山形冷やし文化。冷やしラーメンにシャンプーも!夏におすすめ店
「冷やし」にはさまざまある。今回訪れた冷やしは、本来は熱いが、夏季だけ冷やされているものだ。冷やしラーメンだったり、冷やし肉そばだったり、冷やしシャンプーだったりする。そう、そんな冷やしが山形にはあるのだ。
私は原稿を書いたり、写真を撮ったりする仕事をしている、東京で。だから暑いのだ、毎日なぜこんなに暑いんですか? と疑問に思うほど。暑いと疲れるし、冷やしを求めているのだ。
そこで山形に旅に出ることにした。JR東京駅からJR山形駅まで、山形新幹線のE8系車両に乗れば最速で2時間20分ほどで着いてしまう。山形で冷やされて日々の暑さと疲れを癒やすのだ。
東京駅を出発
山形へ冷やしを求めて
山形には「冷やし●●」がたくさんある。それはなぜか? 山形市が暑いからだ。盆地に位置する山形市は、2007年に熊谷市と多治見市に抜かれるまでの74年間、日最高気温を保持していた。冷やしを求めて「冷やし●●」が生まれる理由がわかるだろう。
東京駅から山形駅までは山形新幹線で早ければ2時間22分。あっという間だ。ちなみに、「JR東日本びゅうダイナミックレールパック」を利用すると、新幹線と宿がセットでお得に予約できる。どのくらいお得になるかは記事下部で。
山形駅に着いて温度計を取り出した。数字は「36度」だった。東京より暑い気がする。でも大丈夫、ここからが夏の山形の本領発揮。冷やしがあるのです。
山形冷やし文化1/冷やしラーメン
冷やしラーメンを食べる
まずは「冷やしラーメン」を食べるために、山形駅から徒歩20分ほどの場所にある「栄屋本店」に向かう。バスでも行けるし、「山形市コミュニティサイクル」もある。私は歩いて向かった。知らない街を歩くのが好きなのだ。ただ……、暑いからバスがよかったかもしれない。
ラーメンといえば普通、熱いものを想像する。冷たいラーメンだと「冷やし中華」を思い浮かべるはずだ。しかし、「冷やしラーメン」は違う。ラーメンが冷えているのだ。見た目は普通のラーメンと変わらない。よく見ると違いに気が付くけれど。
キュウリがのっている。氷も浮かんでいる。冷やしラーメンなのだ。栄屋本店は1932年(昭和7年)創業で、冷やしラーメンは1952年(昭和27年)から提供されている。冷たいスープでも脂が固まらないように改良するため、開発に約1年もかかったという。
せっかくなので、今回は非接触の温度計を持参している。冷やしラーメンは15.8度だった。物理的に冷たい。食べると頭が混乱する。ラーメンなのに冷たいからだ。ただ、文句なしでおいしい。ラ・フランス果汁が入っているため爽やかな風味。味わいも爽やか。求める冷やしがここに詰まっている気がする。
山形冷やし文化2/冷やし肉そば
冷やし肉そばを食べる
栄屋本店からさらに20分ほど歩くと「山形一寸亭(やまがたちょっとてい)」がある。もちろんバスでも行けるけれど、私は歩いた。途中で「水の町屋 七日町御殿堰」などを見た。街並みも素敵なのが山形市のいいところだ。
山形一寸亭で食べる冷やしは「肉そば」。冷やし肉そばというものがあるのだ。山形県河北町のそば屋には必ずあるメニューで、山形一寸亭は山形市で最初に冷やし肉そばを提供したお店だ。
1960年(昭和35年)から提供しているが、人気になったのは2000年頃からと聞いて驚く。普通の肉そばは若鶏を使うけれど、冷やし肉そばは親鶏を使う。それは、親鶏は脂が少ないからで、冷やしても脂が固まらずおいしさだけを堪能できるから。
最初は、親鶏は若鶏に比べて肉が硬いので受け入れられなかったらしいが、店主は「絶対においしい!」と信じて続けたそうだ。
食べると店主の「絶対においしい」は間違いないとわかる。私も全く同じ感想を持った。肉そばなのにあっさりしていて、ほてった体を心地よく冷やしてくれる。いくらでも食べ続けることのできる味だ。多くの人がそう思うようで、冬場ですらここに来る人の6割は冷やし肉そばを頼むそうだ。もはや季節を超えて冷やし肉そばは愛されているのだ。
冷やしラーメンに比べれば温かいとも言えるけれど17.9度。温泉などにある水風呂がだいたい16~17度なので冷やし肉そばはそれくらいの温度ということになる。つまり冷たいのだ。そして、おいしいのだ。
人気になるまで時間がかかったけれど、出し続けてくれてよかった。今では行列のできるメニューになっている。地元のそば粉を使った麺も出汁によく馴染んでいた。
お店を出た後は、山形市のいろいろな、
ものを見て、
山形駅近くのホテルに泊まりました!
山形冷やし文化3/冷やしシャンプー
冷やしシャンプー
1日目は、食べ物により私は「冷やし」と「癒やし」を手に入れた。2日目も冷やしと癒やしを手に入れようではないか。
ちなみに2日目の山形は曇っていた。曇っていたけれど、安心してください。32度あります。本日は冷やしシャンプーだ。シャンプーだって冷やされているのだ。
山形駅から列車に乗って1駅、JR北山形駅へ。
北山形駅から歩いて5分くらいで、冷やしシャンプー発祥の店「メンズ・ヘアリズム」に到着。ちなみに、冷やしシャンプーは山形県内の300ほどのサロンで堪能することができる。
冷やしシャンプーを提供している期間は、例年6月18日から9月18日まで。9月18日で終わるって早くない? と思うかもしれないけれど、その頃から山形では芋煮が始まる。本当に暑い時期だけ楽しめる冷やしと癒やしなのだ。
冷やしシャンプーの特徴は、メントール系であることだけれど、それだけではない。シャンプー(トリートメントも)自体を冷蔵庫などで冷やしている。メンズ・ヘアリズムでは氷水に入れて冷やされていた。これによりシャンプーは物理的に2度まで冷えるという。
めちゃくちゃ頭が冷える。頭が冷えると身体中が冷えてくる。店主の大沼さんが1995年に暑いからシャンプーを冷蔵庫で冷やして仲間に試したところ好評で、2004年からは多くのサロンで提供されるようになった。オプションもあって、たとえば氷を頭の上に盛ってくれる。
メントールも効いているので、頭が冷えること、冷えること。目が醒める気がする。何より気持ちがいい。秘められた自分の力が目覚めるような冷やしがあるのだ。
こちらのシャンプーなどはオリジナルで、さくらんぼエキスが配合されている。山形らしくて実にいい。
髪を切らなくても冷やしシャンプーだけで予約することができる。シャンプーをして、トリートメントをして、乾かしてもらって20分くらいだろうか。冷やしと癒やしがある20分だった。外に出ても頭がスースーして気持ちがよかった。
山形の郷土料理をランチで堪能
地元食材と文化で癒やしと冷やし
旅の最後はランチだ。北山形駅から列車に乗り、約10分という短い列車旅でJR羽前山辺(うぜんやまべ)駅へ。羽前山辺駅は2024年3月に駅舎が新しくなった。山辺町で生産が盛んなニットの編み目模様がデザインに取り入れられている。
駅から徒歩5分ほどで「天然手造り味噌醸造元 お惣菜とお食事の店 ヤマキチ」に到着する。ヤマキチは明治から続く味噌の醸造元で、手づくりの味噌や塩麹などを使ったランチもいただくことができる。
ランチは地元の食材を使った月替わりで、私が訪れたときは、山形セルリーを使った和え物や、山形県産アロエベラにすだまりをかけたもの、山辺町産の葉わさびを使った焼きおにぎりなどが並んでいた。
これが本当においしい、全てがおいしい。おいしいとばかり書くと語彙力が無さすぎると感じるかもしれないけれど、今までおいしいと食べていたものとは別のカテゴリーのようなおいしさなのだ。全てが丁寧につくられている感じで、素朴だけれど古臭いわけではなく、食べると食材の背景が見えるようなおいしさなのだ。上手く伝えられないけれど、一言で表すとおいしいということになる。
心が落ち着く感じで、冷やしを謳っているわけではないけれど、その味には安心感があり清涼感を生んでいた。冷やしから来る癒やしではなく、癒やしから来る冷やしなのだ。また行きたい。あと純粋にセルリーとかアロエベラとか変わった地元食材を食べられたのもうれしかった。
山形冷やし文化4/すだまり氷
帰京とすだまり氷
ヤマキチを出て東京に帰った。冷やしと癒やしが両立した素晴らしい旅になったと思う。山形は温度計が示す数字は高かったけれど、「少しも暑くなかったわ」と帰りの山形駅で一人言ってしまった。
実は、お土産がある。ヤマキチの「すだまり」を買ってきたのだ。山辺町には昔から、イチゴシロップなどのかき氷に酢醤油をかけて食べる「すだまり氷」というものがあるのだ。その酢醤油が「すだまり」としてヤマキチで売られていたのでした。ちなみに、ランチのアロエベラにかかっていたやつです。
甘みの後にやってくる適度なしょっぱさと酸味が山形で感じた清涼感だった。大人の味と言えばいいのだろうか。ヤマキチの店主にお話を聞いたら、子どもはあまり食べないけど、大人は食べると言っていた。確かにそんな味と冷やしだった。
今回は行けなかったが、山辺町にはすだまり氷が食べられるお店が何軒かあるという(※)。次は、すだまり氷も食べに行きたい。
※編集部注:山形県山辺町で「すだまり氷」を食べられるお店はこちら
東京駅に到着
掲載情報は2024年8月20日配信時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
ダイナミックレールパックでお得に旅行を予約!
地主恵亮さんの山形冷やし文化を巡る旅、いかがでしたか? 冷やしラーメン、冷やし肉そばに、冷やしシャンプーと体の内と外から、ひんやりしていましたね。「山形で冷やしと癒やしを体験したい!」というあなたには、列車と宿がセットでお得に予約できる「JR東日本びゅうダイナミックレールパック」がおすすめです。
今回ご紹介した旅のプランで、列車と宿を別々に予約した場合と料金を比較してみると、単純計算で13,900円(※)もお得に旅が楽しめます。さっそく、次のお休みは山形の旅に出かけてみませんか。
【今回の旅プランの場合】
- 列車: JR東京駅⇔ JR山形駅 山形新幹線(つばさ号)普通車指定席利用
- 宿:「ホテルメトロポリタン山形」 1泊2日 食事なし(2名1室利用)
- プラン名:【山形駅東口直結】 メトロスタンダード/素泊まり
- 部屋タイプ:【禁煙】サウスタワーツイン(南館)/20平米
① JR東日本びゅうダイナミックレールパックで予約した場合
旅行代金(目安額):22,000円(おとな1名)
② 列車と宿を別々に予約した場合
旅行代金(目安額):35,900円(おとな1名)
<内訳>
新幹線の指定席特急券と乗車券 22,900円(※)
ホテル公式サイトで予約した宿泊費 13,000円
★単純計算(②-①)で13,900円もお得!
※①②ともに旅行代金は、2024年8月2日時点の2024年9月29日に出発する場合の金額です。
※往復JR+宿泊(2名1室利用時)のおとな1名の旅行代金で比較しています。
※ダイナミックレールパックは、価格変動型の個人旅行商品です。予約操作時期により同一内容でも旅行代金が異なる場合があります。
※ダイナミックレールパックの旅行代金に含まれるのは、往復JR+宿泊のみです。現地での移動・飲食等にかかる費用は含まれておりません。
今回の旅の行程
【1日目】JR東京駅→JR山形駅→栄屋本店→山形一寸亭→JR山形駅(ホテル)
【2日目】JR山形駅→JR北山形駅→メンズ・ヘアリズム→JR北山形駅→JR羽前山辺駅→天然手造り味噌醸造元 お惣菜とお食事の店 ヤマキチ→JR羽前山辺駅→JR山形駅→JR東京駅
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