不正競争防止法の改正その1(メタバース規制も視野に)

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不正競争防止法の改正その1(メタバース規制も視野に)
令和5年6月7日、「不正競争防止法等の一部を改正する法律案」が可決・成立し、6月14日に法律第51号として公布されました。このうち、ごく一部については、令和5年7月3日から施行されています。知的財産の分野におけるデジタル化や国際化の更なる進展などの環境変化を踏まえ、主に以下の内容が含まれます。

①デジタル空間における模倣行為の防止
②営業秘密・限定提供データの保護の強化
③外国公務員贈賄に対する罰則の強化・拡充
④国際的な営業秘密侵害事案における手続の明確化

本コラムでは、「①デジタル空間における模倣行為の防止」について、説明します。

1 改正内容

現行の不正競争防止法では、有体物(データ上のものでなく、実際に手に取ることができるもの)の商品を想定し、他人の商品形態を模倣した商品(酷似したモノマネ品)の提供行為(形態模倣行為)を規制していました(同法2条1項3号など)。もっとも、近年、デジタル技術の進展、デジタル空間の活用が進み、現行法では想定されていなかったデジタル上の精巧な衣服や小物等の商品の経済取引が活発化しております。さらには、メタバースの出現により、これへの対応も求められるようになりました。このため、有体物に加え、デジタル空間上の商品の形態模倣行為(電気通信回線を通じて提供する行為)も規制対象とし、デジタル空間上の商品の保護を強化することとしました。

2 どう影響があるか。

まだ、どのような行為が「模倣」となるかについては、経済産業省の見解や裁判例の集積が待たれるところではありますが、以下の影響があります。例えば、オンライン上(例えばゲームの世界など)で、Aさんが著名なブランドの服の形や色を真似て作成し、これを有償で販売したとします。今までは、画面上のものは「手に取る」ことができなかったので、規制の対象外と解釈可能でした。しかし、改正後は、データ上の物も規制の対象となりますので、ネタ元の著名ブランドの服が流通から3年以内であれば、そのブランドの権利を持つ会社から、販売差止や、損害賠償請求をされる可能性がありますし、場合により刑事罰を科されることもあります。メタバースの世界ではより、メタバース上での衣類や小物等の売買が盛んになると想定されるので、それを踏まえて法改正されたものと推察されます。

冒頭の②以下については、またJIJICOで解説させていただきます。

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