SHEINで激安ワンピースを購入した結果(辛酸なめ子)
あらゆる物価が上がる中、何かで節約しないとやっていけない……。円安で輸入の服が値上がりして、おしゃれなセレクトショップに行って値札を見ると7万、8万という表記が見え、敗北感とともにラックに戻したりする日々です。
そんな中、最近Z世代に大人気の中国発のファストファッションがあると聞いて、X世代ですが、試してみました。「SHEIN(シーイン)」という名前のサービスで、世界で急拡大しているグローバルECブランド。売上高はユニクロやZARAを超えたとも言われています。
「SHEIN」アプリがあったのでさっそくダウンロード。見てみると、想像以上の安さに驚きました。安いものでシャツ1192円、ジャケット1383円、スウェット1154円、スカート1412円……0が一つなくなった感じです。
安すぎて当たり外れもあるらしく、SNSでは「SHEINガチャ」という言葉も使われているくらいです。でも外れでも、ふだんの一枚ぶんの値段で6~7着は買えるので、そんなにダメージはありません。コスメや雑貨も安くて使えるみたいですが、初心者なのでまずは服から購入。
せっかくなので究極の高見えを目指してワンピースやドレスを選んでみます。「ロングスリーブ」「ブラック」「プレーン」「カジュアル」「エレガント」「ショート」「リースリーブ」「ボディーコン」……など16ものデザインのジャンルから選べたり、かなり細分化されていました。モデルはレディースの場合、ほとんどが欧米人の美女で、中国ではなくアメリカのサイトかと思うくらいです。アジア人の体型には合わないのでは? と一瞬思いましたが、購入者の詳細なレビューが。
「身長150cmには長すぎました」「デカすぎる。これはもう選択ミスすぎた…」「ワンピースの長さは足首見えるくらいです」「148cmでSでロングワンピって感じでした」といったコメントが参考になります。コスパが高いからか皆さん大体好意的で「かわいかったーーー!!!」「ガチかわいい」「本当に本当にめちゃくちゃかわいい」とテンション高めの文体に若さを感じます。
と思えば、茶色と紺の花柄ワンピに「70代ですが落ち着いた色と柄でとても気に入ってます」といったコメントがついていて、幅広い年代に浸透しつつあるようです。今までの高い服はなんだったんだろうと思う価格帯ですが、リアル店舗を持たない強みがありつつ、中国の工場でかなり安い人件費で作られているようで、フェアトレード的にはその点が懸念されます。一着一着、作った人に感謝して大切に着たいです。
購入したのはタータンチェックとネイビーの生地が合わさったデザインのワンピース。なんと1514円。それから黄色とベージュのツートーンワンピース2201円。1円単位という厳密な価格設定です。税金などが加算されて2着4116円で、400円の割引クーポンを使用し3716円に。古着でもないワンピース2着を4000円以下で買えるとは! 3000円以上だと送料0円というのもすごいです。
10/4に購入し、10/5に中国から発送。10/9着という、想像以上の早さで感動です。発送先の住所を調べたらかなり遠い広東省の三水区という地区で、そこから無料で届けてもらえるとは、申し訳ないくらいです。
黄色いワンピはポリエステル95%、エラスタン5%という生地感で、化繊なのでしわっぽさが気になりますが、ウエストがほどよく絞られていてシルエットはいい感じです。
タータンチェックのワンピはコットン32%、ポリエステル65%、ビスコース3%。コットンが入っているので生地もしっかりしています。2着ともポケットや裏地などはありませんが贅沢は言えません。
それぞれ着た姿を人に見せて所感を聞いてみました。黄色いワンピについては、「いくらに見えますか?」と聞いたら「普通に2~3万?」と言われ、「2000円くらいです」と言ったら驚かれました。ただ、形状的に美しい形をキープするのが難しいのか、一日着用したらちょっとヨレヨレ感が。
紺とタータンチェックのワンピースは、「AKBっぽい」と言われて若干恥ずかしくなりましたが、いくらに見えるか聞いたら「1万3800円」という意見から「4~5万円」とわりと高査定。値段を伝えたら驚きの叫びのリアクションが。「よく見たら柄合わせができてないけど全然いいね」というコメントが。チェックの身頃と袖が少しズレていたようです。女性の厳しい目で見ても評価が高かったです。
今回「SHEIN」で買ってみて実感したのは、意外な弊害です。安い服を買っているイメージが友人知人についてしまったので、今後普通に数万円の高い服を着ていても、あれも2000円くらいでしょ、と思われてしまいそうです。そのことに気付き、「SHEIN」の沼から抜けられなくなりそうな予感が。またアプリを起動し、2000円くらいのワンピとスカートを購入してしまいました……。高い服でマウントする快感よりも、安さに驚かれる快感の方が勝ってしまったかもしれません。
(イラスト・文:辛酸なめ子)
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。