POLUS ポラス 学生 建築デザインコンペ 2024夏に選ばれた提案作品がすごい! 審査員も驚く高レベル「人間感」「虚と実の合体」新しい解釈を共有
「これまで以上に今回は、2次審査を通過した作品たちが個性が際立っていて、審査も厚みのある議論が交わされました。
『POLUS ポラス 学生・建築デザインコンペティション』は、アイデアコンペだけど、2次審査で審査員と学生たちが議論して、アイデアだけでなく模型もつくるということで、空間もしっかりおさえないといけない。
だから、わたしたちの現場と直結するような深い議論ができて、おもしろいコンペだと思います」
―――審査後にそう語ったのは、中川エリカ建築設計事務所 中川エリカ 代表。
埼玉県越谷市に本社をおくポラスグループは、大学院・大学・高等専門学校・高校などに通う学生を対象に「第11回 POLUS -ポラス- 学生・建築デザインコンペティション」を開催。
その最終審査・表彰式がポラスウッドスクェアで7月11日に行われ、審査委員長の西沢立衛 横浜国立大学大学院Y-GSA 教授、審査委員の今井公太郎 東京大学生産技術研究所 教授、原田真宏 芝浦工業大学建築学部建築学科 教授、中川エリカ 中川エリカ建築設計事務所代表、野村壮一郎 中央住宅 戸建分譲設計本部長が登壇。
コンペにエントリーし選ばれた学生たちといっしょに議論を重ね、最優秀賞(賞金50万円)・優秀賞(30万円)・入選(15万円)などの各賞が決まった。
ポラス 学生・建築デザインコンペ開催の想い
POLUS -ポラス- 学生・建築デザインコンペティションは、ポラスグループ創業45周年の記念事業のひとつとして2014年に第1回を開催し、昨年の第10回は応募作品数 362点と多くの応募があり、将来の建築業界を担う学生たちのすばらしい発想を業界全体で共有。
今回の第11回は2023年11月末からことし5月9日まで、「個が際立つ新しいシェアのまち」をテーマに、木の家による魅力的な作品を募集。
また今回は、賞金総額を昨年の約2倍となる205万円へ大幅に増額し、RI 賞(実物件化プロジェクト候補作品のなかからとくに優秀な作品を表彰)、UJ賞(大学院生・大学学部 4年生を除く、応募者のなかでとくに優秀な作品を表彰)を新設。
このポラス学生・建築コンペは、建築の道を志す学生の自由で新鮮な発想を表現・公表する機会とし、将来活躍が期待される学生たちを応援するとともに、建築業界のさらなる発展をめざしていく。
「人間感」「虚と実の合体」各審査員総評
「非常に楽しい会でとくにことしは楽しかった。今回は『選びたいな』と思った作品がすごく多かった。コンペって、新しいビジョンの“ものさし”自体が新しくなってないことが多いなか、今回のポラスコンペでは、“新しいものさし”“新しい尺度”が進化したと実感しました。最優秀・優秀作品に関しては、尺度が新しいだけではなく、あるカタチを解釈していく“人間感”がありました」(原田真宏 芝浦工業大学建築学部建築学科 教授)
「どれが選ばれてもおかしくない、深いレベルのコンペでした。最優秀・優秀作品には、自分にとっても“収穫”となる作品で、自分にない側面、なんでもパラメトリックにしていくものでもないというのを感じた。みなさんプロをめざしてがんばってほしいと思います」(今井公太郎 東京大学生産技術研究所 教授)
「今回、600点を超えた応募があった。わたしも審査される側で仕事をしているけど、今回選ばれた作品たちは、現実に建っていそうなレベルの高さを感じました」(野村壮一郎 中央住宅 戸建分譲設計本部長)
「毎回、ポラスはすばらしいこうしたコンペの舞台をつくってもらい、感謝しています。すごく勉強になっておもしろかった。今回はとくに、おもしろかった。全体としていえるのは、今回の作品は最終目標ではなく、持続的に考えた提案と思うものばかりでした。ポラスのコンペは、1次審査が図面で、2次審査で対面と模型という、“虚と実の合体”が創造的でこの仕組がおもしろい。今回はさらに、課題も良かった。集まった作品がみんなおもしろいから、それを引き出す課題が創造的だったと思いました。楽しかったです」(西沢立衛 横浜国立大学大学院Y-GSA 教授)
―――審査員たちをそう唸らせた、学生たちが世に問う最優秀・優秀・入選作品たちをみていこう。
最優秀賞「原子たちのための家」末松拓海 中林由佳(芝浦工業大学)
最優秀賞「原子たちのための家」末松拓海 中林由佳(芝浦工業大学)
「個が際立つ新しいシェアの街と聞いて、分子を思い浮かべた。それは小さな原子が安定を求めてつながり、世界を構成していくこと。いまわたしたちに足りてないのは、小さくて密接で連鎖する接続だ。つながってつなげてぶつかって途切れて落ち着いてまたつながってわたしたちは安定に向かっていく。封建的なるものとしてハレを排除したことが、現在の住まいの閉鎖化をもたらすこととなったが、現代にもう一度ハレを復活させることが正しいことなのだろうか。現代においてハレとケへの世間の目は鋭く、扱いには困難を極める。かつての続き間座敷などにみられるような柱で構成される空間は開けすぎている。そこで柱の裏表のない特性を風車型の配置によって壁へと持ち込む。それは質量をもって立ち上がる壁だが、裏も表もなく柱のような振る舞いをする。確かなプライバシーに身を委ねながら、小さく密接して連鎖するシェアの街である」
優秀賞「自動記述的なカタチの重なり」茂崎秀祐 中野馨文(北海道大学 大学院)
優秀賞「自動記述的なカタチの重なり」茂崎秀祐 中野馨文(北海道大学 大学院)
「あらゆることに批判がつきまとう現代社会において、わかりやすく合理的にみえるものが増えている。そんななか、この提案では、住人やまちの人々に『個性的なカタチの重なりを手がかりに、意識と無意識の間で生み出された空間』を提示する。単純ではない空間に近づき、向き合おうとする行為が、豊かさをもたらすのではないだろうか。これは、『個が際立つ』新しい<シェア>のまちを、『個性的なカタチ』の<重なり>による新たな住まい方と読み替えることで生まれる、魅力的な新しい集合住宅の提案である」
入選「大きな軒先の家~軒から軒へ、滴る暮らし~」諸江一桜(武蔵野美術大学)半田洋久(芝浦工業大学)
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入選「他を感じ、個を知る。」野々村佑菜 今井廉(立命館大学)
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入選「ランウェイに暮せば、」山口篤 一杉健洋(早稲田大学)
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