にんじんの匂いは生と加熱で変わる!?香り成分の特徴とは
にんじん嫌いの理由に、匂いが苦手という人も多いのではないでしょうか。そこで、にんじんの匂い成分や、生と加熱後で匂いがどう変わるのかなどを、研究論文をもとに解説します。
にんじんの匂いの特徴
14品種のにんじんの匂いを嗅いで、その特徴を表してもらったところ(※1)、「フルーティー」「青くさい」「ツンとした」「甘い」「すえた」「フレッシュな」「インクのような」という表現がみられました。
1 トレーニングを受けた8人の専門家が試験に参加。試験方法は、「官能評価/QDA:定量的記述法(※2)」とGC/MSによるメタボロミクスを利用し、表現は「評価用語(※3)」を使用。
2 官能評価とは:人の五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)に頼って物の特性や人の感覚そのものを測定する方法をいい、具体的には大勢の人(パネル)に、一定の条件で、与えられた試料を、見る・嗅ぐ・味わうなどをして設問に言葉や数字(尺度)で答えてもらい、結果を統計的に解析すること。
3 評価用語とは:人による官能評価の際に用いる、「甘いにおい」「なめらか」「サクサク」などの、食品の品質を精密に評価する言葉を整理・分析したもの(官能評価用語)。
香気成分を分析したところ、上に挙げたような香気の特徴と関連が強い成分を、以下の表のように検出することができました。なかでも「ツンとした」香りは、①サビネンや②酢酸ボルニルなどの成分と関連が強いことがわかりました。これらの成分は、青臭いと感じる匂いにも関連しています。
加熱すると、匂いはどう変わる?
にんじんの上下1cmを切り落とし、皮をむいて縦半分に切り分け、一方を生のまま、もう一方を蒸し器で15分間加熱しました。それぞれの匂いの特性を官能評価により比較し、さらに香気成分を抽出したところ、以下のような特徴がみられました。
●生のにんじん
[官能評価]
砂糖のようにすっきりした甘さ
青臭く、にんじんらしい匂い
[香気に含まれる主要成分の評価用語]
2-ノネナール:野菜の青臭い匂いを有する成分
ゲラニオール:花のような匂いを有する成分 など
●加熱したにんじん
[官能評価]
さつまいものような甘さ
まろやかで重みのある匂い
[香気に含まれる主要成分の評価用語]
2-ノネナール:野菜の青臭い匂いを有する成分
メチオナール:じゃがいものような匂いを有する成分 など
にんじんの匂いが苦手な場合の調理法
研究から、にんじんは生よりも加熱すると匂いがまろやかになることがわかりました。匂いが苦手な人は下茹でしたり、すりおろしてカレーなどに入れたりすると、おいしく食べられるでしょう。
にんじんの匂いが苦手な場合の調理法はコチラ
にんじん特有の匂いが少ない品種はコチラ
最後に
にんじんを加熱することで匂いをやわらげ、おいしく食べてください。
[にんじん]料理別の切り方と保存法
β-カロテンの含有量は、野菜の中でもトップクラス。生育には低温が適し、生産地を移動しながら一年中つくられています。日本には、中国を経て17世紀に伝来。短く太い西洋種が主流です。
最終更新:2022.12.21
文:アーク・コミュニケーションズ
イラスト: 林タロウ
監修:カゴメ
出典:
農研機構
「にんじんの香気特性の品種間差異とそれを形成する重要香気成分の特定」(にんじんの香気成分)
「官能評価用語 おいしさ評価のための科学技術」(官能評価用語について)
J-STAGE
「官能評価とは何か、そのあるべき姿」(官能評価について)
「にんじんの香気特性について」(生と加熱でのにんじんの香気成分の違い)
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