製品追跡、消費者と共有へ。仏の香水ブランド、RFIDタグ×QRコードでトレーサビリティ強化

大手アパレル店で、かごを置くだけで一瞬で複数の商品タグを読み取るセルフレジが導入されたとき、驚いた人も多いのではないだろうか。これには“RFID”という技術が活用されている。

今回、フランスの香水ブランド「Bastille Parfums」(以下、Bastille)が、トレーサビリティ強化のためデジタルソリューションを導入。サプライチェーンの可視性を高めるRFIDと、製品情報を消費者と共有するためのQRコードを組み合わせた取り組みを開始したと発表した。

原材料の調達から消費者の購入に至るまでのサプライチェーンにおける非効率性を特定し、より良い顧客サービス、業務の最適化を実現する構えだ。

非接触で識別・追跡。RFIDタグの威力

RFID(Radio-Frequency Identification)とは、電波を介して通信し、無線でモノを識別・追跡する技術。小売業界や製造業などの多様な産業で広く活用されている。

RFID機能を備えたタグ、通称“RFIDタグ”にはマイクロチップとアンテナが内蔵されており、リーダの無線信号によって一意の識別子をリーダ・デバイスに返信。

これによって、非接触かつ視覚的に遮蔽された状態でも、対象のモノを識別・追跡することが可能となり、サプライチェーンの管理、小売、物流、資産の管理など、多くのビジネスで活用することができる。

QRコードをスキャンするだけで詳細情報にアクセス可能に

今回のBastilleの取り組みは、成分開示に対する消費者の要望に応えたものであるとのこと。

Bastilleのフレグランスに、RFIDタグとシリアル化されたQRコードを付与することにより、スマートフォンやタブレットといったスマートデバイスでQRコードをスキャンするだけで、原料の原産地、瓶詰めをした日、香りの価値や組成、サステナビリティの詳細などの情報にアクセス可能なデジタル体験を実現するという。

なお今回の付与商品は、ベストセラーとなった「Pleine Lune」と新作の「Paradis Nuit」を含む2種類のフレグランスだ。

対象の製品はRFIDとQRコードで共通する固有のデジタルIDを付与されるため、消費者が得られる体験も製品ごとにユニークなものとなるという。

製品を追跡することで在庫管理の改善や偽造品の防止にも

今回Bastilleの取り組みに協力するのは、デジタルIDソリューションをてがけるオハイオ州のAvery Dennison Corporation(以下、Avery Dennison)だ。

Avery DennisonのRFIDテクノロジーにより、Bastilleはサプライチェーン全体にわたってRFIDタグを取り付けた製品を追跡可能となり、在庫管理の改善や、偽造品による被害を軽減することにもつながるという。

日用品に固有のデジタルIDを付与する「atma.io」

また今回Bastilleは、RFIDテクノロジーに加えてコネクテッドプロダクトクラウド「atma.io」を活用する。

Avery Dennisonが提供する「atma.io」は、日用品に固有のデジタルIDを付与することで、コネクテッドプロダクトの力を引き出すプラットフォーム。

同プラットフォームでは製品の供給元から消費者まで、そしてその先まで、個々の製品に関連するすべてのイベントをトラッキング、保存、管理する。

工場出荷精度の向上も実現

RFIDテクノロジーに加えてatma.ioを活用することは、すべての製品に固有のデジタルID、すなわち「デジタルツイン」が割り当てられることを意味する。

これらのソリューションを組み合わせることで、Bastilleは原材料の供給元から消費者に至るまで、サプライチェーン上のすべての段階で、すべての製品を追跡することが可能となる。同時にリアルタイムの注文管理を通して、工場出荷精度の向上を実現するという。

消費者とのやりとりなどを分析することにより、フレグランスコレクションに関する顧客エンゲージメントについての深いインサイトを得ていく構えだ。

参考元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000016.000076554.html

Avery Dennison 公式サイト:https://rfid.averydennison.jp/

(文・Haruka Isobe)

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