<ライブレポート>ベリーグッドマン10周年を3万人が祝福、憧れの甲子園で溢れた“ありがとう”
ベリーグッドマンが、11月18日に【ベリーグッドマン ~甲子園 LIVE 2023~】を兵庫・阪神甲子園球場にて開催した。
本公演は、ベリーグッドマン結成10周年と阪神甲子園球場100周年を記念したスペシャルライブ。阪神甲子園球場100周年記念事業アンバサダー(アーティスト)を務めるベリーグッドマンにとっては、ずっと目標に掲げてきた甲子園での念願のライブとなった。今年の4月から9月には【~Road to 甲子園~】と冠した47都道府県ツアーを完走。新たな決意とともに当日を迎え、またその思いを見届けようと全国からファンが詰めかけ、チケットはソールドアウトしていた。
開演時間を少し過ぎた頃、会場の大型ビジョンには「LIVE」の文字が映し出される。見えてきたのは、上空から見える3万人の観客で埋めつくされたリアルタイムの甲子園球場だ。そこからベリーグッドマンの足跡映像と続き、次にステージ裏にスタンバイするRover、MOCA、HiDEXの姿が映し出され歓声が上がる。そして甲子園のサイレンとともにライブが“プレイボール”すると、高校野球を観て制作したという、まさにこの聖地にふさわしい「ハイライト」が流れ出した。〈ずっと描いてた夢の場所へ〉との歌い出しで、高校球児とベリーグッドマンの思いが甲子園で重なり、胸が熱くなる。そのまま「チョベリグ」「Future」「ベリーグッド」とノンストップで進み会場のボルテージを上げていくと、会場もクラップやペンライト、タオルを振りまわし、11月の寒空の下でも熱気を帯びていく。次にMOCAが「ここで歌いたかった!」と叫び、数々のプロ野球選手が登場曲として起用した「ライトスタンド」、そして「ライオン」へと続く。そして「特に大切な曲」だと披露した「Hello」では、〈願えば叶う〉と会場全体でシンガロングした。
Roverが「阪神甲子園球場にようこそおいでくださいました。ベリーグッドマン最大規模のワンマンライブです。ありがとうございます!」と挨拶すると、すかさずMOCAが「なんか、アイドルになれた気分。すごい不思議」と、会場の新鮮な雰囲気に他のメンバーも頷く。またMOCAは高校3年生の時、春と夏の甲子園に出場したものの、ベンチに入れずスタンドから見ていたというエピソードも披露。17年後に戻ってきた甲子園はまた違う景色に見えていただろう。
2塁側にあるメインステージからダイヤモンドの形をした花道を通り、ホームベースをかたどったサブステージへと移動した3人。ここで「阪神タイガース、日本一おめでとうございます!」と、突如アドリブで「六甲おろし」を熱唱し、会場全体で大合唱がおこる。未だ優勝の余韻が残る甲子園は、さながら優勝祝賀会の雰囲気となった。実はこの時、登場曲にベリーグッドマンの曲を起用している、阪神タイガースの大山悠輔選手、中野拓夢選手も会場に駆けつけており、祝賀モードに手を振って応える姿も見られた。その後、「コンパス」「B.G.M」「1988」「Chill Spot」「ミクロコスモス」をメドレーで披露すると、HiDEXが口を開く。「ちょっとみんなにお願いがあるんです。今日僕誕生日なんですよね、ここに立てたことに感謝したい人がいて……まず、僕ら3人のオカンにみんな拍手してあげてくれへんかな」と話すと大きな拍手が巻き起こり、「この一曲は支えてくれた母親へ歌いたい」と届けられたのは「おかん~yet~」。そして、トミーズ雅ともコラボした「これからもよろしくな」、「この10年、真の思いは変わってない」と「Mic」をしっとり歌い上げると、ライブはいよいよ後半戦へ。
衣装チェンジしたメンバーが“べリグダンサー”と共にステージに登場すると、「オドリバ★ジャポニカ」で会場の雰囲気は一変し、一気にブチ上がっていく。ここから「GroovyでDancingなParty」「ウグイス(Remix)」とノンストップで駆け抜け、クラップとペンライトが乱舞。「ファンファーレ」では、「負けんなよ!」と応援団の3人が「フレー、フレー、フレー!」と背中を押す。本編最後、Roverが「嬉しくて嬉しくてたまらないです。皆さんに応援して頂いてここまで来られました。11年目、新しいベリーグッドマンと言いたいところですが、これからも変わらず歌に向き合っていく3人でいたいと思います。もう一回、同じ10年を味わわせてください」と挨拶。そしてメンバーにとっても憧れの場所、甲子園への感謝の気持ちを自分たちなりに表現したという、阪神甲子園球場100周年記念事業応援ソング「CLASSIC」を披露した。
アンコールでは、メンバーおよびべリグダンサーとともに、阪神タイガースのマスコットであるトラッキー&ラッキーがサプライズ登場。MOCAもタイガースのヘルメットに法被を着用し、「Good Time」では踊れ騒げのお祭り状態に。そしてアンコールでは、HiDEXのバースデーを全員でお祝い。人生最高の誕生日となったと語るHiDEXが「ここまで来るのも険しい道のりだったし、大変なこともたくさんあった。2人にムカついたこともあれば、自分自身にムカついたこともあるし、コロナでベリーグッドマンを辞めた方がいいんじゃないかと思ったこともあったけど、まっすぐまっすぐ進んできたから今日があると思います」と、「雑草」を披露した。続けて、コロナ禍で高校球児や多くの子供達が涙していた時、何かできないかとの思いでつくられた「Dreamer」へ。そして、同じくコロナ禍でメンバーも苦しい思いをしていた時にできたという曲「アイカタ」では、Roverはこの曲を甲子園でいちばん最後に歌いたかった、そして「相方(メンバー)のために歌わせてください」と語る。曲中、Roverが感極まり声を詰まらせる場面もあったが、そこへそっと寄り添うMOCAとHiDEX。ベリーグッドマンをDJとして支えるMANA-Bも加わり、4人ガッチリ肩を組み甲子園の空に花火が咲いて、ベリーグッドマンの甲子園ライブが終幕した。
「応援してくれるみんなへの感謝祭にしたい」と語っていた今回の甲子園ライブ。冒頭から終わりまで“ありがとう”で溢れ、ベリーグッドマンとともに歩んだ全ての人へ、その思いがストレートに伝わったに違いない。また、ライブ終演後の取材で語られた「僕たちはスターにはなれないし、そこが目的ではない。スーパーヒーローになろうという気持ちで頑張りたいと思う」というRoverの言葉に、彼ららしさを感じた。この10年、ストレートな思いを歌うことで、常に誰かの背中を押し続けてきた3人。2024年の全国ツアーも決定し、甲子園ライブの翌日には、新曲「となり」もリリースされた。11年目をスタートさせたベリーグッドマンは、これからも“となり”に寄り添うスーパーヒーローでいてくれることだろう。
TEXT:森島良子
PHOTO:KEIKO TANABE / YUSUKE OKADA
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