conton Candy ONEMAN TOUR “FORCE”」以来。2ヶ月近くもライブハウスには立っていないことになる。もちろんバンドはフェスやイベントで各地で大活躍だったわけだが、3人は「このライブハウスという場所に帰ってこれて、楽しい!」とその喜びを爆発させた。
ライヴはここから後半戦。「何かを失うことを恐れてしがみついていたい気持ちや、愛されなくなって孤独になることが怖い」という心を描いた“執着”、そして、バンドきってのキラー・チューン“ロングスカートは靡いて”へと雪崩れこむ。サビでは「歌って!」という紬衣の声に呼応するように、観客と一体となってひとつの楽曲を作り出していた。
ライヴを見ていて思ったのだが、Conton Candyは全員が観客としっかり目を合わせて演奏していることに気がついた。時折笑顔を見せながらも、ひとりひとりと目を合わせるのは、それだけ来てくれた人のことを大切に思っているからなのだろう。そしてそれが伝わるからこそ、3人は大きな熱気を生み出すことができるのだ。
ここからさらにクライマックス。“エンジェルスモーク”、“102号室”の2曲を畳み掛け、最後はステージを縦横無尽に走り回る。ラストチューン“102号室”の途中で、紬衣から「実は台風の影響で来れない人のために、“執着”のときからインスタライブを回していました!」との言葉が送られる。
ライヴハウスという場所は、様々な音楽、人、空気、それら全てが混ざり合う、まさに“混沌”とした空間である。そういう場所だからこそ、新たな出会いが生まれ、繋がりが生まれ、今日のような特別な1日を過ごすことができる。Conton Candyは、きっとライヴハウスという場所の素晴らしさを、多くの人と共有したかったのだろう。その想いが3人の気迫溢れるパフォーマンスから伝わってきた。
大きな拍手に導かれて、アンコールで再び姿を現した3人。ここでConton Candyから「大切なお知らせ」として、10月に初のフルアルバム『melt pop』がリリースされることを発表。ちなみに、この作品は、Conton Candyの「頭皮から足の裏までわかる」作品になるとのこと。この発表には歓喜の声が湧いた。
そこから始まったアンコールの1曲目は、アルバム『melt pop』に収録される新曲“急行券とリズム”。Conton Candyの持ち味である、爽やかな疾走感を感じるロック・ナンバーだ。この日が初披露にもかかわらず、大きな盛り上がりを見せ、バンドの新たな代表曲となる予感を感じさせた。ライヴはそこから、1曲目に披露した“好きなものは手のひらの中”を再び披露。大きな大きな多幸感に包まれながら、〈Conton Candy pre. “CHAOS!!!” Vol.1〉は幕を閉じた。
今、大きな大きな波に乗っている、Conton Candy。バンドはこれからまだまだ大暴れして、どんどん快進撃を続けていくはず。「ライヴハウス」という場所を大切にしながら、Conton Candyは、これからも自分の道を突き進んでいくのだ。
取材&文:西田健
写真:Ryohey Nakayama
Conton Candy pre. “CHAOS!!!” Vol.1セットリスト
M1.好きなものは手のひらの中
M2.baby blue eyes
M3.プードル
M4.リップシンク
M5.花びらと生活音
M6.milk
M7.もっと
M8.ファジーネーブル
M9.執着
M10.ロングスカートは靡いて
M11.エンジェルスモーク
M12.102号室
– ENCORE
EN1.急行券とリズム
EN2.好きなものは手のひらの中
リリース情報
Conton Candy 1st Full Album 『melt pop』
▼初回生産限定盤
CD+Blu-ray / UXCL-343 / ¥6,900(tax in)
▼通常盤
CD Only / UXCL-342 / ¥3,300(tax in)
[CD共通収録内容] 全15曲
01. 相槌
02. ファジーネーブル
03. BABY BABY
04. ロングスカートは靡いて
05. 花びらと生活音
06. 急行券とリズム
07. もっと
08. 桜のころ
09. TOKYO LONELY NIGHT
10. 爪
11. baby blue eyes
12. アオイハル
13. moonwalk
14. my JAM
15. 好きなものは手のひらの中
[Blu-ray]
「Conton Candy ONEMAN TOUR “FORCE”」
Live & Documentary Video
※2024年6月22日(土) 東京・SHIBUYA CLUB QUATTRO公演
01. 濁り
02. TOKYO LONELY NIGHT
03. 音の鳴る方へ
04. エンジェルスモーク
05. envy
06. ファジーネーブル
07. もっと
08. Darling
09. 花びらと生活音
10. baby blue eyes
11. アオイハル
12. リップシンク
13. ロングスカートは靡いて
14. プードル
15. 102 号室
En1. 相槌
En2. 好きなものは手のひらの中
※プレイバス対応:Blu-rayがスマホで観られるダウンロードカード封入!
<予約購入特典>
TOWER RECORDS オリジナル特典:クリア歌詞カード (全6種よりランダム1種)
ほか取扱店特典:“melt pop” オリジナルステッカー
ツアー情報
Conton Candy ONEMAN TOUR 2024 “melt pop”
2024年11月9日(土):北海道・SAPPORO SPiCE
2024年11月16日(土):宮城・仙台MACANA
2024年11月17日(日):新潟・GOLDEN PIGS RED STAGE
2024年11月23日(土):福岡・OP’s
2024年11月24日(日):広島・SECOND CRUTCH
2024年11月30日(土):愛知・NAGOYA CLUB QUATTRO
2024年12月7日(土):香川・高松DIME
2024年12月8日(日):大阪・心斎橋BIGCAT
2024年12月14日(土):東京・Spotify O-EAST
▼ファミリーマート先行受付中
https://eplus.jp/contoncandy/
※9/9(月)23:59までとなっております。
プロフィール
Conton Candy (よみ: コントンキャンディ)
Vo./Gt.紬衣(つむぎ)、Ba./Cho.楓華(ふうか)、Dr./Cho.彩楓(さやか)で構成される3ピースロックバンド“Conton Candy (コントンキャンディ)”。
2018年に高校の軽音楽部で結成。
ライブハウスを中心に活動しており、音楽フェスやイベントに出演すると軒並み入場規制がかかるなど、バンドシーンの台風の目となっている。
1st 配信シングル「ロングスカートは靡いて」で、音楽配信サイト「Eggs」年間ランキングのアーティスト別・楽曲別ともに1位と二冠を達成。23年4月に配信リリースした「ファジーネーブル」はSNSを中心にバイラルヒットし、各音楽チャートを席巻するなど話題に。
2024年10月には初のフルアルバム『melt pop』をリリース予定、さらに11月からはConton Candy自身最大規模9都市9公演のワンマンツアー「Conton Candy ONEMAN TOUR 2024 “melt pop”」の開催を予定している。
ノイジーでポップなサウンドに、誰しもを惹きつける紬衣の歌声、そして双子のリズム隊が織りなす唯一無二のグルーヴが重なり、観るものを”混沌”の世界へと惹き込む。
HP:https://lit.link/contoncandy
公式ファンコミュニティ「Fanicon」:https://fanicon.net/fancommunities/5736
X(Twitter):https://twitter.com/Conton_Candy
Instagram:https://www.instagram.com/contoncandy_official/
YouTube:https://www.youtube.com/c/ContonCandy
TikTok:www.tiktok.com/@contoncandy_official
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。