どうすれば橋下徹の主張の矛盾は解消できるか
今回はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。
どうすれば橋下徹の主張の矛盾は解消できるか
橋下徹の主張の一番の弱点は、相手が苦痛を感じたか否かで、物事を判断しようとしている点。でも苦痛を感じるかどうかは主観的なものだ。性風俗でなくても4Kのような仕事はあるだろう。
原発作業員だって何年か後には、彼らをそういう仕事に付けたのは罪だということになるかもしれない。その時やはり「あの仕事は辛かった」と口にする人はいるだろう。
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やっぱ世界を説得するには、客観性のある基準を導入するしかない。で、日本を叩いている連中は、強制か否かや、民間か軍か、を基準に持ち出しているわけだ。自分たちには当てはまらず、日本に当てはまる条件を探して見つけるわけだね。
対抗するには同じように客観性のある基準を持ち出すしかない。一番シンプルなのは、現代の日本の性風俗産業を含めて、男の性欲を満たすための産業はすべて否定すること。ある意味、橋下徹が主張する「日本もアメリカも同罪」にマッチする。
ただこの場合、性風俗産業を運営しているのは民間だから、国家レベルで責任を直接問えないという弱点がある。野放しにしてるのは現地の国だし。
となると利用した兵士の責任、ひいてはそれを管理している軍の責任ということになる。管理不足だ、と。アメリカ軍が必死に性風俗産業の利用を否定するのもこのためだろう。あくまで管理が不十分という落ち度ということにしたいわけだ。
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逆にすべて問題ないという主張もあるだろう。なんとなく最初の頃の橋下徹はそういう主張をしていたように俺は受け取った。叩かれてその後軌道修正したようだが。
国営のものも含めて、性風俗産業は問題ない。あくまでその前提で従事する女性の保護や利益を守っていこうという考えであれば、日本の現状の性風俗産業はそれなりの完成度かもしれない。あくまで比較の問題だけど。
無謀な主張ではあるが、橋下徹はこの路線を貫くべきだったと思う。それなら支持をする人間もいただろう。一連の発言の初期の頃に橋下徹を支持していたのも、この手の人たちだろう。橋下徹自身「本音」を強調していた。それに対して一定の支持があったわけだ。
まあこの路線は早々に軌道修正されることになる。橋下徹自身、軌道修正するはめになることが最初にわかっていたら、この問題に口を挟もうとはしなかったのではなかろうか。この路線で行けると思ったので、乗り出したのではなかろうか。
結局この軌道修正を行ったために全方向から支持を失ってしまった。当初橋下徹を応援していた人々もこれで気勢を削がれてしまった。こりゃ下手に擁護すると自分の方が梯子を外されかねない、と。
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すべてOKという路線が行き詰まった以上は、慰安婦と性風俗産業の区別をしなければならない。日本の法律にもとづく合法性は根拠にならない。何らかの基準、すなわち慰安婦では損なわれるが性風俗産業では守られる女性の何らかの権利を示さなければならないだろう。
もっとも、それができるなら世界の性風俗産業はこんなに混沌としていないと思うのだが…。橋下徹が「自分の真意が伝わっていない」というなら、この点を見事世界中が納得するような形で定義する努力をすべき。ライフワークになりそうだが。
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現代の日本で性風俗産業に従事している女性は「生きるためではなく金のためにやっている」という発言からも、おそらく橋下徹の基本的な考えとして、従軍慰安婦も「低賃金でこき使ったのがまずかったのだ」という認識なのではなかろうか。十分な報酬を与え、喜んでその職業に就くなら問題ない、と。
まあそれもひとつの考えだと思う。しかし批判に晒され、「慰安婦の苦痛をお詫びする」と言い出した辺りから迷走が始まった。結局「苦痛」とはなんなのか?低賃金や劣悪な労働環境が問題なのか。
橋下徹の話を聞いてもよくわかんないんだよね。たとえば「強制された」のが苦痛というならわかるが、橋下徹は強制の事実を肯定してないから、それができない。じゃあ、橋下徹は結局慰安婦になにをお詫びしているのか。
侵略についても定義はないが、戦争に負けたんだから侵略と言われても日本は我慢しなければならないんだという。それなら従軍慰安婦について世界中から非難されても日本は我慢しなければならないことになると思うのだけど。
橋下徹の主張をすべて矛盾なく説明するとしたら、日本軍の兵士が韓国の女性を性欲解消の手段としたのは許せないが、アメリカ軍の兵士が日本の女性を性欲解消の手段にするのは大賛成だということだろう。橋下徹の本当の「本音」だ。
執筆:この記事はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。
寄稿いただいた記事は2013年5月21日時点のものです。
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