天空にいちばん近い列車「小海線」で行く北杜市“初”の旅行プランを先取り体験

山梨県北杜市はJR東日本グループと連携し、新たな旅行商品「小海線 観光列車『HIGH RAIL 1375』で行く グルメ・ワイン・美術館で過ごす大人の休日」を2025年12月以降に販売開始予定。同ツアーは、JR線で日本一標高の高い場所を走る小海線「HIGH RAIL 1375」を利用し、雪化粧の八ヶ岳や南アルプスを車窓から眺めながら冬の北杜市を満喫する大人の旅で、北杜市としては小海線を活用する“初”の旅行商品だという。そしてなんと今回、本来なら今年の年末まで待たなければならない同ツアーを先取り体験できる機会を得た。では早速、このツアーの見どころを紹介していこう。

HIGH RAIL 1375

「天空に一番近い列車」をコンセプトにした観光列車で、雄大な景色とともに特別な時間を過ごせる。高さを表すHIGHとRAIL、JR線の最高地点1375mを走る小海線から『HIGH RAIL 1375』と命名された。ところで、海のない山梨県の、しかも山の上を走っているのになぜ“小海”線なのか。実は平安時代に八ヶ岳連峰の天狗岳が崩落して千曲川を堰き止めた湖がかつてあり、それが「小海」と呼ばれていたことに由来しているのだとか。

車内で提供されたのは、地元のワイナリー「八ヶ岳グランヴェール ヴィンヤード」(後述)のワイン。車窓の先に降り積もった雪景色を眺めながらの雪見酒は最高だ。

野辺山駅

JR線で日本一標高の高い駅。記念撮影スポットとしても人気。

その標高は1345.67メートル。この地点標での記念撮影が目的の観光客は後を絶たないという。

駅舎の天井に描かれた満天の星空。さすが「天空に一番近い列車」が走る小海線の駅だ。

リゾナーレ八ヶ岳

ツアーの宿泊先は、まるでヨーロッパの街並みかと見間違えるようなリゾートホテル「リゾナーレ八ヶ岳」。ワインリゾートとしても知られる同ホテルは、世界的建築家マリオ・ベリーニによって手掛けられた。

テラス付きの客室には、好きな場所に配置できるクッションやヨガマットも用意。広々とした空間が気持ちを高揚させてくれる。

葡萄が描かれた壁画と葡萄棚をモチーフにしたデザインのビュッフェ&グリルレストラン「YYgrill」では、豪快なグリル料理が特徴の夕食と野菜をふんだんに使用した朝食のビュッフェ料理が楽しめる。

夕食のビュッフェメニューの一例。ワインに合うメニューが多くて、どれを食べようか迷ってしまいそう。

メインディッシュのグリルメニューは肉料理と魚料理から選択できる。

朝食ビュッフェもメニューが盛りだくさん。ほうとう(手前右)や甲斐宝丼(手前左)といったボリューミーだけど絶対に食べたいメニューもあるので、早起きしてお腹を空かせてから「YYgrill」に向かおう。

中村キース・ヘリング美術館

ツアー2日目の最初の目的地は、世界で唯一、キース・ヘリングの作品を専門に展示する「中村キース・ヘリング美術館」。

館内のいたるところに置かれたキース・ヘリング作品の数々。その数およそ300点。創造的かつメッセージ性が強いことで知られるヘリング作品だが、来日時のエピソードなどを詳しく紹介するコーナーもあり、彼の人となりを深く理解することができた。知れば知るほど、その早逝が残念でならない。

八ヶ岳グランヴェール ヴィンヤード

前日の『HIGH RAIL 1375』車内で提供されたワインを醸造した、昨年9月オープンのワイナリー。八ヶ岳の麓に広がるブドウ畑や醸造所も見学することができる。

八ヶ岳や富士山の雄大な景色を背景に、優雅な気分でワインテイスティングが楽しめる。

この日テイスティングしたのは白、ロゼ、赤の3種。左から「淡路結 Awaji Musubi 2023 Chardonnay」、「桜 Sakura 2022 Merlot」、「花菱 Hanabishi 2022 Merlot & Cabernet Sauvignon」。

Contrast Cafelys

ツアーの最後に訪れたのは、森の中に佇むフレンチレストラン&カフェ「Contrast Cafelys」。店名「コントラスト」は、あえてフランス語ではなく英語読みを採用。ベースはフレンチでありながら、各国籍やボーダレスな料理を提供することで日常と非日常の対比を表現しているという。

(手前から反時計回りに)「塩麹に漬けた信玄鶏の胸肉のポワレ 季節の野菜 グリーンマスタードソースで」「本日の小さな前菜」「ウイスキー白州の樽材でスモークした八ヶ岳湧水鱒のミキュイ 芽キャベツのフライとルッコラのサラダ仕立て」「チョコのテリーヌ マルジョレーヌ仕立て 矢崎屋ファームのブラッドオレンジのアイスクリーム添え」。

“他にない唯一無二のもの”を目指し、食材を最大限に活かしたシンプルな調理法で味わいに重きを置いているという。ちなみに写真右奥の足跡は、この日の早朝に野生の鹿が残したもの。

90年代後半から2000年代前半にかけてDVD専門誌の編集長を務めていた記者にとって、小海線は忘れられない路線として心の片隅にその名が刻まれていた。というのも、1997年に発売された「車窓マルチアングルシリーズ」の第一弾DVDが小海線だったのだ。まだそんなにタイトル数がなく、ネタもないため、幾度となく車窓マルチアングルシリーズは誌面を飾っていた。ただ、何度も取り上げたにもかかわらず、恥ずかしながら一度も小海線に乗ったことがなかった。それが今回、30年近くの時を経て、ようやく乗車することができたわけだ。実際に乗車してみると、前日降った雪で辺り一面が銀世界でDVDで観た景色ではなかったが、それでもおいしいワインを飲みながら、雪景色を車窓から眺めるなんて贅沢な経験ができたのだからよしとしよう。

そして、これまた初めて訪れた北杜市。山梨県だからワインがおいしいんだろうな、とは薄々感じていたが、まさかこんなにもワインに力が入っているとは。なんでも北杜市は、2008年に日本で初めてワイン特区に認定されたのだとか。そういった背景もあって、市をあげてワインを盛り上げているわけだ。これはワイン好きには見逃せないはず。まずは今回のツアープランが正式スタートする今年の年末を待って、ワインの旅へ出かけてみてはいかがだろう。

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