3Dカメラ搭載で裸眼立体視ができるタブレット「nubia Pad 3D」レビュー Stable Diffusionによる3D画像のAI生成機能も

ZTEは2月27日(現地時間)から開催された「MWC Barcelona 2023」で、3Dカメラを搭載して裸眼立体視ができるタブレット「nubia Pad 3D」を発表しました。グローバルな発表ですが、ZTEのTwitter日本語アカウントでもツイートしている通り、国内での販売も予定している製品。

先行して実機を試用することができましたので、レビューにてご紹介します。

3DインカメラとAIによる視線トラッキングで裸眼立体視を実現

Nubia Pad 3Dは、Android 12ベースのOSにSnapdragon 888 チップセット、Adreno 660 GPU、8GBメモリー、128GBストレージを搭載する充実した仕様のタブレット。重量は約780g。

12.4インチ IPS 2560×1200ドット、リフレッシュレート120Hzの大画面ディスプレイに、Leia社が開発する裸眼立体視技術を採用しています。「DLB(Diffractive Lightfield Backlight、回折型ライトフィールドバックライト)」と呼ぶバックライトを搭載する3Dディスプレイとインカメラからの視線トラッキングにより、裸眼立体視を実現しているのが大きな特徴です。

2眼のインカメラがユーザーの顔の位置と視線をとらえ、AIがリアルタイムに左目用の画像と右目用の画像を制御することで、視差による裸眼立体視を可能にする仕組み。画面から飛び出す立体というより、画面の向こうに奥行きを感じる見え方になります。ユーザーは1人だけでなく、同じ画面を複数人で見ても立体視できるのがポイント。タブレットを囲んで複数人が一緒に3Dコンテンツを楽しむことができます。

写真で伝えるのはなかなか難しいのですが、動画ではユーザーの視線や顔の位置が移動することで視差が変化する様子を確認できます。

アウトカメラとインカメラのどちらも3D撮影に対応

立体視できる3D画像や動画のサンプルは、あらかじめいくつか収録されているのですが、nubia Pad 3Dは3Dコンテンツを見るだけでなく、作成することもできます。アウトカメラとインカメラが、それぞれ2眼の3D撮影に対応するのです。

アウトカメラは1600万画素の2眼でf/1.85、視野角は77°。

アウトカメラで実際に撮影してみました。人物のバストアップで背景に木があるなど奥行きを感じさせる構図は、かなり立体感を感じさせる3D画像になります。突起がある形状の物撮りも効果的。撮影後にはすぐに3D処理され、その場で3D画像としてプレビューすることができます。

一方、奥行きを感じにくい遠景の建物などは立体に見えづらいようです。

視線トラッキングに用いたインカメラも、3D撮影に対応します。800万画素の2眼でf/2.2、視野角は105°。

インカメラで撮影してみました。自撮りの構図は自然とバストアップになり、かつ奥行きが出しやすいので、撮影した写真の立体感は良好。

自撮りで動画を撮ってみたところ、拳を突き出す動きは手前に飛び出してくるように見えました。効果的な構図や動きを工夫すると、面白い3D動画が撮影できそうです。

AIによる3D画像生成など専用3Dアプリが充実

Leia社が開発する3D関連アプリがプリインストールされていて、電源を入れればすぐに3Dコンテンツが楽しめます。

まず最初に活躍するのがビューワー、変換アプリの「LeiaPlayer」。あらかじめ収録された静止画・動画のサンプルデータを3Dモードや2Dモードで表示したり、深度やフォーカスを調整して裸眼立体視に親しむことができます。

後述するカメラで撮影した画像を確認したり、他のアプリで共有する機能も利用可能。

共有の際、静止画は1枚の画像もしくはサイドバイサイドの立体視用画像で共有できますが、動画はそのままではmp4形式の動画として共有されるので、サイドバイサイドの3Dタグをアプリ上で付加して共有することができます。

カメラアプリ「LeiaCam」は、Leiaアプリ群で3Dデータとして扱えるLIF(Leia Image Format)形式の写真やLVF(Leia Video Format)形式の動画を撮影できるカメラアプリ。

今までにスマホで撮影した画像や動画も、簡単にLIF/LVFフォーマットで取り込むことができます。iOS/Androidで配布されている「LeiaLink」アプリをスマホにインストールして、画像の共有メニューから「LeiaLink」を選ぶとLeiaアプリで利用可能に。LeiaPlayerの「Lume Link」のタブから共有した画像を同期して表示できます。

もうひとつ、ユニークな3D画像の作成方法が用意されています。それが画像生成AI「Stable Diffusion」と連携する3D画像作成アプリ「LeiaDream」。テキスト入力で3D画像を生成し、保存した画像をLeiaPlayerなどのアプリから共有できます。

3D画像をコミュニケーションに利用

Leia社の3D技術やアプリを見たところ、3D画像や3D動画をコミュニケーションに活用する狙いがあるようです。「LeiaPix」は、撮影した3D画像を投稿できる“3D画像のInstagram”的なアプリ。投稿された画像には「いいね!」やコメントが付けられます。

nubia Pad 3Dを持つユーザー同士で3Dビデオチャットができる「LeiaChat」アプリも用意されています。お互いの顔が臨場感ある3D映像になっていると、コミュニケーションも活発になる効果がありそうです。

この他、YouTubeやVimeoなどのサイドバイサイド映像を集めた「LeiaTube」、米国のみで展開する3D映画の配信サービス「LeiaFlix」、3D画像のスライドショーを表示する3Dフォトフレーム「LeiaFrame」といったアプリが用意されています。

これら3Dアプリは、専用アプリストア「Leia Appstore」からインストールしたりアップデートができます。今のところ数本のデモ版のみが公開されていますが、今後50タイトル以上のゲームアプリも公開されるそうです。

基本性能も充実したAndroidタブレット

3D用途だけでなく、タブレットとしての基本性能も充実しています。両側面に2基ずつ、計4基のスピーカーを搭載し、Dolby Atmosに対応。

「Amazon Prime Video」や「Disney+」で、迫力のサウンドと美しい映像が楽しめました。なぜか「Netflix」はGoogle Playストアで「このアプリは、お使いのデバイスでは利用できません」と表示され、インストールできませんでした。確認したところ、Widevine L1には対応しているようなのですが……。

インタフェースはUSB 3.1(Gen 1) Type-Cポートを搭載。33Wの急速充電に対応します。バッテリー容量は9070mAh。

USB-CポートはDP ALT(Display Port Alternate mode)に対応し、モバイルディスプレイにUSB-Cケーブル1本で接続して映像を出力できます。

「NEW STATE Mobile」のような3Dゲームも滑らかに動作。もちろん、クラウドゲーミング「Xbox Cloud Gaming」で、コンシューマー用タイトルを美麗なグラフィックと迫力のサウンドで楽しめます。

ベンチマーク結果は、「Geekbench 6」のCPUベンチマークがシングルコアで1327、マルチコアで2242。「3D Mark」の「Wild Life」は5160、「Wild Life Extreme」は1327でした。

4月に発売を予定

ZTEのウェブサイトで公開されている販売日程によると、3月23日から4月11日に事前予約を受け付け、4月11日から4月25日にかけて一般に販売。ウェブサイトでメールアドレスを登録すると、50%OFFで購入できるソーシャルメディアキャンペーンに参加できます。記事執筆時点で、価格に関する情報は掲載されていません。

nubia pad 3d – ZTE
https://ztedevices.com/en-gl/nubia-pad-3d/[リンク]

Leia社は同一スペックで別ブランドとなるタブレット「Lume Pad 2」を発表しており、こちらは北米でLeia社が販売を予定しています。Lume Pad 2の販売価格は1099米ドル(約15万円)。米国での12.9インチの「iPad Pro」128GB Wi-Fiモデルが1099米ドルなので、同モデルの国内での販売価格17万2800円(税込)が、nubia Pad 3Dの国内販売価格に近い価格帯と予想されます。

RESERVATIONS OPEN FOR WORLD’S FIRST AI-POWERED 3D TABLET: AWARD-WINNING LUME PAD 2 BY LEIA INC.
https://www.leiainc.com/newsroom/reservations-open-for-worlds-first-ai-powered-3d-tablet-award-winning-lume-pad-2-by-leia-inc[リンク]

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shnsk

宮原俊介(エグゼクティブマネージャー) 酒と音楽とプロレスを愛する、未来検索ブラジルのコンテンツプロデューサー。2010年3月~2019年11月まで2代目編集長、2019年12月~2024年3月に編集主幹を務め現職。ゲームコミュニティ『モゲラ』も担当してます

ウェブサイト: http://mogera.jp/

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