英国リバプール市、“ソーラーゴミ箱”試験導入へ|センサー搭載で満杯を通知、ゴミ収容量もUP
自治体のゴミ捨て場に設置されている“ゴミ収集ボックス”。しかし、入りきらなかったゴミ袋が収集ボックスの周りに山積みになる……そんな光景を目にしたことはないだろうか。
こうしたゴミ問題は日本だけなく、他国でも早期解決が求められている。英国のリバプール市では、専用のゴミ箱・ゴミ袋を指定の場所に置くのだが、都心の集合住宅の場合はゴミ箱を置くスペースがなく、ゴミ袋が路上に溢れてしまうという問題があった。
そこでリバプール市議会は2022年に、ゴミ問題の解決を目的としたプログラムの一環として、市内複数個所の地下に巨大なゴミ箱を設置。そして2024年8月、ゴミ箱を空にする手間を軽減する「ソーラーゴミ箱」の試験導入を行うと発表した。
ソーラーゴミ箱で、多くのゴミが収容可能に
リバプール市議会が試験導入するソーラーゴミ箱にはセンサー技術が組み込まれており、満杯に近づくと圧縮機が作動してゴミを粉砕し、通常のゴミ箱よりも最大100%多くのゴミを収容できるようになるという。
ゴミがほぼ満杯になると廃棄物処理場に信号が送信される。収集効率が向上するため、ゴミ箱を空にする時間と収集車由来の炭素排出量の両方が削減される。
第一陣として設置されるソーラーゴミ箱は20個で、ライムストリート広場やセフトンパーク、ニューシャムパークなど、市内の主要エリアでテストされる予定だ。
ただ、リバプール市議会の近隣地域担当執行部のLaura Robertson-Collins議員によると、ソーラーゴミ箱の導入はあくまでも試行段階であり、結果を分析して実際の影響を評価し、今後の展開を検討する必要があるとのこと。
また、同氏は「新しい技術に投資するだけでなく、市民にもゴミをゴミ箱に捨てるという役割を果たしてもらう必要があります。リバプールをきれいに保つには私たち全員の多大な努力が必要です」と語っている。
市内の地下に巨大なゴミ箱を設置
リバプール市議会はソーラーゴミ箱の試験導入を発表する前から、ゴミ問題の解決に向けた取り組みを行っている。2022年には、ゴミ箱を置ける路地がない地域の地下に巨大なゴミ箱を設置する計画を開始。14の導入エリアでは、ゴミ袋関連の廃棄物が80%減少し、害虫の報告も50%減少した。
リバプール市議会によると、力や運動能力が限られている人でも利用しやすいよう、フットペダルで操作するタイプをはじめ、複数のタイプを用意したという。
街路清掃・ゴミ処理の満足度向上を目指す
2023年5月から2024年5月の間に、リバプール市議会には4000件以上の路上清掃の要請があり、不法投棄に関する問い合わせは17000件あった(参考)。昨年度の市内における街路清掃・ゴミ処理の満足度は39%と評価され、同年度の全国基準61%よりも大幅に下回る結果となった。
こうした課題を受け、今年7月にリバプール市議会は、街の清潔さに関する満足度の向上を目的とした250万ポンドの計画を承認。そのわずか数週間後にソーラーゴミ箱の試験導入を発表したという流れだ。
同計画では複数の既存チームを統合して新たにタスクフォースを結成、環境・反社会的行動を取り締まる予定。さらに、外部の請負業者も任命してタスクフォースの取り締まり活動支援に充てる。今後リバプール市議会はゴミの投棄、不法投棄、その他の環境違反(落書きや犬のフンなど)に対する固定罰金通知を、新しい法律で許可されている最大レベルまで引き上げることを目指す方針だ。
参考・引用元:
Liverpool City Council News①
Liverpool City Council News②
Liverpool City Council News③
(文・Haruka Isobe)
ウェブサイト: https://techable.jp/
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