『億り人』への道:なべさんが明かす、サラリーマンでも成功する投資法
先輩投資家へのインタビュー記事が大好評のマガジンサミット。
今回は「億り人」を達成された「なべさん@高配当バリュー投資家」にお話を伺いました!
なべさんは投資歴17年、アベノミクスを経て過去11年間で年率21%のリターンを実現しています。サラリーマンとしての生活を続けながら、どのようにして資産を築き、投資の世界で成功を収めたのか。なべさんの投資方法、哲学、そしてこれからの目標に迫ります。
どうぞ、ご一読ください!
━ なべさんが投資を始めたきっかけと、初めて投資を行った銘柄について教えてください。
なべさん:2006年のライブドアショックと村上ファンド事件を目の当たりにして、株式市場に興味を持ち、投資を始めました。最初に手を出したのはソニーをはじめとする知名度の高い企業群でした。
ですが、投資を始めてすぐに2008年のリーマンショックが発生し、初心者ながらに厳しい市場の現実を味わうこととなりました。
━ リーマンショックが直撃して投資をやめてしまった人も多いと耳にしますが、なべさんはその初めての大きな挫折をどのように乗り越えられましたか?
なべさん:『ウォール街のランダムウォーカー』などの古典と呼ばれる本を読んでいたので、市場にいる限り暴落は避けられないものと心得ていました。
そうした本には、暴落時に大胆に行動して成功を収めた話が多く紹介されていますので、私も暴落をチャンスと捉えることができました。
特に投資を始めたばかりで投資額が少ないうちに暴落を経験できたことは、逆にラッキーだったと思いますね。私は証券口座への追加入金を続けることで、むしろその「待つ」時間を資産を増やすチャンスと位置づけ、焦らずに市場の回復を待ちました。
なべさん:2007年1月に430万円を入金して投資を開始しました。やはり一番重要なのは入金力だと思っているので、その後も貯金はせず、使えるお金は全て投資に回しました。節約を重ねながら資金をコツコツと増やし続け、20代から30代半ばまでは修行僧みたいな生活でしたよ。
最近はなるべくお金を使うように心がけています。
━ それは大変な金額ですね。当時20代ですよね、若者が浪費せずに貯めていられたことに驚きです。失礼ですが実家が太かったりしますか?
なべさん:その逆で、裕福な家庭の生まれではなかったので、お金に対する執着はあったかもしれません。大学の学費や生活費は自分で稼ぐ必要があり、実は学費や生活費をパチスロで稼いでいました。
━ なるほど、パチスロですか!投資家の中にはギャンブルやゲームを好む方も多いと聞きますし、なべさんが冷静に分析しながらパチスロしている姿が目に浮かびます。
なべさんの投資結果を公開
━ このグラフを見ると、大きな損失なく、資産を増やし続けているように見えますが、資産が大きく下落することはありましたか?
なべさん:分散投資を徹底しているおかげで、大きな損失を回避してきました。一つ一つの投資が少額であるため、全体としては安定して成長しています。
私の投資手法だと、自分の代名詞となるような決定的な投資は生まれないのですが、まんべんなく上がっていくのが強みです。本業はサラリーマンで投資にあまり時間がかけられないということもあり、長期投資が基本で、高配当バリュー株への投資を続けています。
━ 長期・分散を徹底して、億り人を達成されたのですね。バリュー株はグロース株よりもおとなしい印象があるのですが、バリュー株でも大きなリターンを出せるものなのでしょうか?
なべさん:2012年の扶桑化学、日精ASBの例にあるように、小型バリュー株でそこそこ成長すれば、10年以内にテンバガー(株価が購入価格の10倍)もあり得ます。
ただ、私は残念ながら途中で売ってしまいましたが…
最近話題の清原さんの本にも、「割安株が成長株に化けて、バリュエーションの梯子を上がっていく」と言う表現が使われており、私も完全に同意見です。
━ なるほど、配当を受け取りつつ株価の上昇も狙える。そんな銘柄を探されているのですね。お仕事はIT関係で、工学修士というご経歴もお持ちですが、投資スタイルに影響していますか?
なべさん:理論的なところから入る傾向はあると思います。数値に基づいて冷静な判断を下すのは得意で、理論株価の計算等もすっと入ってきました。バリュー投資の価値の計算がすぐにできるようになったのは大きいです。
ただ、働いている業界についての知識は投資に活かせていませんね。今月のポートフォリオ上位10銘柄はこちらなのですが、働いている業界の銘柄は買えていません。
━ 数字に強いとは、文系出身として羨ましい限りです。では、なべさんが投資をしていくうえで、重要視していることは何ですか?
なべさん:投資を長く続けるためには、「退場しないこと」が何より重要です。そのためには、高いリターンを目指しつつも、リスク管理の徹底が必要です。安定して利益を出し続けることで、長期的な資産形成を目指しています。
━ 退場、つまり投資市場から撤退せざるを得なくなることは、投資家にとって大きなリスクですね。安定したリターンの確保が、そのリスク管理の鍵となるわけですが、なべさんは過去17年間で平均年率16.6%のリターンを達成されています。この大きな成果の背景にある戦略について教えていただけますか?
なべさん:私の戦略は主に長期視点で、特に5年で2倍以上が狙える銘柄を選んで投資しています。
選定基準としては、増配傾向にある銘柄や、PER(株価収益率)が低く、ROE(自己資本利益率)が高い銘柄を選びます。これらの銘柄は割安でありながら、ある程度の成長が見込めるため、5年で2倍以上を目指しています。
ポートフォリオは約40銘柄で構成されており、市場の動向に応じて定期的に見直しを行います。より良い銘柄があれば銘柄の入れ替えも積極的に行っています。
ー約40銘柄と決めてらっしゃるんですね。条件に合えば、値動きが似た株でも購入されるのでしょうか?値動きが被るリスクは回避されますか?
なべさん:分散投資はリスク管理の基本ですね。なるべくセクターが集中しないように分散を心がけていますが、良いセクターがあれば同じような銘柄を2〜3社買ったりもします。
━ 暴落時の戦略についてもお聞かせいただけますか?私はドキドキして眠れない日がありました。
なべさん:暴落時は株価をあまり下げなかった銘柄を売却し、反発の可能性が高い銘柄に切り替えます。これにより、市場が暴落から復帰したときに、市場平均を上回るリターンを狙います。
実際、暴落は低価格で購入できるチャンスでもありますし、眠れなくなるようなことはありません。むしろ楽しんでいますよ。
━ 暴落を楽しむとは、なかなかできることではありませんね。そのメンタルの強さを見習いたいです。お仕事と投資の時間管理については、どのような工夫をされていますか?
なべさん:投資と仕事のバランスはシンプルです。私の場合、市場が開いている間はほとんど仕事をしていますので、取引は休憩時間を利用して行っています。
基本的に「買って放置」の戦略を取っており、頻繁に売買することはありません。ただし、決算発表の時期は別です。この時期は情報を集め、必要に応じてポートフォリオの調整を行います。
━ 購入前に納得するまで調べているから、購入後はほったらかしにできるのですね。ほかにも長期的な成功のために実践していることを教えていただけますか?
なべさん:「ポートフォリオ全体の配当の最大化」「長期的に利益を出せそうな銘柄を選ぶ」この2点を実践しています。これを実践することで、個別の勝ち負けにとらわれず、長期的にポートフォリオを安定させることができます。
更にこれからは、PBR(株価純資産倍率)とROE(自己資本利益率)が高めの、ややグロース寄りの小型株に注目していこうと思っています。これらは成長が期待される銘柄ですが、現在相対的に割安な銘柄が増えており、将来的に高いリターンを期待できる可能性があります。
━ グロース寄りの小型株ですね、私もぜひ勉強したいと思います。そういった情報は昨年からSNSで発信されていますよね。反響は感じますか?
なべさん:そうですね、昨年からX(旧Twitter)を使い始めて、投資仲間ができました。これが予想以上に楽しく、投資の知見を深める素晴らしい機会になっています。経済的な余裕も出てきましたし、より積極的に情報交換を楽しんでいます。
━ SNSの仲間が、投資活動にも好影響を与えているのですね。この記事を読んでいる投資初心者にとって非常に励みになると思います。最後に、なべさんから初心者へのアドバイスはありますか?
なべさん:投資を始める上で、企業の実態を反映した「バリュエーション」を理解することが非常に重要です。
市場価格がその企業の実質価値よりも低い場合、それは投資チャンスとなり得ます。分散投資を心がけ、リスクを管理しながら、一緒に価値ある銘柄を見極めていきましょう。
━ なべさん、この度は貴重なお話をありがとうございました!
今回のインタビューを通じて、なべさんの投資に対する冷静かつ洞察に満ちたアプローチを垣間見ることができました。
サラリーマンでありながら「億り人」としての地位を築き上げたなべさんの体験談は、私たち投資初心者にとって非常に刺激的で、大いに勇気づけられるものでした。
特に、彼の分析力やリスク管理の方法は、特別な才能ではなく、コツコツとした努力の積み重ねによるものだと教えられた気がします。
なべさんはX(旧Twitter)でも、手法や分析を発信されていますので、ぜひご覧になってください。
特に6年でテンバガー達成した2つの銘柄には同じような傾向あり
当初のPERが5倍近辺
高いROEをキープ(15%くらい)
それにより利益が増加、PER20倍まで評価が高まるこれがバリュー株が化けてテンバガー達成する黄金パターンだと思います。
ただ最近こういう銘柄が見つかりませんhttps://t.co/0qBewi64O8 pic.twitter.com/5oLr7ubSP0— なべさん@高配当バリュー投資家 (@nabesannda) February 20, 2024
TVと雑誌がコラボ! 雑誌の面白さを発見できるWEBマガジン 自分が欲しい情報を、効率よく収集できる「雑誌」 ライフスタイルに欠かせない「雑誌」 ちょっと雑誌が欲しくなる、もっと雑誌が読みたくなる、そんなきっかけが生まれるように、TVやラジオ番組の放送作家たちが、雑誌の情報を中心にオリジナル記事を発信していきます!
ウェブサイト: http://magazinesummit.jp/
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。