名取市閖上地区の観光スポットへ。絶品海鮮丼にサイクリングも
こんにちは。写真と旅とおいしいものをこよなく愛するフォトグラファー鈴木かなえです。
今回は、サイクリングで程よく身体を動かしながら、おいしいものを楽しめる場所があると聞いて、宮城県名取市の閖上(ゆりあげ)地区を旅してきました。閖上地区は2011年の東日本大震災で津波の被害にあったエリア。復興の進んだ今は、地元の食を楽しむことのできる商業施設がオープンし、被災した名取市サイクルスポーツセンターが再建されるなど、観光地としての賑わいも取り戻しつつあります。
そんな閖上へ、身体もお腹も大満足なリフレッシュ旅に行ってきます!
東京駅を出発
遠いようで近い宮城県名取市へ
行くぞ閖上! ということでやってきたのはJR東京駅。立ち並ぶビルのなかで新幹線を迎えるところから旅は始まります。
ホームに入ってきたのは白い車体にピンクと青が映える東北新幹線「やまびこ」。このやまびこに乗って乗換駅である仙台を目指します。
窓際の席に座ってのんびり朝ごはんを食べていると、あっという間にJR仙台駅に到着! 東京駅から2時間弱。「JR東日本びゅうダイナミックレールパック」であれば、新幹線と宿をお得なセットで予約できます。
仙台駅で東北本線に乗り換えて、列車に揺られること約15分。JR名取駅に到着です。名取駅は思っていたよりもずっと近い場所でした。
名取駅
開放感あふれる名取駅
1888年に増田駅として開業し、1963年に改名されて今の名前になった名取駅。
大きな窓ガラスと白い壁でできた駅舎は明るく開放感があって、「未来へ羽ばたく名取の翼」というデザインコンセプトにぴったりです。
名取市指定の天然記念物「衣笠の松」を描いたステンドグラス。
今回の旅は、この名取駅を拠点に閖上地区を巡ります。
閖上地区の「かわまちてらす閖上」へ
「かわまちてらす閖上」で食を楽しむ
1日目の目的地「かわまちてらす閖上」へは、乗合バス「なとりん号」で向かいます。
駅前から、なとりん号の東部閖上循環線に乗って約20分、「閖上中央第一団地北」停留所で下車。そこから5分ほど歩くと、かわまちてらす閖上が見えてきます。
かわまちてらす閖上は、東日本大震災からの復興のシンボルの一つとして、2019年に名取川沿いにオープン。平屋建ての商業施設には飲食店や海産物の販売店、美容室など27店舗が軒を連ねています。
名取川の土手に立って辺りを見回すと、犬の散歩をするカップル、芝生の上を走り回る子ども、飲食店のテラス席で食事を楽しむ人など、たくさんの人が思い思いに過ごしているのが目に入ってきます。
どこまでも広がる青空に悠々と流れる名取川、そしてそれぞれの時間を楽しむ人。かわまちてらす閖上には穏やかで優しい時間が流れていました。
かわまちてらす閖上で海鮮丼ランチ
宮城県産の新鮮な魚を召し上がれ
風景を楽しんだあとはお楽しみのランチタイムです。港の近くだし、おいしい海鮮を楽しみたい! ということで、「漁亭 浜や」で海鮮丼をいただきました。
11時半と少し早い時間だったにもかかわらず、ほぼ満席の店内。店員さん一押しの「かわまちてらす丼」をオーダーします。数分後、「お待たせしました」の声とともに出てきたのは豪華な海鮮丼。あら汁とお漬物がセットになっているのもうれしい!
新鮮な具材の乗った海鮮丼の美しさ。まぐろや甘えびなど8種類の海鮮のなかでも、目玉は近くの閖上漁港で水揚げされたしらす。ふわふわの釜揚げしらすも、つるんとした生しらすもどちらもいい塩加減でおいしい!
具材がごろごろ入ったあら汁もおいしくて、あっという間に平らげてしまいました。
かわまちてらす閖上で食後のデザート
旬の果物のおいしさを楽しむジェラート
海鮮丼をいただいたあとは、食後のデザートを求めて「MINAMO GELATO」へ。
旬の国産フルーツを使ったジェラートを楽しめるこちらのお店では、季節限定フレーバーの白桃と、定番人気のブルーソルトのジェラートをいただきました。
白桃のジェラートはまさに桃! 桃にかぶりついた時と同じジューシーさが口のなかいっぱいに広がります。ブルーソルトはミルクの甘さに、ほんの少し塩気を足した柔らかい味わい。ジェラートのおいしさに心が満たされました。
かわまちてらす閖上 笹かまぼこ手焼き体験
焦らずじっくり。笹かまぼこ手焼き体験
お店を見て歩いていると「蒲鉾屋 ささ圭」の「手わざ笹蒲鉾」と書かれた暖簾が目に留まりました。仙台名物の一つといえば笹かまぼこ! 大好きなお土産品の一つです。
「笹かまぼこ手焼き体験」のポスターを発見。気になったので入店してみました。
真っ白でつるんとした見た目の笹かまぼこ。それをコンロの上で炙っていきます。ちなみに、笹かまぼこ手焼き体験は予約なしでも体験可能です。
炙る時のポイントは、網に笹かまぼこを付けないように、20〜30秒ごとにひっくり返して両面を均等に火にあてること。炙り始めて数分たつと、おいしそうな香りが。手に持った笹かまぼこにかぶりつきたくなる気持ちを抑えて、裏、表、裏、表と丁寧に火にあてていきます。
体験開始から約10分、いい焦げ色のついた笹かまぼこの完成です。焼きたての笹かまぼこのおいしさは格別でした。
ささ圭の笹かまぼこは、原材料にすけとうだらのみを使用しており、合成着色料・合成保存料は使用していません。味だけではなく、新鮮さへのこだわりも強く、釣り上げたばかりのすけとうだらを漁船の上ですり身にしているそう。だから、しっとりときめ細やかで深い味わいの笹かまぼこができるんですね。
手焼きした笹かまぼこがあまりにもおいしかったので、一番シンプルな「吉祥」という笹かまぼこを自分と家族へのお土産に購入。
おいしいものを食べ、いいお土産も購入できて、お腹も心も満たされたところでかわまちてらす閖上を後にします。名取駅に戻り、近くのホテルにチェックイン。
名取市サイクルスポーツセンター
海風を感じながらLet’sサイクリング!
2日目のスタートは再び名取駅。なとりん号の閖上線で約15分、「名取市サイクルスポーツセンター」に向かいます。
名取市サイクルスポーツセンターは、海に面したサイクリングロードやフットサルコート、スケートボード場に子ども向けの遊具などを完備したスポーツ施設。施設内外で楽しめる自転車の貸出を行っています。
ロードバイクやクロスバイクのような本格的な自転車から、カゴのついたママチャリまで、さまざまな種類の自転車があります。どれを借りるか悩んでしまいそうですが、スタッフさんが「普段は自転車に乗るの?」なんて相談にのってくれるので、自転車初心者の方でも安心です。私はスタッフさんのおすすめで、人生初のクロスバイクに挑戦することに。
選んだ自転車のサドルの高さを調整してもらったら、ヘルメットを借りて出発!
名取市震災復興伝承館
震災の記憶と教訓を伝え続けて
名取市サイクルスポーツセンターから自転車で10分ほど走ると「名取市震災復興伝承館」に到着します。
名取市震災復興伝承館は、東日本大震災が起きた当時の様子、今日までの復興の歩みを見て学ぶことのできる施設。大きな大漁旗と、震災前の閖上地区を復元した模型が出迎えてくれます。
模型には、一軒一軒住んでいた人の名前や思い出が書かれた透明な札が立っていて、それを見て改めて、ここにはたくさんの人の日常が確かに存在していたのだな……ということに胸が痛みました。
閖上地区をバスや自転車で走っていると、建物がどれも新しいことに気付きます。それは裏を返せば、元々そこにあった建物が全てなくなってしまったことを意味しているんですよね。
今後起きるかもしれない震災に向けて、「どんなことができるのか」という防災についての展示も多く、東日本大震災の教訓を生かしてほしいという閖上地区の人々の気持ちを感じました。
あんどん松
震災前と変わらぬ姿を残す奇跡のクロマツ
震災復興伝承館から名取川沿いをまっすぐ5分ほど、かわまちてらす閖上を通りすぎた先に、背の高い立派なクロマツが立ち並んでいます。
「あんどん松」と呼ばれるこのクロマツ並木は、仙台藩の藩主であった伊達政宗が取り寄せて植えたもの。地元の漁師が海から戻る際に灯台の代わりにした、というのがあんどん松の名前の由来です。
東日本大震災の地震や津波にも耐えた46本のうち、現在は35本が青々とした葉を繁らせています。
名取市震災メモリアル公園
空に向かって伸びる慰霊碑
楽しいサイクリングタイムの最後は、あんどん松から20分ほど走ったところにある、「名取市震災メモリアル公園」に立ち寄りました。
公園の入口近くには、東日本大震災で亡くなった方々を悼む慰霊碑が建てられています。
震災の犠牲になった方が安らかに天に昇っていくイメージを表現した、白い「芽生えの塔」。上へ上へと伸びていく芽と同じように、上を向いて復興に向けて歩んでいこうという決意も込められています。
震災メモリアル公園で祈りを捧げたあとは、自転車返却のため名取市サイクルスポーツセンターへ約5分の道のりを走ります。潮の香りを感じながらのサイクリングはとても気持ちよく、自転車を返すのが名残惜しいぐらいでした。ちなみに、サイクリング後はスポーツセンターに併設する「名取ゆりあげ温泉」を利用して、汗を流してサッパリするのもおすすめです。
自転車を返却したら、再び名取駅へ。名取駅から仙台駅経由で東京へ帰ります。のびのびと身体を動かしながら、おいしいものを食べ、震災についても学んだ2日間。とてもいいリフレッシュ旅になりました。
東京駅に到着
掲載情報は2023年10月12日配信時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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