山梨・リニア見学センターでリニアを体感!河口湖では星空を堪能
こんにちは、普段は皆さんに星空を届ける仕事をしている「つかけん」と申します。今回、私は山梨県の郡内地方へ、未来と過去をつなぎ、「宙」と「空」を体験する列車旅に出かけてきました。過去とは? 未来とは? さぁ、出発しましょう。
新宿駅
時速500kmの世界を体感!
今回の旅の目的地、山梨へはJR新宿駅から一路西へ! 新宿駅からJR大月駅までは、特急「あずさ」で1時間ほどです。大月駅に着くと、眼前に岩肌が露わになった不思議な形の山が飛び込んできます。標高634 m(東京スカイツリーと同じ高さ!)の岩殿山。戦国時代の山城、岩殿城跡でもあります。
大月駅前から富士急路線バス「県立リニア見学センター」行きに乗り、最初の目的地、「山梨県立リニア見学センター」を目指します。
バスに揺られること15分ほど。山梨県立リニア見学センターに到着です。山梨県内に建設された全長42.8 kmの山梨リニア実験線。そこに隣接する同センターには、「どきどきリニア館」と「わくわくやまなし館」の2つの施設があります。
まずは、どきどきリニア館を見学。まさに「未来」の乗り物と現在が交差する場所といえるでしょう。
入館してまず目に飛び込んでくるのが、巨大なリニアの車体。2003年当時の鉄道最高速度時速581kmを記録した試験車両MLX01-2の実物です。車内も見学可能。あ、客席が片側にしかないのは展示用だからです。
1階は「リニアを学ぶ」と題されたコーナーで、超電導磁石や歴代リニア車両の模型などとともに、リニア開発の歴史を知ることができます。リニアの開発が約60年も前から始められていたとは驚きでした。
2階は「リニアを体験する」コーナー。超電導リニアのしくみを、実験装置などを動かしながら学んだり、ミニリニアに乗って磁力浮上・磁力走行を体験したりすることができます。
体験コーナー内の超電導ラボでは、実際に超電導体が浮遊しながら高速で動いていく様子をサイエンスショー形式で見せてくれます。超電導体が磁石の上で約1cmほど浮かび上がり、宙返りなどをしながら滑るように目の前を通り過ぎていく様子に目が釘付けになりました。
3階は「山梨の未来が見える」コーナー。目玉はなんといってもリニア中央新幹線開通後の山梨をイメージしてつくられた巨大なジオラマでしょう。沿線のランドマークがしっかりと再現され、映像と合わせて四季折々の山梨の風景や行事などを紹介してくれます。
ジオラマの中にはリニア見学センターも再現されています。そうそう、ジオラマはクリスマス仕様(※)になっていて、ところどころにサンタクロースやトナカイがいました(笑)。
※取材は2022年12月に実施
リニアシアターもあり、時速500kmの走行を映像と振動で体験でき、山梨の交通発達の歴史も学ぶことができます。
また、3階の見学ラウンジからは、超電導リニアの走行試験の様子を見ることができます。走行試験は実施されない日もあるので、行く前にホームページでのチェックをお忘れなく!
山梨県立リニア見学センター
リニアグッズが大集合!
どきどきリニア館でリニアのすごさを体感した後は、隣のわくわくやまなし館に寄るのも忘れずに。1階がショップ、2階が山梨の観光情報コーナー、3階がリニア実験線を見下ろせる展望室です。
ショップには、リニアのグッズがずらり。お子さんが喜ぶものから大人のマニア心をくすぐるものまで……ここでしか買えないものもたくさんあります。私は息子(4歳)が列車好きなので、彼へのお土産にリニアのおもちゃをセレクト。
禾生駅
山並みを縫って富士山の膝元へ
山梨県立リニア見学センターを後にして、富士急行線の駅へと向かいます。時間が合えばバスにも乗れますが、天気がよければ歩くのもいいでしょう。途中には「道の駅つる」があって地のものを食べられるレストランもあります。
私は最短ルートを歩き、20分ほどで富士急行線の禾生(かせい)駅へ。音だけ聞いて「火星!?」って思っちゃうのは私の職業病(笑)。駅に入ると……駅名標がオレンジ色でした。やっぱり火星?(笑)
ところで、駅名標を見てお気づきかもしれませんが、富士急行線は「きかんしゃトーマス」とコラボしています。これは、沿線の富士急ハイランドに「トーマスランド」があるから。駅名標にはトーマスの仲間たちがそれぞれ割り当てられています。ラッピング列車も走っているのですが……残念、乗ることはできませんでした。
富士急行線の旅の楽しみは美しい山並みを眺めつつ、時おり顔を出す富士山を探すこと。山梨県は「山あり県」、県内だけで百名山を選べるほど。車窓からは、三ツ峠山や二十六夜山など数多くの名山を遠望できます。河口湖駅に近づくころには、富士山もその立派な姿を惜しげもなく見せてくれますよ。
富士ビューホテル
星ふる眺望の宿
河口湖駅に着き、ホテルの無料送迎バスに揺られること10分ほどで「富士ビューホテル」に到着。その名の通り、富士山の大パノラマが楽しめる宿です。富士山側の客室でなくても、たくさんの「富士ビュー」スポットから雄大な富士山の姿を楽しむことができます。
富士山は活火山ですから、その恵みのひとつが何といっても温泉です。富士河口湖温泉郷には5つの源泉があり、富士ビューホテルにはそのうちの「秀麗の湯」がひかれています。
男性浴室は古民家をイメージしたつくり。ゆったりとつかって、冬の湖岸で冷えた身体をしっかりと温めることができました。
ディナーはフランス料理のコース。前菜の「海の幸のマリネ セロリラヴのムスリーヌにサラダ添え ヴィネグレットソース」に魚料理の「真鯛のヴァプール ジャガイモのピュレ添え 蕪のクリームソース」、肉料理の「国産牛ロース肉のポワレ 彩り野菜添え 赤ワインソース」と、普段フランス料理に縁がない私にとって、頭の中に「?」が浮かぶ料理名がメニューに並びます。
どの料理も角が取れた優しい味わいで、見た目も心なしかクリスマスカラー。目にもお腹にも心にも満足な料理の数々でした。(※)
※編集部注:フランス料理のコースは2か月ごとにメニューが変わります。詳しくはこちら
富士ビューホテル
すぐそこに満天の星
さて、このホテルでいただくもう一つのメインディッシュが「星空」。富士山周辺は夜空が暗く、数々の星見スポットがあることで知られます。河口湖畔に建つホテルの周囲には建物が少なく、満天の星を仰ぐことができます。
奇しくも私が泊まった2022年12月14日は、ふたご座流星群の極大日。豪華絢爛な冬の夜空に、さらに流れ星が舞う贅沢な夜となりました。
河口湖駅
富士山でふじさんを食べる!?
翌朝、ホテルを発ち送迎バスで河口湖駅へ。富士急行線に乗って今日の目的地、富士山駅へと向かいます。
やってきた列車は「NARUTO×BORUTOトレイン」。きかんしゃトーマス同様、富士急ハイランドとコラボしたラッピング列車です。ところで、河口湖駅にはほかにもいろいろな車両が停まっていました。
車窓に富士急ハイランドを眺めつつ、わずか6分ほどで富士山駅に到着。スイッチバック駅なのでホームの先にどーんと駅舎がそびえます。
そして駅を出てみると……大きな鳥居! そう富士山は信仰の山でもあるのです。
駅から20分ほど歩いて着いたのは「ふじ山食堂。」。
古民家風のお店に入って注文したのは……名物「富士登山うどん」! 富士山形のかき揚げほかネギやにんじんなどがのったボリューム満点のうどんです。歯ごたえのある太めの麺は食べごたえもあります。
量が多くて飽きない? と心配になるかもしれませんが、味変にもなる特製味噌だれが一緒に運ばれてくるので安心! 自分だけのオリジナルな味付けを、ぜひ楽しんでみてください。
富士山レーダードーム館
かつての日本を守る砦へ!
腹ごなしもかねて再び歩いて富士山駅へ。そこから周遊バス「ふじっ湖号」で20分ほど、この旅最後の目的地「富士山レーダードーム館」に着きました。
1964年に富士山山頂に設置され、1999年にその役割を終えた富士山レーダー。台風から日本を守る砦として、日本に接近しつつある台風を観測してきた同レーダーの歴史と気象観測について学べる施設で、2022年に展示内容が一新されたばかりです。
日本は災害大国。私たちは過去に学び、未来へと教訓を語り継いでいかなければなりません。日本に暮らす私たちが知っておかなければならないことが展示にぎっしり詰まっていました。
そして、富士山レーダードームといえば作家の新田次郎さん! 彼の本名は藤原寛人さん。気象庁の職員で、富士山レーダードーム建設の推進役でした。展示室の一角には彼の原稿や作品などを展示したコーナーも。
最上階には、実際に富士山レーダードームで使われていたパラボラアンテナ(2代目)も展示されていました。
2日間、すばらしい晴天に恵まれ、まさに「宙」と「空」を満喫しつつ、未来と過去を巡る旅を終えることができました。では、バスで富士山駅に向かい、またまた富士急行線で東京に帰ることにしましょう。今度はどんな列車がやってくるでしょうか?
新宿駅
掲載情報は2023年2月14日配信時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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