ヴェネチア国際映画祭XR部門ノミネート作品「Sen」を体験 心拍と連動する茶碗がVR空間へいざなうインタラクティブアート
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8月30日から開幕する第80回ヴェネチア国際映画祭。こちらのエクステンデッドリアリティ(XR)部門「Venice Immersive」に、伊東ケイスケ氏が監督を務め、Psychic VR LabとCinemaLeapの2社が共同製作したVRアニメーション「Sen」がノミネートされています。映画祭に先行して国内のメディア向けに開催された体験会に参加して、実際に作品を体験してきました。
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Senは、千利休が所持した長次郎の黒楽茶碗「万代屋黒」をモデルにした茶碗型デバイスを手に持ち、VRヘッドセットを装着して体験するインタラクティブアート作品。体験者は日本の茶室に身を置き、手にした茶碗から生まれるお茶の精霊“Sen”と一緒に日本の伝統世界を体験していきます。
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茶碗型デバイスの中にはVRトラッカー「VIVE トラッカー」が装着されていて、体験スペースに設置されたベースステーションが空間上の位置や角度を認識します。茶碗型デバイスを動かすと、作品の中でエフェクトやキャラクターの動きが変化する仕組み。
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体験者はVRヘッドセット「VIVE Pro」を装着し、座布団に座って茶碗型デバイスを手に持った状態で作品を体験します。体験スペースでは複数人が同時に参加でき、同じVR空間を共有して体験に臨むことができます。
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このとき、体験者は手首にスマートウォッチ「Pixel Watch」を装着。自分の心拍数と連動して茶碗型デバイスが振動し、心臓の鼓動を感じながら作品世界へ没入していきます。
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作品の上映が開始すると、茶碗の中からSenが誕生。茶室の中に展開する自然や風景をSenと一緒に体験しつつ、他の体験者ととながった茶碗やSenの存在を感じながら体験を共有していきます。浮遊感のあるパーティクルで表現された3Dグラフィックスは、ある場面では流れるように、また別の場面では溶け合うように姿を変えながらVR空間を表現。最後にSenは手元の茶碗に戻り、日常の茶室に戻ったところで上映は終了します。
15分程度の上映時間でしたが、どこか旅に出て帰って来たような達成感のある体験ができました。非日常的な空間にいても、茶碗の触感の温かみと鼓動に合わせた振動が、不思議な安心感を与えてくれたのが印象に残っています。今後は商業施設などで、一般の人も体験できる場の提供を検討しているとのこと。機会があれば是非、体験してみてください。
Venice Immersive 2023 – Sen(YouTube)
https://youtu.be/o0myFugli4A?si=-EGPCvNQMiBCw0N-
「Sen」作品紹介ページ
https://keisukeitoh.com/
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宮原俊介(エグゼクティブマネージャー) 酒と音楽とプロレスを愛する、未来検索ブラジルのコンテンツプロデューサー。2010年3月~2019年11月まで2代目編集長、2019年12月~2024年3月に編集主幹を務め現職。ゲームコミュニティ『モゲラ』も担当してます
ウェブサイト: http://mogera.jp/
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