精神医学用語の「パリ症候群」とはどんな症状が出るもの?日本人特有って本当?

精神医学用語の1つに「パリ症候群」というものがあります。
「パリ症候群」はフランスに行った人が精神的に体調不良を引き起こすという珍しい症状です。
しかも、この「パリ症候群」は日本人に多い症状なのだとか。

今回はそれら「パリ症候群」がどのようなものなのか解説します。
ここでは「パリ症候群」になる理由や原因についても説明するので、ぜひ参考にしてみてください。

「パリ症候群」とは

まずは「パリ症候群」がどのようなものなのかを見てみましょう。

1990年代に提唱された「パリ症候群」

1990年代、日本ではこの時代から海外へ渡航する方が激増し、空前の海外旅行ブームが訪れていました。

事実、たくさんの日本人が世界に夢を見て旅立ちました。
そんな中、フランスに滞在していた一部の日本人の間で精神的不調が見られるようになったそうです。

その症状は様々で抑うつ症状や不眠をはじめ、人によっては被害妄想や幻覚まで訴える人がいたのだとか。
これは「単なる旅疲れ」だと思うかもしれません。
しかし、実はまた別物なのではないかと考えられています。

むしろ自律神経の乱れによって不調を感じることが多いそうな。
その結果、精神医学用語として「パリ症候群」が確立されるに至ったそうです。

適用障害の一種とされることも

「パリ症候群」は適応障害の一種とされています。
症状は抑うつ症状や不眠、被害妄想、幻覚が多いとのこと。
人によっては感覚過敏になり、さらに病んでしまうこともあるようです。

それだけでなく「現地住民から差別を受けた」と思い込むことも。
稀にフランスを訪れた人が「差別された」と感じるのは、少なからず「パリ症候群」が関係しているのかもしれません。

これら「パリ症候群」は特に20代~30代の日本人女性が罹りやすいとされています。

ただ、これらはストレスから解放されることで回復します。
そういった点も含めて「パリ症候群は適応障害に近い」と言われています。

事実、パリを離れれば症状が治まることがほどんどです。
そのため、海外旅行の場合はすぐに治ってしまいます。
ただ、出張や留学など長期滞在の場合は話が変わってきます。
その場合、治療が必要なレベルだと判断された場合は帰国が勧められることもあるのだとか。

「パリ症候群」が起きる理由

では、なぜ「パリ症候群」が起こるのでしょうか?
ここからは「パリ症候群」が起きる原因をまとめます。

華やかなイメージとのギャップ

「パリ症候群」の主な原因はイメージとのギャップにあるとされています。

日本人はフランスに対して極端に華やかな印象を抱いています。
特に日本人女性はその傾向が強いのかもしれません。

その一方、実際のフランスには当然ながら汚い一面もあります。
そこはフランスに限らず、その国も同じと言えるでしょう。
ただ、その現実を受け止めきれずに困惑する人もいるのです。

実際に「花の都」にもゴミは落ちているしネズミもいます。
落書きもあるしホームレスやストリートチルドレンもいます。

そういった華やかなイメージとのギャップで「パリ症候群」を引き起こしてしまう人がいるのだとか。

フランス語を話せないことの弊害

「パリ症候群」はフランス語が話せないことでも発症します。

フランス語は世界で最も難しい言語の1つとされるほど難解です。
そのため、日本人が練習してもなかなか上達しないのだとか。

にもかかわらず、現地住民は下手なフランス語に対して露骨に嫌な顔をする(もちろんほとんどの人は優しい)もあるそうです。
海外旅行くらいなら気にしないものの、出張や留学で現地住民と深く関われば関わるほどその態度に傷つく日本人もいます。

事実、フランス語が話せないことで意思疎通できないとなれば病んでしまっても仕方ありません。
それら言葉の壁によって「パリ症候群」を引き起こす人もいるわけです。

国民性の違い

日本とフランスとでは国民性も大きく異なります。

例えば、日本人は比較的集団生活向けの国民性です。
対して、フランス人は個人生活向けの国民性とされます。

日本は古くから自分が所属する集団の中で空気を読んで生活してきました。
しかし、フランスはパーソナルな行動を軸として生活してきたわけです。

そのため「察する」ということ自体があまりありません。
それだけに現地で孤独を感じる日本人も少なくないのだとか。

何よりフランス人ははっきりとした国民性なので、感情もわかりやすいです。
好きな時は好きというが、嫌いな時も嫌いとはっきり伝えます。
そのストレートな感情表現に疲れてしまうこともあるのかもしれません。

また、フランス人の中にはルーズな一面も見られるようです。
時間を守らなかったり約束を破ったりすることは日常茶飯事です。
それら国民性の違いも「パリ症候群」の原因となるでしょう。

「パリ症候群」になるのは日本人?

「パリ症候群」は日本人に多いとされています。

日本人に多いとされた「パリ症候群」

「パリ症候群」は日本人が発症しやすい症状なのだとか。
事実、日本ではフランスの過度な理想が作り上げられています。
メディアを通して「フランスは美しい国」と常に訴えてくる始末です。

しかし、現地に行けばその幻想は一瞬にして打ち砕かれます。
もちろん、本当に美しい街並みが広がっており、多くの人は感動するでしょう。

その一方、それと同じくらい汚い一面も見てしまうのです。
当然、日本人は「フランス=理想郷」のような印象があるからこそイメージが壊れてしまった時の破壊力も計り知れません。

近年は中国人などがなることも・・・

現代では中国人にも「パリ症候群」が見られることもあるとか。
そこも日本人と同じようにフランスに対して幻想を抱いていることが原因かもしれません。

ちなみに、逆にフランス人が日本で不適応を起こすケースはほとんど報告されていません。

まとめ

「パリ症候群」は日本人特有の精神的症状の1つです。
これらは適応障害にも似たものとして認識されています。
事実、精神医学用語としても使用されている言葉です。

その原因は様々ですが、過度な期待が理由となっています。
実際にフランスに対して幻想を抱いている人ほど「パリ症候群」になりやすいと言われています。

そこはあまり期待しないよう注意したいところです。

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