節水装置等の開発・製造・販売及びその装置の取付け施工などを行う「株式会社アースアンドウォーター(以下、アースアンドウォーター)」は、節水業界で唯一、省エネ大賞を受賞したエコタッチのメーカーとして節水システムを展開し、サステナブル企業として注目を集めています。
今回は、アースアンドウォーターの創業者で代表取締役社長である山中正美さんに、会社の強みと節水に対する思いを伺いました。
山中さんがアースアンドウォーターを設立したのは2011年3月のこと。
かつて医療関係の会社に勤めていた山中さんは、48歳の時に会社をやめFCで起業しました。しかし、取り扱うものに興味があまりなかったということもあり、わずか1年程度で知人に譲り渡してしまいました。
その後、山中さんは新たに職探しのためにハローワークに通います。その時の山中さんは50歳。なかなか面接までしてくれる企業はありませんでした。そんな中、見つけたのが節水装置を販売する会社です。面接を受けることが決まった山中さんは、その会社のHPを見て初めて節水装置の存在を知ります。山中さんは節水の魅力や社会的意義にたいへん感銘を受けました。面接を通過し、山中さんはその会社に入社することとなります。
◆独自のビジネスモデルを考案し信頼を獲得!
ハローワークで出会った会社に入った山中さんですが、その会社は3年程度で倒産してしまいます。
倒産の理由について山中さんは「業界全体が信頼されていなかった」と語ります。節水装置を販売する会社はたくさんありますが、売ったら売りっぱなしでアフターフォローがないところが多いという現実がありました。山中さんも営業の際に、自分たちの業界があまりよく見られていないと感じることも多かったそうです。
しかし、成果が出て多くのお客様に喜ばれたという事実もあり、やりがいも感じていました。節水事業は意義がある仕事だと感じていた山中さんは、2011年に同僚たちとアースアンドウォーターを設立します。
会社設立にあたり一番にしなければならないのは信用を得ること。山中さんたちが考案したのは、節水装置をレンタルで展開するという独自のビジネスモデルです。当然、設立当初は赤字になってしまうことは目に見えています。しかし、信頼を得るためにはこうするしかないと思ったそうです。
レンタルに加えメンテナンスやアフターフォロー、節水実績のレポートの提出をセットにすることで信頼を獲得。レンタル契約リピート率は98.5%と高い水準を誇ります。現在は、リピーター企業からの紹介で新たな顧客を獲得することも多いそうです。
◆省エネ大賞を受賞した「エコタッチ」
アースアンドウォーターの看板ともいえる節水装置「エコタッチ」は、業界で唯一「省エネ大賞」を受賞した商品です。宿泊施設をはじめ、温浴施設、スポーツクラブ、病院、飲食店など10,000施設以上に導入されています。
特徴は必要な水量が9通り(穴)に調整できるという点。同じ建物でも階数によって水圧が異なりますが、エコタッチであれば同じ水量にすることが可能です。また、後から設定を変えることも容易な点も魅力の一つです。
◆節水はCO2排出量の削減にもつながる
アースアンドウォーターは日本SDGs協会の認定会員企業に選ばれており、2022年には国際PRIDE日本が主催する「SDGsアワード2022」を受賞しています。
たしかに節水はSDGs目標の一つ「安全な水とトイレを世界中に」の項目に貢献していそうですが、日本はそもそもこの項目はほぼ達成できているので不思議に思うかもしれません。実は節水は、CO2削減の効果もあります。原理は単純で、節水により上下水道で使用される電力量も減らすことができるためです。SDGsの面でアースアンドウォーターが評価される理由の一つです。
アースアンドウォーターは節水で削減したCO2削減量を第三者機関で認証された「CO2排出削減活動証明書」の発行で証明しています。
また、2021年より、節水により削減したCO2排出量を「節水CO2削減ポイント」に換算し、継続的に社会貢献活動団体「日本赤十字社・ウォーターエイドジャパン・(公財)日本ユニセフ協会」へ寄付をするアースアンドウォーター独自のプロジェクトも開始。「節水ASUWO社会貢献プロジェクト」と名付けられたこのプロジェクトは多くのクライアントからも協力・賛同をいただいているそうです。
◆今後の展望について
山中さんの今後の展望について伺いました。
近い目標としては、現在日本各地にある20の拠点をさらに増やしていきたいとのこと。各地のお客様の近くでサポートすることでより密な信頼関係の構築を目指していきたいそうです。また、「節水ASUWO社会貢献プロジェクト」に協力いただけるクライアントを増やすことも目標の一つだそうです。
そして、大きな目標に海外進出があります。日本に暮らしていて水に困ることはほとんどありませんが、気候や環境の影響で水資源が乏しい国もたくさんあり、多くが途上国です。そういった国に“節水”という面で社会貢献をしたいという夢を山中さんは語ってくれました。