365日休みナシ!美食が光る京都の病院の「立役者」栄養課職員に話を聞いてみた
どうもライターの丸野裕行です。肝臓をやってしまい、死にかけました。
未だに入院中の筆者ですが、記事執筆時点で入院期間がおよそ9週間になります。
メシも食わずに酒ばかり飲んでしまっていた筆者の健康回復を支えてくれた方が、ここ病院にはいらっしゃるわけですね。まず、美人医師、看護師、薬剤師、そして今回のテーマとして取り上げたいのが「栄養課職員」の方々です。
1年365日、入院されている患者さんのために知恵を絞り、アイデアをカタチにして、日々汗を流している。
そこで今回お話をお聞きしたのは、いつもお世話になっている京都市右京区にあるキレイな総合病院の栄養課職員・高田さん(仮名/30代)です。普段どのような努力を重ねているのか、その苦労を語っていただきました。
様々な病院食がある
丸野(以下、丸)「病院食とひと言でいっても、様々なものがあるそうですね」
高田さん「1年365日、様々なリクエストに応えていますよ。食べられないもの、アレルギー、その病気に合った専門食、宗教食など。総合病院なので様々な患者様が入れ替わり立ち替わり出入りするので、苦労はしますね。それにイベントなどもあって、職員は打ち合わせに追われています」
丸「なるほど」
<写真:全身黄疸で緊急入院した筆者>
高田さん「特に、既往症の病院食についてはミスが許されませんから大変ですね。糖尿病、肝臓病、腎臓病、膵臓病、うまく消化ができない腸の病気などにも、医師と綿密に打ち合わせを行って、対応しています」
丸「塩分や糖分なども気になりますもんね」
いつも心がけていること
丸「常に心掛けていることはありますか?」
高田さん「そうですね、“いつも過ごしている日常生活の料理=味を忘れない”ように調理することでしょうか」
丸「と言いますと?」
高田さん「健康のことだけでなく、愛妻料理や自分で作った料理など、いつも通りの料理がその患者様の自然治癒力を高めると思うんです。“医食同源”というのも、治療の一環として担っていきたい、そう願って調理に励んでいますね」
丸「入院中の愉しみといえば、病院食ですものね」
高田さん「ええ。1日3食、心待ちにしてもらえる料理。ちょっと味つけは薄いかもしれませんが、なんとか患者様の想いに応えられるようにスタッフ一同で努めています」
丸「志が高い方ばかりですね」
想いは一つに
高田さん「我々、栄養士はメニュー作りや食材の選定、予算設定など多岐にわたります。それに配膳温度や食器の洗浄の指示、イベントのサイドメニュー、お菓子づくりまで、子供から高齢者までが満足するものを考えること、企画するのも重要です。オールラウンダーでなければ、従事できないのです」
丸「万能選手ですか……」
高田さん「スタッフの想いを組んで働きやすい環境づくりにも着手します」
丸「全員の想いをひとつにするわけですね」
高田さん「そういうことです」
まずは患者様の声を拾い集める
丸「気にかけずに食べさせていただいていますが、大変だ」
高田さん「まずは患者様のヒアリング“で声”を拾い集めることが大切ですね。患者様は、正直です。美味しいものは美味しい、マズいものはマズい、ハッキリしていることしか言わないんです。お正月がくる春、冷たいものが欲しくなる夏、行楽シーズンの秋、クリスマス行事が多い冬。なんとか楽しんでもらおうと頭を巡らせています」
目指すは“京都らしい老舗料亭のお出汁の効いた味わい”
丸「どこを目指してお仕事をされてますか?」
高田さん「差し出がましいことですが、“老舗料亭の京都らしいのお出汁の効いた味わい”ですね。ですから、お出汁に力を入れるようにしています。お出汁は京都の文化ですから」
このとき、筆者は担当医師K先生に伺った時の言葉を思い出しました。
K先生「ウチの病院の栄養士さんは優秀で、味も抜群です。特にカボチャの煮物、煮魚、鶏料理なんかは美味しいと評判ですよ」
栄養士の高田さんには料理人としての志があり、その細やかな気配りが実際に「味の良さ」として料理に表れているのだと実感しました。
■
みなさん、病院食はマズいもの、と決めつけてはいませんでしたか? 真摯に食べ物に向き合っている方々、そして食べ物そのものに対して、私たちはもっと感謝してもいいかもしれません。 様々なアイデアを皆さんひねり出しいておられるのですから。
(執筆者: 丸野裕行)
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。