マレーシアOrangeleaf Consulting、ローコードのソフト開発プラットフォームでDX内製化を支援

建設業や製造、教育や農業など、あらゆる業界でDXが推進されている近年。

しかし多くの企業は「DXを実行するために必要な有識者がいない」「DXを進めたいけれど、既存のプラットフォームでは自社の業務フローと合わない」などの課題に直面している。

人材開発・育成や、企業の個性に合ったシステムの構築が求められる中、カスタマイズ可能なローコードサービスを提供しているのがマレーシアのスタートアップOrangeleaf Consulting(以下Orangeleaf)だ。

同社は今月15~16日に東京ビッグサイトで開催された展示会『SusHi Tech Tokyo 2024』内のスタートアップイベント『グローバルスタートアッププログラム』に参加したばかり。今回は、Orangeleafのイベントでの様子とともに、同社の取り組みやローコード技術について紹介していく。

DX化のコンサル&ローコード開発支援のOrangeleaf

パズルやホワイトボードの上の図面を組み合わせる感覚で、手軽にプログラム編集ができるのがローコードの利点だ。しかし、本格的なプラットフォームを作るには、やはり言語入力でなければと考える人も少なくない。

とはいえ未経験者が一からプログラミング言語を習得する、というのは敷居が高い。高額の費用を捻出して、学校へ長期間通う必要がある。オンライン講座やテキスト・教材を用いた学習であっても、費用や時間はかかってしまう。

そこで、OrangeleafはDX化のコンサルティングサービスの傍ら、ローコードのソフトウェア開発プラットフォーム「Mendix」に基づく、ソフトウェア開発サービスを提供している。

筆者がOrangeleafのブースに赴いた際、OrangeleafのコンサルタントNicole Chung氏との会話の中で「ローコードの強みは、短時間でアプリやプラットフォームを開発できる簡易性、そして敷居の低いカスタマイズ性です」という興味深い話を聞くことができた。

Mendixはカスタマイズも可能

Image Credit:Orangeleaf Consulting

プログラミング言語の知識のない人でも、自由自在にプラットフォーム開発やそのカスタマイズができるのが、Mendixの持ち味である。

ここで1つ、Mendixの活用事例を紹介したい。農業IoTの実験として、当時ITコンサルティング企業QuistorのパートナーであったJack van den Brink氏は、Mendixを活用して作物管理ソリューションを開発した。

同氏はMendixの中で、Quistorが必要とするデータを受け取るためのダッシュボードを構築。データに記録されるのは、光、温度、土壌の水分、空気の湿度などの測定値である。

タンクの水位が低くなると電子メールが即座にQuistorチームに送信され、空の水タンクに水を入れるタイミングがわかる……という仕組みだ。

Brink氏は、チームメンバーと一緒にわずか数時間でアプリを構築したという。この事例から、Mendixの柔軟性や効率性がうかがえる。

公益性のあるアプリも短期間で開発可能

前章では農業分野を例に挙げて解説したが、Mendixは多様な業界に応用できる。たとえば不動産、保険、飲食などの業界だけでなく政府にも活用されている。

ここでまた一例を上げたい。Mendixで制作した「DOREMI App」というクラウドファンディングアプリだ。

クラウドファンディングといっても、このアプリの場合は新製品を提供するのではなく公益性のあるプロジェクトを中心に掲載している。Orangeleafが取り組んでいる人材開発に関しては後述するが、そもそもそれ以前に日々の食べ物に困っている、小学校に行く余裕がないという子どもがアジア諸国には多く存在する。

そうした人々の手助けをする募金アプリを開発しようと考えている人は多いが、そのためにはまずプログラミングに精通した高度人材を手配しなければならない。それでは人材募集のためだけに時間も費用もかかってしまう。

「DOREMI Appの場合は40日で制作しました。つまり、公益性のあるアプリを高度人材を招聘せずに短期間で開発できる用途にもMendixは使えます」Chung氏はそう語った。

マレーシアでの人材開発に注力

もちろん、ローコードによるプログラム編集にも知識は必要だ。

今年4月、セランゴール州政府の運営するセランゴール技術スキル開発センターがOrangeleafとの事業提携を締結。ドイツで開催された「産業展示会ハノーバーメッセ2024」で調印式を行った。

今回の提携に伴い、OrangeLeafは技術人材のギャップを埋めるためのプロジェクトを発表した。

・Mendixトレーニングプログラム:Mendixに習熟した人材を育成する
・イノベーションラボ:共同プロジェクトを促進し、技術の進歩を推進する
・メンターシッププログラム:業界知識の交換を促進する
・コミュニティへの接続:デジタル変革の取り組みへの意識を高め、参加を促進する

こうした取り組みを通じて、今後Orangeleafはマレーシアでローコード人材の育成へコミットする方針だ。

ローコード人材の育成が進めば、あらゆる業界でソフトウェア開発におけるスキルの格差が縮小され、真の「DX化」が進むだろう。今後もOrangeleafの取り組みに注目したい。

参考・引用元:
Orangeleaf Consulting
Mendix

(文・澤田 真一)

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