イギリスの気鋭ジャーナリストが「女性同士の友情」にまつわる俗説を徹底検証!

イギリスの気鋭ジャーナリストが「女性同士の友情」にまつわる俗説を徹底検証!

 昔から「女同士の友情」は、映画や小説で取り上げられてきたテーマのひとつ。けれど、どうにもステレオタイプな描かれ方をされることも多いようです。そのひとつとなるのが「BFF(ベスト・フレンド・フォーエバー)――生涯の大親友」の考え方。「女の子には心の底から通じ合える親友が必ずいるもの」という刷り込みを、幼いころから受けてきた女性の皆さんは少なくないのではないでしょうか。

 たとえば、学校の新しいクラスでは親友を見つけなければいけないと焦ったり、仲良しの女の子に「もうあなたとは友達じゃない」と告げられれば地球滅亡のようなショックを受けてしまったり……。けれど海外ドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』や『フレンズ』などに見られるような関係性は、理想化されたひとつの型に過ぎません。現実はもっと複雑なものであり、これまで女性同士の友情をめぐって幾度となく苦い思いをしてきた人もいることでしょう

「私たちはそろそろ、認めるべきなのかもしれない。すべての人に合うわけがない、たったひとつの基準を私たちみんながこぞってめざしていて、そのために、ありとあらゆる労力が費やされているのだということを。テレビや映画、本の世界で繰り広げられる友達との熱い関係を、現実世界にいる私たちが持とうとするのは、とてもとても難しいことなのだ」

 と著書『女友達ってむずかしい?』で記すのは、イギリスの女性ジャーナリストのクレア・コーエンです。同書で彼女は「女性の友情」をめぐるステレオタイプについて、自身の取材や考察を通して徹底検証するとともに、息苦しくない「女の友情の築き方」について提案しています。

 心から気の合う親友が見つかっても、その関係が壊れることも人生にはありえます。著者がその原因として挙げるのが、恋愛、家の購入、昇進、結婚、出産、引っ越し、更年期、離婚などです。

「友達とずっと同じペースで同時に進んでいくわけじゃないし、友達とおなじものが欲しいわけじゃない。だけど、こうした人生の選択が、友情に思いもよらない影響を及ぼすことがある」(同書より)

 ライフステージが変わることで疎遠になってしまう友達が出てくるのは世界共通の「あるある」なのかもしれないと感じさせられます。けれど逆に、離婚や病気など悲しいことへの共感を通して、女性同士の絆が深まったり新しい友情が芽生えたりすることもありえます。「友達と出会うことに積極的でいる限り、友達はどこにでもいるのだ」(同書より)との言葉どおり、同じ価値観や関心事を共有できる相手を見つければ、私たちは何歳になっても新たな友情をはぐくむことができるものです。「BFF」よりも「〈BFFN(ベスト・フレンズ・フォー・ナウ)――いまなかよくつきあえる複数のいい友人たち〉という関係をめざすほうがいい」(同書より)というのは、女性同士が友達を作るうえで参考にすべき考え方かもしれません。

 このほか同書では、「毒友(フレネミー)は一方的な存在か?」「職場の同僚と友達にはならないほうがいい?」「友達づきあいをやめるときは黙ってフェイドアウトするほうが親切?」などの俗説を検証。イギリスの雑誌編集者協会が選ぶ「今年の女性ジャーナリスト」に選定された気鋭のジャーナリストによる一冊は、女性同士の友達づきあいの本質について見つめ直すきっかけを与えてくれるでしょう。

[文・鷺ノ宮やよい]

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