“ジャックフルーツ”由来の肉代替品で、マレーシア国民の健康を増進。フードテック企業Nankaの技術に注目
世界保健機関(WHO)によるとマレーシアでは国民の約3人に1人が過体重、約8人に1人が肥満であり、社会問題の原因となっているいう。また、糖尿病患者も多く、政府から健康な食生活のためのガイドラインも発表されている。
そんななか、マレーシアのフードテックスタートアップNankaが、ジャックフルーツを原料とした植物ベースの肉代替品を開発した。
ジャックフルーツ由来の代替肉を開発
マレーシアに拠点を置くNankaは、食品および飲料業界のベテランであるAhmad Syafik Jaafar氏と食品技術者のAmirah Mohd Noh氏夫妻よって2015年に設立された。
2人は、ジャックフルーツを使ってミンチ肉のような食感を再現するレシピを開発。5年間のプロセスをかけて、167回の試行錯誤を経てようやく完成した。
ジャックフルーツは「世界で最も大きな果物」としても知られるトロピカルフルーツ。独特の香りと甘さで親しまれている。しかし、皮が重量の半分を占めており、加工が困難であるため、大量に廃棄されるという問題を抱えている。
そこで、ジャックフルーツを代替肉にアップサイクルし、大量廃棄問題の解決に乗り出したのがNankaだ。
現在では、ジャックフルーツ由来の代替肉は東京都渋谷区のカフェレストランなどで提供されており、タイ料理やフランス料理、メキシコ料理などさまざまな料理に利用されている。
低脂質で栄養豊富な代替肉
Nankaの植物ベースの肉代替品は、動物性タンパク質に比べて脂質やカロリーが少なく、鉄分やビタミンCなどの栄養素を豊富に含んでいる。
生産過程において、肉代替品は畜産よりも二酸化炭素排出量が少ないため、地球環境に配慮された食品といえるだろう。
消費者から「食べ応えがある」と好評
一般的に、植物ベースの肉代替品は肉製品よりも高価である。Nankaは肉代替品をリーズナブルな価格で提供することを目標としているが、やはり低価格での提供は難しいようだ。
価格面の課題はあるものの、マレーシアの人々はNankaの肉代替品に対して好意的だという。同社のパティへのフィードバックには「繊維が豊富に含まれているため、とても食べ応えがある」との声があがっている。
米国のレバー財団から資金調達
2022年、Nankaは米国のレバー財団のLFグロースファンドから投資を受けた。この投資は、Nankaの生産能力、研究開発能力、オンラインプレゼンス、国際市場の拡大を目的としている。
同社は、今後もさらなる研究開発を進め、植物性と動物性肉の両方の需要を満たすことを目指す方針だ。
参考・引用元:
Nanka 公式サイト
農畜産業振興機構
文・Alley(有吉隆浩)
ウェブサイト: https://techable.jp/
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。