佐藤玲インタビュー 主演映画『Threads of Blue』も、初プロデュースの舞台も「そのもので遊ぶようなエンタメ感を追求していきたい」
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『科捜研の女』『遺留捜査』など人気ドラマでも監督を務める宗野賢一監督の映画最新作『Threads of Blue』が現在、全国順次公開中です。個性豊かな登場人物と緻密に張り巡らされた伏線や謎が、観る者を翻弄するサイコ・スリラー映画です。
主人公の縁(エン)役は、蜷川幸雄演出の舞台「日の浦姫物語」でデビュー、映画『沈黙‐サイレンス‐』『架空OL日記』『チェリまほ THE MOVIE』『死刑にいたる病』などで活躍する佐藤玲さん。
俳優として活躍する一方、今年3月には株式会社R Plays Companyを立ち上げ、プロデュース業も兼務。作品のこと、近況についても聞きました。
■公式サイト:https://threads-of-blue.com/ [リンク
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●予想もしない展開が待っているような、ノンジャンルな作風の印象でしたが、佐藤さんの最初の感想はいかがでしたか?
お話をいただいた頃、映画『TENET テネット』(クリストファー・ノーラン監督)の公開中だったのですが、映像的なギミックや時系列の入れ替えなど、見進めていくなかでコロコロ展開が変わっていくので、面白く思いました。わたし自身がそういう作品をあまりやったことがなかったので、とても楽しみになり、ぜひやりたいなと思いました。
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●すると2年くらい前だと思いますが、撮影時はいかがでしたか?
撮影期間は長くなかったのですが、和歌山県に行って集中してロケで撮ったこともありバタバタはしていたものの(笑)、事前の監督との話し合いで違和感があるところは特になく、理解して進められました。
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●作品が持っているテーマ性については、佐藤さんはどう受け止められましたか?
ジャンルをはっきりできない、不思議な読後感のある作品だと思いました。自分が見ている世界が、自分が本当に思っているとおりの世界なのかどうか、観終わった後にちょっと考えるような感じと言いますか、わたし自身がそういう作品が好きなので、楽しみながら撮影していました。
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●共演者の方たちもクセ者ぞろいと言いますか、存在感バツグンのみなさんです。
筒井真理子さん、野村宏伸さん、みなさん強烈な存在感なんです。真面目におかしなことをする、そういう表現を近くで拝見できたので楽しかったですね。エキセントリックな感じがすごかったです(笑)。
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●今回参加されてプラスになったことは何でしょうか?
主演映画はこれまでにも経験はありましたが、それこそ筒井さん、野村さんというお芝居のお手本になるような方々とご一緒させていただきながら、自分が主演として真ん中を走っていく、ということでしょうか。その責任感を感じることに尽きたと思うのですが、最後まで乗り切って行こうというパワーを感じることが出来たことは大きかったと思います。
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●立ち向かう覚悟も必要だったということですね。
演技の面でもそうですが、座長として折れちゃいけないなと思いました。おふたりの俳優としてのお姿などを見ながら、そう感じました。
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●ところで、今年はプロデューサーとしても起業されたそうですね。
もちろん俳優業も好きなので続けていくつもりなのですが、それだけじゃなく、一緒にやりたい人と集まって作品を作りたいと思っているんです。ちょっとずつ叶えられたらいいなと思っているところなんです。
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●ちょうどプロデュース作品第一弾、舞台『スターライドオーダー』もありましたね。
プロデュースなので、出演はしていないんです。36人の俳優さんに出演していただく実験的な舞台になりました。今回のこの映画は映像の実験ですが、劇場・演劇を使って何ができるかを考えたかった。たとえばメッセージ性を問うだけでなく、今回の映画のように映画自体で遊ぶみたいなこと、そのエンタメ感みたいなことを、わたしも今回の舞台でやってみたかった。自分でもそういうことをやってみたいなと思っていたんです。
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●その情熱は、どこから来ているのでしょうか?
みんなで何かをすることが元々好きなんです。あとは飲み会で人を集めるみたいな幹事体質ですかね(笑)。それから謎解きですね。今回の舞台もマーダーミステリーゲームで、舞台上で俳優たちが即興芝居を行い、観客も巻き込みながら、作品を届けていくという実験的なものでした。そこに参加する人を集めるのですが、たまたま乗っかってくれる人たちが多いから、映画・舞台が作れていけるんです。好きというのか得意というのか、これからもみんなで何かをしていくことを模索していくと思います。
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■ストーリー
ある薄暗いマンションの一室で、燃える車の絵を荒々しく描く謎の白髪の老婆・・・。
ちょうどその頃、山道での交通事故で両親と弟を失うという悪夢から目を覚ましたエン(佐藤玲)は、不吉な予感に襲われる。
なぜなら数日後に予定している家族旅行の行き先は避暑地の山であったからだ。
エンは父親に旅行をやめさせようと説得を試みるも、聞く耳を持たない。
そんな中、同じマンションの住人の百合子さんはエンに、夢で見た交通事故はもうすでに起こった出来事である、と告げる。
いったいどういう意味なのか? もしそれが本当だとしたら、今エンの目の前にいる家族はいったい誰なのか?
そして不吉な絵を描く老婆の正体は・・・・?
大阪・十三シアターセブン 公開中
ジストシネマ和歌山 公開中
アップリンク京都 10月20日公開
別府ブルーバード劇場 12月公開予定
(執筆者: ときたたかし)
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