観光列車「ひなび(陽旅)」で三陸釜石への旅。駅弁と車窓を満喫
列車に乗ることと食べることが大好きな、食べ鉄マサテツです。よろしくお願いします! 今回は、2023年12月にデビューした観光列車「ひなび(陽旅)」に乗って、岩手県釜石市へ。
釜石からは三陸海岸まで足をのばし、オーシャンビューの大浴場があるホテルで三陸の海の幸をいただき、人形劇『ひょっこりひょうたん島』のモデルといわれるひょうたん島(蓬莱島)をイメージした駅を訪れ、さらに駅構内にあるラーメン店で舌鼓を打つ。食べ鉄らしく、乗って、食べての列車旅を満喫してきました!
盛岡駅・観光列車「ひなび」に乗車
デビューしたばかりのひなびに乗ります!
岩手県のJR盛岡駅までは、JR東京駅からだと、東北新幹線に乗って2時間10分ほど。「JR東日本びゅうダイナミックレールパック」を利用すれば、新幹線と宿がセットでお得に予約できます。
盛岡駅のホームには、すでに観光列車「ひなび(陽旅)」が停車していました!
「ひなび」は2023年12月にデビュー。かつて「SL銀河」が走っていた釜石線の盛岡駅-釜石駅間を土日祝日に運行します。
2両編成の車両は、環境にやさしいディーゼルハイブリッド車両。白地に赤いラインのボディは、かつて岩手県と青森県を走った気動車に使われていた、通称・盛岡色をイメージしたもの。山、波、川、花吹雪の模様で、東北の豊かな自然を表現しています。
「ひなび」には2種類の座席があります。1号車はグリーン車で、1人用・2人用・4人用のボックスシートが並びます。リクライニングはしませんが、背もたれが高いので他の席からの視線が感じられず、プライベートな空間になっています。大きなテーブルもあり、食事がゆったり楽しめそう。窓がとても大きく、のんびりと車窓が楽しめます。
2号車は指定席。鮮やかなオレンジ色のリクライニングシートが並びます。足元がとても広く窓も大きいので、ゆったりと過ごせます。
今回は、9時45分に盛岡駅を発車する「ひなび」のグリーン車で旅を楽しみたいと思います。
列車は、JR花巻駅までは東北本線を走ります。運転席のうしろはフリースペースになっていて、大きな窓から車窓が楽しめたり、運転士さんの挙動を見学したりすることができます。列車好きにはたまらない空間ですね。
花巻駅からは釜石線に入ります。釜石線の前身である岩手軽便鉄道は、宮沢賢治の代表作『銀河鉄道の夜』のモデルになったといわれています。
11時42分にJR遠野駅に到着。ここで、12時30分までの48分間停車します。停車中は駅から出て散策を楽しむこともできます。
遠野は、柳田國男が書いた『遠野物語』の舞台となった町です。『遠野物語』で有名なお話といえば「河童」。駅前の広場には河童の像がありました。
駅前にある観光交流センター「旅の蔵 遠野」でお買い物。おみやげなどが豊富にそろっていました。
遠野駅・観光列車「ひなび」の停車駅を発車
おむすびBOXをいただきます!
列車に戻り、遠野駅を発車後、1号車の売店コーナーで、「うけとりっぷ」(※)から事前に予約したお弁当を受け取ります。受け取る際はスマートフォンで予約番号の画面を見せるだけなので、とても簡単。
※編集部注:お弁当の予約は乗車日の5日前まで可能。車内での当日販売はありません
大きなテーブルにお弁当を広げて、大きな窓から車窓を楽しみながらいただきます!
予約しておいたお弁当は、遠野市で地元食材を具材に使用したおむすびを販売している「とおの結屋」さんの「おむすびBOX」。なかには、おむすび2個と、もろみ漬(民話漬)、日替わりおかず、サラダ、飲み物が入っています。
まずは、「民話漬きざみ大根のおむすび」をいただきます! 民話漬とは、醤油を醸造する際に出る「もろみ」に漬けた、昔ながらのお漬物。民話の里から届けるお漬物ということから民話漬と命名されたのだそう。岩手県産のひとめぼれを使用したおにぎりは、ふわっとやさしい食感。もろみの風味とコクが口の中いっぱいに広がります。
もう1個は「きくらげのラー油漬のおむすび」。こりこりとしたきくらげの食感がよく、ピリッと辛いラー油がお米とうまくマッチしています。この日のおかずは、青豆入りの玉子焼き、ウインナー、きんぴらごぼう。ボリュームがあってお腹いっぱいになりました!
さて、列車は釜石線最大の難所、仙人峠へ。約300mの高低差を大きくまわりながら標高を上げていきます。
鬼ヶ沢橋梁を通過。眼下にはこれから通る線路が見えます。この先のトンネルでオメガ(Ω)ループを描いた列車は180度方向転換することに。
陸中大橋駅を発車すると、今度は先ほど渡った赤い鬼ヶ沢橋梁が見えました。
釜石駅
三陸鉄道に乗車
13時24分。列車は終点の釜石駅に到着。
釜石市は製鉄や漁業で発展し、「ラグビーのまち」としても有名です。2019年には「ラグビーワールドカップ2019」が釜石鵜住居復興スタジアムで開催されました。
釜石駅からは三陸鉄道に乗車して30分ほどの浪板海岸駅まで。三陸鉄道は岩手県の三陸海岸沿いを走る、日本最長の第三セクター鉄道。2013年に放送されたNHKの連続テレビ小説『あまちゃん』の舞台にもなりました。東日本大震災では甚大な被害を受けましたが、2019年に全線開通。復興のシンボル的存在です。
三陸花ホテル はまぎく
オーシャンビューの大浴場
今回の宿は、浪板海岸駅から徒歩10分ほどのところにある「三陸花ホテル はまぎく」。駅から近いので、列車旅でも利用しやすいですね。
夕食まで時間があったので、先にお風呂へ入ります。
大浴場から三陸の海を一望! さらに露天風呂に入れば、波の音を聞きながらゆっくり入浴することができ、1日の疲れを癒やせました。
三陸花ホテル はまぎくの夕食
夕食は三陸の海の幸
さあお待ちかね、夕食の時間です!
夕食会場に入ると、テーブルにはすでにお料理が用意されていました。三陸の海の幸がずらりと並んでいます。
こちらはホヤの酢の物。ホヤは春から夏に旬を迎える三陸の海の幸。ぷりぷりの食感で、海の味が口の中に広がります。
三陸産のキチジの酒蒸し。キチジはとても貴重な高級魚で、三陸地方ではお祝いの席で食べられることもある縁起の良い魚なのだそう。蒸しているので身はしっとり。脂がジュワッと溢れて、旨みも豊かです。
なかでもおいしかったのが、三陸で獲れた鮑踊り焼き。とても肉厚でむっちりと柔らかく、旨みと風味が濃厚で絶品です!
締めは釜飯とお吸い物。ホタテが入った釜飯は、ホタテの味がご飯にも染み込んでいておいしかった!
浪板海岸
浪板海岸を散歩
翌朝は早く起きて、日の出を見にホテルのテラスへ。
雲の隙間から朝日が顔を出すと海に朝日の道が差し、幻想的な光景を目にすることができました。
そのあとは、ホテルの目の前の「浪板海岸」を散歩。ここは、返し波がない片寄せ波の海岸として有名です。今回は冬の時期に訪れたので静かな海岸でしたが、東北有数のサーフィンのスポットで、夏には海水浴やマリンスポーツを楽しむ人々で賑わうそうです。
大槌駅
ひょっこりひょうたん島がモチーフの駅
ホテルを出発し、浪板海岸駅から大槌駅へ。かつてここにあったJR大槌駅は津波により流出してしまいましたが、その後、かさ上げ工事を進め、2019年に三陸鉄道の大槌駅として再建されました。
駅舎の脇に見覚えのある像を発見! これは『ひょっこりひょうたん島』のドン・ガバチョじゃないですか!
そう、大槌駅の駅舎は大槌町のシンボル「ひょうたん島(蓬莱島)」をイメージしているのです。少し離れて見てみると、屋根がひょうたんのような形をしています。
蓬莱島は人形劇『ひょっこりひょうたん島』のモデルといわれていて、駅舎のなかにも『ひょっこりひょうたん島』の仲間が……。
観光案内所のカウンターにはトラヒゲ。
天井からぶら下がっているのはダンディ。
2階のテラスに上がると、大槌の町を見下ろすハカセ。大槌駅にはいろんなところで『ひょっこりひょうたん島』のキャラクターたちが待っています。
麺匠 ときしらず
駅舎に併設されたラーメン店でランチ
ランチに伺ったのは大槌駅から徒歩0分、駅舎のなかにあるラーメン店「麺匠 ときしらず」。
いただいたのは全てのトッピングが入った「特製煮干ラーメン」。
まずはスープから。無化調の醤油スープで、煮干しの風味が口の中に広がります。麺はストレートの細麺。ツルツルと気持ちよく口の中に吸い込まれます。チャーシューや煮卵とトッピングも盛りだくさん。
食後のデザートにいただいたのは、岩手県雫石にある、手づくりアイスクリーム牧舎「松ぼっくり」のジェラート。朝搾りミルクを使ったジェラートは、ミルクの風味がとっても濃厚。おいしかったです!
帰りは大槌駅から、釜石駅と新花巻駅を経由して東京へ。デビューしたばかりの観光列車や三陸の海の幸、美しい景色を満喫できた今回の旅。「ひなび」の大きな窓から車窓を楽しんだり、おいしいお弁当をいただきながら贅沢な時間を過ごしたり。みなさんもぜひ「ひなび」に乗って三陸を訪れてみては!
東京駅に到着
掲載情報は2024年6月4日配信時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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