ブギウギ第8週振り返り:信念を貫くライバル茨田りつ子と悩み戸惑うスズ子……ヒロインはどっち?
11月27日から始まった『ブギウギ』第9週が終わった。梅丸楽劇団(UGD)の不入りから解散、そしてスズ子(趣里)の楽団立ち上げまでが描かれた。
戦争の影は梅丸の華やかな舞台に暗い影を落とす。華美なメイクや衣装が禁じられたスズ子は、三尺四方の枠の中でしか歌えなくなる。一方、自分の楽団を率いて公演を行っている茨田りつ子(菊地凛子)は警察の取り調べを受けても、「着飾って何が悪い! 私はお客様に夢を見させる歌手よ」「表舞台に立つ者にとってこれは当たり前の格好です!」と反発。
さらに、りつ子はスズ子に「あなた、どうしたの? ボーッと突っ立って。カカシが歌ってるみたいだわ」と揶揄。また、スズ子は弟子入りしたいという小夜(富田望生)から「あんたの歌、聴くと、つらい気持ちがすーってなるんだ」と言われる。
空席はさらに目立ち始め、梅丸楽劇団はついに解散。スズ子は大阪の梅丸少女歌劇団(USK)に戻る話もあったが、羽鳥(草彅剛)から「東京か大阪かなんて、問題じゃない。君が楽しめる場所で歌えばいいさ」とアドバイスされる。さらにスズ子は羽鳥からもらったチケットで、茨田りつ子のステージを鑑賞。刺激を受け、楽団を立ち上げる。
ネットでは、
・羽鳥さんはスズ子にりつ子の歌を聴かせるためにチケット譲ったんだね
・茨田りつ子さんはブレずに強固なプライドを持ち、戦う姿でスズ子に大切なことを教えてくれる
といった声が寄せられている。
さて批判を恐れず言えば、時代に翻弄されても信念を貫く茨田りつ子のほうが、よっぽどヒロイン感がある。また福島からはるばるやってきた小夜もまた「一旗揚げよう感」が強く、人間的に惹かれる。その中でスズ子は特に主体性がない。スズ子らしさが出たのは、三尺四方の枠をはみ出して歌った場面くらいである。今の時期は、大ヒット曲『東京ブギウギ』を得てさらにスターダムにのし上がるまでのモラトリアム期間と考えたほうがいいのだろうか。
こんな声がある。
・スズ子は自分の歌だけが好きなの? レコードやラジオ聴くシーンないし、鼻歌もない。歌うの練習場とステージだけよね。
・それよりもスズ子の感情が全く伝わってこない。何かする時、言う時、スズ子って何を考えてるの?
・ここまで登り詰めてきた過程が描かれてないから、主人公が愛せない。。
ストーリーのダイナミックさに隠れてあまり指摘されていないが、スズ子の心情描写、行動描写が浅い。多分、スズ子自身も、なぜスターになったか分かっていないのではないだろうか。
楽団を立ち上げることになったスズ子。今後どのように「ヒロインとして心理的成長」を遂げるのか見ていくことにしよう。
(執筆者: genkanaketara)
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