山形・最上三十三観音。美しい景観と温泉に癒やされる御朱印旅

山形・最上三十三観音。美しい景観と温泉に癒やされる御朱印旅

こんにちは。御朱印好きライターの井口エリです。

山形は古くから巡礼が盛んだといわれます。松尾芭蕉の「五月雨をあつめて早し最上川」で有名な最上川に沿って点在する「最上三十三観音」の札所は、開創が570年以上前。歴史ある巡礼地です。

第33番まである各札所は風光明媚な場所ばかり! この最上三十三観音、全てをまわるのはなかなか大変ですが、今回は自分のような巡礼初心者も行きやすい、駅から比較的まわりやすい札所を中心に参拝しました。

東京駅

東京から約2時間半。自然に癒やされる巡礼旅へ

JR東京駅から山形新幹線「つばさ」に乗車します。今回は、新幹線駅であるJR山形駅とJRかみのやま温泉駅が最寄りとなる札所を参詣しつつ、温泉やグルメを楽しむプチ巡礼旅です!

最上三十三観音の札所へ行くのははじめて。どんな景色が待っているのか楽しみです。

山形新幹線 つばさ

約2時間30分で山形駅へ到着。山形駅からはバスと徒歩で唐松観音を目指します。バスの本数が限られているので、おでかけ前に確認しておくことをおすすめします。唐松観音の最寄りは「唐松観音」バス停ですが、「防原」バス停から歩くこともできます。

唐松観音

日本一の芋煮鍋がお出迎え 唐松観音

最上三十三観音 第5番 唐松観音(曹洞宗 唐松山 護国寺)

最上三十三観音 第5番 唐松観音

まず向かったのはこちらの札所「最上三十三観音 第5番 唐松観音(曹洞宗 唐松山 護国寺)」です。山の中腹に、京都の清水寺を真似て建立したという朱塗りのお堂が建っています……! 夢を見ているみたいな光景。

唐松観音は、平安時代、平清水の郷民森山氏の妻が戦死した夫の冥福を祈るため開山したといわれています。また、京都一条殿の豊丸姫が清水観音のお告げによって訪れ、旅の途中で、当地に住む炭焼き藤太と大恋愛の末結ばれ、末永い幸せを願って豊丸姫の念持仏である観音像を安置したのが始まりという説もあります。

唐松観音の下にながれる馬見ヶ崎川

下には清流が流れる

お堂へ向かうには赤い橋を渡りますが、その下には馬見ヶ崎川が。川の水もすごくきれいで参拝前に清められるような気分……!

唐松観音 入り口

お堂の入り口には、年季の入ったものからつい最近のものまで、巡礼者が願いを記した納札(おさめふだ)がたくさん貼ってありました。普段からたくさんの人が願いを胸にこの地を訪れていることがわかります。

唐松観音

山の中腹にお堂はあります

県内唯一の懸崖(けんがい)造りの建物であるお堂は、下から見上げてもかなりインパクトがあります。山形市内の有志によって改築されたお堂は、現在は山形市街十景のひとつにも数えられます。

唐松観音 御朱印

お堂への道中に納経所があるので、参拝後そちらで御朱印をいただきました。訪問時は、14年ぶり(※)の御開帳のタイミング(2022年10月31日まで)で、一緒に記念御影(観音様のお姿や御詠歌を描いたもの)と記念散華(供養するための花びらを模したもの)をいただけました。

※編集部注:本来は12年に一度、子年に開催ですが、新型コロナウイルス感染症の影響で2年延期となり、14年ぶりの開催となりました

芋煮鍋

芋煮鍋

「唐松観音」バス停の近くには、「日本一の芋煮会フェスティバル」で実際に使用された初代の大鍋があります。芋煮鍋と観音堂のコントラスト……! 

六椹観音

山形駅から一番近い最上三十三観音 六椹観音

「唐松観音」バス停から「山交ビルバスターミナル」バス停へ。バス停からは1キロほどの距離を15分ほど歩いて「最上三十三観音 第8番 六椹観音(天台宗 六椹山 宗福院)」に到着です。

六椹観音 入り口

六椹観音 入り口

「徒歩」で観音様を目指すのは、より巡礼気分が高まりますね。巡礼への第一歩は、「札所参りをしてみよう」と思ったときに踏み出しているそう。実際にこちらまで来ることができたご縁に感謝……!

最上三十三観音 第8番 六椹観音

最上三十三観音 第8番 六椹観音

六椹観音は1,300年もの歴史を受け継ぐ信仰の場です。1869年(明治2年)、1877年(明治10年)、1880年(明治13年)と3度の火事にみまわれたにもかかわらず、観音堂だけは焼けずに残り、「観音様のお力によるもの」と益々信仰が深まったそうです。また、六椹(むつくぬぎ)が「六つ苦ぬき」に通じることから「参拝者の苦を抜き楽にする」ご利益があると伝えられています。

六椹観音 御朱印

御朱印をいただきました

六椹観音は、規模の大きなお寺ではないですが、参拝客が常に訪れている、人々に愛されているのを感じる気持ちの良いお寺でした。

奥羽本線

奥羽本線

15分ほど歩いて山形駅に戻り、山形駅からは奥羽本線で本日の宿のある「かみのやま温泉」へ向かいます。

かみのやま温泉駅

かみのやま温泉駅

かみのやま温泉駅に到着! 駅前にあるかかしを模したかかしカリヨン時計が目を引きます。駅からは、宿の送迎車で向かいました(事前予約制)。

仙渓園 月岡ホテル

歴史ある宿でバイキングと温泉を楽しむ

仙渓園 月岡ホテル

仙渓園 月岡ホテル

本日の宿「仙渓園 月岡ホテル」。創業は1644年(正保元年)。上山城外濠跡にあり、日本庭園のある、約380年もの歴史を持つ老舗の宿です。

客室からも見える日本庭園

客室からも見える日本庭園

月岡ホテルは日本庭園を囲むように建っており、客室からも日本庭園が見えます。池では錦鯉が泳いでいて、木々には鳥が訪れ、窓を開けると水の流れる音が聞こえます。い、癒やされる……!

夕食 バイキング

季節のこだわりバイキング

旅の楽しみのひとつは……やっぱりごはん! 月岡ホテルの「季節のこだわりバイキング」は自家菜園で栽培した野菜を使用した約40品目60種類のバイキングです。

米沢牛の牛丼

米沢牛の牛丼

数あるメニューから自分が好きだったのはこれ。米沢牛の牛丼で、スタッフさんに声をかけるとすぐにつくってもらえます。なによりもお肉が美味しい!

さて、お腹いっぱいになり、一休みした後はお風呂。

ら・ふらんすの湯 内風呂

ら・ふらんすの湯 内風呂

かみのやま温泉のお湯は、無色透明でさっぱりした肌触り。まるで化粧水のような、美肌効果や保湿効果が期待できる温泉なのです!

ら・ふらんすの湯 露天風呂

ら・ふらんすの湯 露天風呂

露天風呂はかけ流しで、お肌にいい美人の湯を贅沢に楽しむことができます。山形の地のものをたくさん食べてからの温泉。たいへん癒やされますね。

この日はおふとんでぐっすり眠ることができました。

ら・ふらんすの湯 内風呂

ら・ふらんすの湯 内風呂

もちろん、翌朝のお出かけ前にも温泉を楽しむことができます。散策の前に英気を養おうと思います!

高松観音

現実から離れたひと時 高松観音

2日目。「最上三十三観音 第11番 高松観音(真言宗 高松山 光明院)」へは、宿からタクシーで約5分。山の上にある観音様です。

最上三十三観音 第11番 高松観音(真言宗 高松山 光明院)

最上三十三観音 第11番 高松観音

暑い日でしたが境内に入るとひんやり涼しく、上へと続く階段を蝉時雨を聞きながら上りました。

高松観音 観音堂

山の上の観音堂

この日は青空が広がり、「日本の夏」って感じの景色でした! 緑に囲まれた歴史ある観音堂と、朱の「のぼり」のコントラストが眩しい。

高松観音 御朱印

御朱印をいただきました

御朱印をいただける別当院は山の下、少し離れた場所にあります。そちらでは巡礼者が願いを記す納札も授与していただけますよ!

納札

納札(打札ともいう。別当院にて)

参詣していると、どこの札所にも札が貼ってある場所があり、なおかつそちらではいろいろな色の札を見かけました。実はこれ、巡礼回数によって札の色が決まっているそうです。巡礼のモチベーションが上がりそうですね。
33カ所を一回り巡礼するだけでも大変なのに、何回も巡礼されている熱心な巡礼者の方がたくさんいることがわかります。それにしても金の納札、目立つしかっこいい。

さて、再度タクシーに乗って次の目的地へ。

上ノ山観音

温泉が湧く不思議な手水 上ノ山観音

タクシーで約6分。着いたのは「最上三十三観音 第10番 上ノ山観音(真言宗 水岸山 観音寺)」。ご本尊は、平安時代初期に都(京都)で活躍した歌人であり、国の要職も務めた小野篁公の守り本尊だと伝えられています。

最上三十三観音 第10番 上ノ山観音(真言宗 水岸山 観音寺)

最上三十三観音 第10番 上ノ山観音

上ノ山観音 洗心の湯

洗心の湯

境内ではこんこんと温泉が湧いています。温泉が流れ込む手洗鉢全体が温泉成分に覆われており、看板には「上山七不思議の一」の文字が。こういう不思議が、かみのやま温泉にはあと6つあるんですね。

上ノ山観音 御朱印

御朱印をいただきました

京都から遠いこの地に縁があり祀られることになった、小野篁公の守り本尊。伊能忠敬や渋江抽斎などの著名人も泊まったかみのやま温泉の歴史に触れ、手を合わせました。

かみのやま温泉

鶴が傷を治した伝説が残る かみのやま温泉散策

かみのやま温泉駅までは徒歩で15分ほど。散策しつつ向かいます。かみのやま温泉は、古くは「鶴脛の湯」とも呼ばれていました。脛(すね)に傷を負った鶴が脛を湯に浸し、傷を治したのを見て発見したという伝説が残る温泉です。

上ノ山観音から見た上山城

上ノ山観音から見た上山城

かみのやま温泉は「上山城」がある城下町でもあります。「羽州の名城」として広く知れわたった上山城は、1692年(元禄5年)に幕府の命により取り壊されましたが、1982年(昭和57年)に二の丸跡に3層の模擬天守が建立され、現在では郷土資料館となっています。

先ほどの上ノ山観音からも上山城が見えていました。常に上山城に見守られている感があっていいですねー。

かみのやま温泉 歓迎湯

温泉街らしく、足湯が点在しています。お湯を触ってみると、あっつい! 寒い季節の散策には特に重宝しそう。

暑い時期の足湯もいいものでしたよ。独り占めできるので……暑いけど……。

だんご本舗たかはし

地元の甘味に癒やされる だんご本舗たかはし

ここらでひと休みしたい。ということで、地元の人にも大人気だというお菓子屋さん「だんご本舗たかはし」へ。1918年(大正7年)創業の老舗です。

だんご本舗たかはし

創業当時から変わらない味だという「かみのやまだんご」。

かみのやまだんご

おだんごをいただきます

私が頼んだのはこちら!「しょうゆ」です。毎朝炊き立てのごはんからつくるというおだんごはもっちもち! 注文するとその場でたれをつけてくれます。

丸ではなく俵形のおだんごはちょっと珍しいかも? ほかにも、くるみ・ずんだ・こしあん・黒ごまなどがありました。(すべて税込120円)

かみのやま温泉駅 山形新幹線

かみのやま温泉駅から帰京

かみのやま温泉駅、大きい駅ではない駅にピッカピカの山形新幹線が入ってくる光景はゾクゾクしますね……。

寺院や緑に癒やされ、温泉や地元グルメも楽しむことができた1泊2日……満足な気持ちで帰京。

最上三十三観音。今回は4カ所巡ったので残り29カ所……。いつか時間ができたら、半袈裟で納札を奉納しつつのちゃんとした巡礼をしたい気持ちもあるけど、今は気長に少しずつ旅と巡礼を楽しんで、もっともっと山形の魅力を知りたいです!

東京駅

掲載情報は2022年9月28日配信時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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びゅうたび

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