【リフレッシュ旅】新定番・宮城県松島離宮で景色とグルメを堪能

【リフレッシュ旅】新定番・宮城県松島離宮で景色とグルメを堪能

温泉と地元食をこよなく愛す、旅ライターの野水綾乃です。旅好きになった学生時代から列車旅派の私。今回の目的地である宮城県松島も、青春18きっぷを握りしめて旅した遠い記憶が……。

日本三景のひとつとして古くから愛されてきた観光地の松島ですが、最近なにやら新しいスポットが増えているらしいのです。知らなかった松島に出合う旅へ、みなさんも一緒に出かけましょう。

東京駅

松島ってこんなに近かった?

JR東京駅からJR仙台駅までは東北新幹線で約1時間半。松島へは仙台駅で仙石線に乗り換えます。

仙台駅

新幹線と在来線の乗り換え通路に、懐かしの特急や急行列車のヘッドマークレプリカが飾られていました。1985年までJR上野駅~仙台駅間を走っていた急行「まつしま」のものも。新幹線が開通して、そのころよりはぐっと近くなりました。

仙石線

仙台駅とJR石巻駅を結ぶ仙石線に乗車します。

仙石線 車窓

JR本塩釜駅を過ぎたあたりから車窓右側に海がちらほらと見え始めました。JR松島海岸駅の手前では早くも松島らしい風景に。

仙台駅からは約40分。東京からは2時間ちょっとで松島海岸駅に到着しました。

松島海岸駅

2022年に完成したばかりの新駅舎を見学

松島の玄関口となる松島海岸駅。2022年3月に駅舎のリニューアル工事が完了し、新しくなりました。

松島海岸駅 展望台からの眺め

松島海岸駅の展望台からの眺め

改札を出る前に駅の中を少し見学。2021年に新設された1番線ホームには展望台が造られていました。展望台からは福浦島にかかる赤い橋まで見えます。

松島海岸駅

モダンな和を感じさせるたたずまいの駅舎です。同駅の齋愛子駅長によると、「2階のホームからエレベーターで出口までスムーズに移動でき、そのままバリアフリーで松島の観光スポットへ行けるようになりました」とのこと。リニューアル工事は、老朽化とバリアフリー対策が主だったそうです。

「松島の島々が天然の防波堤になり、町を守ってくれました」

そんな駅長の言葉が心に残りました。

松島海岸駅 お土産処

駅舎は1階がお土産処、2階がベーカリーカフェに。地元を応援するために、松島はもちろん、三陸沿岸の特産品もそろえているそうです。

宮城県 松島離宮

新スポットで観光も食もおまかせ

最初に訪ねるのは、2020年に誕生した「宮城県 松島離宮」。松島海岸駅からは徒歩約1分、本当に目の前なので迷うこともありません。日本庭園などの観光施設とお食事処やお土産処、コーヒーショップなどが入った複合施設です。

ちょうどお昼時だったので、まずは腹ごしらえにと1階のレストラン「松島離宮 浜焼グリル離宮」に立ち寄りました。

松島離宮 浜焼グリル離宮 店内

ショーケースに並ぶ海鮮や野菜から食べたいものを選んで会計し、テーブルのグリルで焼いて食べることができます。

浜焼グリル

おすすめは三陸産の活ホタテ。焼いても身が縮まらずにこの大きさですよ。名物の笹かまぼこも炙るとプクッと身が膨らみ、風味が引き立って感じられます。

JAPAN X 極厚!豚ロース、豚汁、ごはん

スタッフの方のおすすめで、蔵王山麓の自社牧場で育てるこだわりのブランド豚「JAPAN X」もいただきました。極厚のロースステーキは上質な旨みが噛むほどに広がります。

宮城県 松島離宮

屋上庭園から眺める松島湾に感動

「宮城県 松島離宮」には食事処や土産店が並ぶ無料エリアのほかに、1dayパスポート(大人税込600円)で見学できる有料エリアがあります。

宮城県 松島離宮 レツルタワー

まずはシンボルの「レツルタワー」。かつて松島には、1913年(大正2年)に外国人観光客の招致を目的に建てられた「松島パークホテル」がありました。その建物の一部である十角三重塔を復元したものになります。

レツルとは、松島パークホテルの設計者であるチェコ人建築家のヤン・レツル氏の名前。広島の原爆ドームの設計者としても有名です。総金箔貼りの相輪(そうりん)、国産漆を塗り重ねた欄干など、伝統的な日本建築の粋を集めた建物は必見です。

宮城県 松島離宮 屋上庭園 天空のピクニック

レツルタワーを通って屋上に出ると、そこは松島湾を一望する屋上庭園「天空のピクニック」。一人掛けのソファに体をあずけ、広がる海と空をしばらく眺めてしまいました。屋上庭園ではバーベーキューを楽しむこともできます。

宮城県松島離宮博物館

最後に紹介するのは「宮城県松島離宮博物館」。頭上にあるのは、宮城県歌津町(現・南三陸町)で発見された世界最古級の魚竜類・ウタツサウルスの原寸大模型です。ほかにも、塩竃神社近くで発見されたシオガマゾウの歯の化石など貴重な資料を展示しています。

シオガマゾウの歯の化石

シオガマゾウの歯の化石

松島温泉 松島一の坊

オールインクルーシブの温泉宿で贅沢ステイ

松島海岸駅から送迎バスに乗り、今宵の宿「松島温泉 松島一の坊」へ。

松島温泉 松島一の坊 ラウンジ

ラウンジからの景色に思わず歓声が。7000坪に及ぶ緑の美しい日本庭園の先に、穏やかな松島の海が広がっています。

こちらの宿、なにがうれしいって、このラウンジでの飲食をはじめ、レストランでの飲食やアクティビティなどすべての費用が宿泊料金に含まれるオールインクルーシブの滞在スタイルなのです。

クラフトビール 松島ビール

さっそくクラフトビール「松島ビール」の生で喉を潤します。

季節のジェラート

季節のジェラートも。湯上がりに味わうのも楽しみですね。

松島温泉 松島一の坊 客室

客室は2021年秋に完成したばかりのガーデンフロアのツインです。

客室と筆者

ガーデンフロアがあるのは2階。低層階だからこそ間近に感じられる庭園の緑と海の眺めが心を落ち着かせてくれます。なにも考えず、ぼーっと過ごすのが正解かもしれません。

客室の露天風呂

テラスにはなんと露天風呂も付いています。部屋のお風呂は温泉ではないのですが、好きな時間に絶景とともに浸かることができるのは、これまたうれしい。

松島温泉 松島一の坊

絶景ととろみのある温泉を楽しむ

松島一の坊がある松島温泉は2008年に開湯した、まだ新しい温泉郷。こちらの宿では自家源泉を所有していて、最上階の「展望露天の湯」と1階「庭がSPA」の大浴場で堪能できます。

展望露天風呂 八百八島

明るいうちに入っておきたくて、まずは展望露天風呂「八百八島」へ。遠く目線の高さに水平線と島々が見え、穏やかな海がどこまでも広がっています。

温泉は数億年前の地層から湧き出すもので、はっきりとしたとろみのある泉質に驚きます。

庭がSPA 岩盤浴

ガーデンフロアから近い1階の「庭がSPA」には、男女別の大浴場(内風呂)のほか、サウナと岩塩岩盤浴が備わっています。夜はこちらで静かに心と体を整えて過ごしました。もちろんサウナや岩盤浴の利用料も宿泊料金に含まれていますのでご安心を。

松島温泉 松島一の坊

オーダービュッフェで楽しむ松島の旬

さてお楽しみの夕食。シェフが注文ごとに目の前で仕上げるオーダービュッフェ。フレンチと日本料理それぞれに前菜や魚料理、肉料理などのメニューがあり、好きなものを自由に組み合わせて何度でもオーダーできます。

(手前)黒毛和牛のグリエと筍のロースト、(左奥)三陸産ホヤのガーリックオイル焼き、(右奥)朝獲れ鮮魚のお造り

私が選んだのはこちら。フレンチからは「黒毛和牛のグリエと筍のロースト(写真、手前)」と「三陸産ホヤのガーリックオイル焼き(写真、左奥)」。日本料理からは「朝獲れ鮮魚のお造り(写真、右奥)」をチョイス。この日のお造りは、日本有数の捕鯨基地でもある三陸産のミンククジラに、カツオとハマチでした。注文ごとに包丁を入れるので美味しさが際立ちます。

厚切り牛タンの炭火焼き

このあとも仙台味噌の南蛮ソースを合わせた「厚切り牛タンの炭火焼き」や、本マグロと昆布〆にしたキンメダイの寿司などを追加オーダー。三陸と宮城の海山の幸をお腹いっぱいになるまで味わい尽くしました。

ワインセラー

お酒はワインや日本酒、生ビールなどが自由に飲めます。料理とマリアージュするお酒の提案もあるので、ついついいろんな味を試したくなります。

松島温泉 松島一の坊

朝食後は敷地内の庭園とガラス美術館へ

2日目の朝。男女入れ替えになるもうひとつの展望露天の湯「五大観」で目覚めの入浴を。

展望露天の湯 五大観

その後は、夕食と同様にオーダービュッフェスタイルの朝食をゆっくり楽しみました。チェックアウトまではまだ時間があります。まずは、宿泊者であれば無料で鑑賞できる併設の「藤田喬平ガラス美術館」へ。

藤田喬平のガラス造形 瑞巌寺を想う

松島をテーマにした作品「瑞巌寺を想う」(藤田喬平)

ガラス造形作家・藤田喬平氏の作品を一堂に集めた美術館です。ガラス工芸というとアール・ヌーヴォー調のものを思い浮かべていたのですが、藤田氏の作品は日本の伝統美を感じさせます。温泉宿で思いがけず、素晴らしい芸術に触れられるのもいいですね。

水上庭園

美術館からさらに通路を進むと、「水上庭園」に出ました。汐風を感じながら時間いっぱいまで庭を散策。1泊では足りないぐらい、楽しみが尽きない贅沢な宿でした。

松島島巡り観光船

個性豊かな島々を間近に眺めるクルーズへ

宿の送迎バスを「松島レストハウス(遊覧船乗り場)」で下車して、「松島島巡り観光船」の松島湾クルーズに出発。さまざまなコースがありますが、湾内の島々を約50分で巡る王道の「仁王丸コース」に乗船しました。

松島島巡り観光船

仁王丸は2020年就航。2階建ての新造船

「まつしま~の~」でおなじみの斎太郎節(さいたらぶし)が流れてくるのと同時に、船はゆっくり動きだし岸から離れました。その後も船内放送は次々と見えてくる島々について教えてくれます。

松島の内海は本当に静かな凪の海。ふたつの島からなる「双子島」、伊達政宗ゆかりの「千貫島」などを過ぎ、20分ほど進むと外海に。「仁王丸コース」の主役級の島々が次から次へと登場し、松島海岸駅の駅長さんの言葉を思い出しました。

松島湾 鐘島

自然にできた4つの洞門がある「鐘島」

松島湾 仁王島

島の形が仁王像に似ている「仁王島」

船からしか見ることができない松島湾の奥深くの島々を間近に見ることができて感動。ほぼ揺れることがなく、快適なクルーズでした。

牛たん炭焼利久 松島五大堂店

SNS映えする団子を海辺でぱくり

約50分のクルーズを終え、ひと息つこうと、徒歩約3分の「五大堂」近くにある「牛たん炭焼利久 松島五大堂店」へ。お目当ては牛たんではなく、利久が手がける和菓子ブランド「菓匠 撰 利久」のキュートな雪見団子。

雪見団子

雪見団子。左から、草、イチゴ、ずんだ

フォトジェニックな団子をテイクアウトし、海辺でいただきました。上新粉を使った団子はもっちりとした食感。宮城の名産・ずんだはもちろん、宮城産のとちおとめ、そして抹茶クリームには北限の茶葉である伊達茶と、こだわりの地元食材が生かされています。

もう一度、穏やかな松島の海を目に焼きつけて、駅へと歩き出しました。松島海岸駅までは徒歩約10分。駅の売店で行きにチェックしていた「カキ醤油」と「松島産の刺身タケノコ」(カキの養殖に竹を使うのでタケノコも名産なんです)をお土産に。新たな松島の魅力をたくさん知ることができた旅でした。

東京駅

掲載情報は2022年7月7日配信時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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