MUFGグループCVCも出資、インドネシアの小売店向け経営管理プラットフォーム「AwanTunai」

アジア各国で注目を集めている、小規模小売店舗に向けたサプライチェーンサービス。それまで紙とペンで行っていた在庫管理をスマホアプリで行うことにより、確実な記録と商品発注が可能になる。

日本のキヨスクを少しだけ大きくしたような町の雑貨屋は、そのほとんどが家族経営。人手の足りない中、誰かが問屋に行き卸売業者と掛け合って在庫を補充する……という仕事は文章で書く以上に重労働だろう。

Image Credit:AwanTunai

そのような負担を軽減するサービスが続々と登場する中、インドネシアのAwanTunaiは在庫管理と金融サービスを直結した仕組みを開発している。

成人の4人に1人が銀行口座未保有

インドネシアでは、銀行口座を保有していない成人は決して珍しい存在ではない。

現地メディアLiputan6が2024年3月23日に配信した記事には、経済調整大臣アイルランガ・ハルタルト氏の発言が掲載されている。それによると、インドネシアの成人の23.7%がいまだに銀行口座を持っていないという。

アイルランガ氏がそう発言した背景には、中央政府に銀行口座保有率を押し上げたいとする意図がある。実際に同氏は「あらゆるグループ、職能における成人の銀行口座保有率を上昇させる必要がある」と述べている。

これは言い換えれば、商店を構えている人ですらも銀行口座を持っていない可能性があるということだ。そのような人は、当然ながら銀行から融資を受けられない。

AwanTunaiは、契約店舗の経営状況を把握することにより融資を実施できる環境を整える仕組みを構築する。

経営の記録を信用情報に

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日々の在庫、発注数、売買記録などを総合すれば、おのずとその店の経営状況を知ることができる。

それを信用情報にし、融資を行うというのがAwanTunaiの仕組みである。従って、独自のPOSシステムや機材、それを扱うための本人認証システムも用意している。

デジタル流通管理システムとオンライン融資を見事に融合させたAwanTunaiだが、すでに国内大手銀行のBRIやDanamon、Mandiriなどが融資提供元としてAwanTunaiの事業に参画している。そしてこの事業は、インドネシア金融庁(OJK)からの認可がないと実施できない。このPDF資料は2023年8月21日時点の認可取得済み企業の一覧だが、32番目にAwanTunaiがあることが確認できる。

日本からも巨額出資

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そんなAwanTunaiを運営するPT. SimpleFi Teknologi Indonesiaには、日本からの投資も舞い込んでいる。2022年4月には東京に所在するグローバル・ブレインがAwanTunai運営者に対しての追加出資を行った。この時点でのAwanTunaiは、インドネシア全国300超の卸売業者とともに7万超の伝統的小規模事業者をサポートしていた。

それから2年後の2024年3月、今度は三菱UFJイノベーション・パートナーズも参画するシリーズB投資ラウンドで2,750万ドルの資金調達に成功した(参考)。このスタートアップが国際的に注目されていることを証明する出来事だ。

融資を受けられないがために成長の機会に恵まれなかった小規模事業者に光を与えるスタートアップとして、AwanTunaiはこれからも存在感を発揮していくだろう。

参考・引用元:
AwanTunai
Liputan6
OJK
PR TIMES

(文・澤田 真一)

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