ワキ汗に悩む人たちのQOL向上へ! 多くの人が抱える汗の悩みと課題とは?

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本格的な夏を迎えるにあたり、ワキ汗など汗に関する悩みは誰しも抱えるはず。汗は身体の機能としても身近な存在だが、発汗能力には人それぞれ違いがある。そして日常の生活の中で、ワキ汗・多汗症に悩んでいる人も多いのだ。先日開催された「ワキ汗・多汗症」疾患啓発プレスセミナーでは、汗の悩みについて啓蒙活動を行なっている医師やNPO法人の理事が登壇。実体験に基づく汗の悩みの実情を語ってくれた。

プレスセミナーでは、池袋西口ふくろう皮膚科クリニックの院長を務める藤本智子氏が登壇。知っているようで知らない汗に関する基礎知識から解説をはじめる。身体には2種類の汗腺があり、ほぼ全身に分布するエクリン汗腺から汗をかくことによって体温調整がなされるという。汗腺の大きさや数に関しては個人差がなく、胎内にいるうちに完成されるものだが、発汗能力の差は個人によって異なるとのこと。

多汗症と呼ばれる診断は、決まった汗の量によってなされるわけではなく日常生活で本人がどれだけ支障を感じているかが問題だと解説する藤本氏。ワキ汗のほか手や顔・頭部の汗によって洋服に汗がにじむことや対面することに気が引けてしまうなど、20代~40代を中心とした若い世代の多くが悩んでいる現状があり、原発性局所多汗症全体の有病率は10%だが、受診率の低さと治療継続率の少なさが問題と語る。

学校や会社を休むほどの症状ではないが、汗の悩みによってパフォーマンスの低下がおき生産性が落ちてしまうことは社会的な問題でもある。経済的損失は男女合わせて月に3120億円にも及ぶという研究結果も発表された。汗が原因で希望の職種への進路を諦めたという経験をした人も多く、多汗症への周辺理解はもちろんのこと、医療機関で治療できることの認知拡大、自分に合った治療法で汗の問題と付き合っていくことの大切さを訴えた。

続いてNPO法人多汗症サポートグループ代表理事の黒澤希氏が登壇。今年の4月に立ち上がったばかりのNPO法人での啓蒙活動について、事例を発表。情報発信による疾患の啓発や患者同士が交流できる場を提供していき、多汗症であっても本来のパフォーマンスを発揮できるようにしてQOLの向上を目指していくという。

これまではサイレントハンディキャップとされてきた汗の問題。言い出しにくいことからなかなか同じ悩みを持つ人同士が出会えず相談窓口も少なかったとのことで、プレスセミナーでは登壇した藤本氏と黒澤氏に加え、NPO法人多汗症サポートグループの理事を務める高部大問氏による座談会が実施された。

高部氏の実体験に基づくエピソードでは、学生時代は飲食店のホールのアルバイトを避けており、社会人となって営業職に就いたあとも資料に汗がしたたり落ちることで自信なさげに見られてしまい自己嫌悪に陥っていたという。着用する服に関しても汗のにじみが目立つグレーや単色の服は避けてしまうなど、衣食住すべてに影響があることが語られた。

座談会の最後にはそれぞれから同じ悩みを抱える人々へメッセージが告げられた。高部氏は「多汗は多感」というメッセージが掲げられ「当たり前のことで困っていて、たかが汗だったり、たかが何とかというのはたくさん思う。ほかの困っているマイノリティの方の気持ちがわかるので、それだけで価値があるのではないか」と語る。

プレスセミナー終了後に、多汗症へのサポート体制や認知の拡大がどのように広まってきているのか、改めて藤本氏に話を伺う。藤本氏は「これまで病院で相談する以外なかったものの、ネットの普及によって匿名のまま相談できることがすごく大きいです。TwitterなどのSNSやメディアなどを使って匿名で相談できることは役立っている反面、真偽も入り混じってしまうので正しい情報は病院に行って確認していってもらえればと思っています」と回答してくれた。

身体にとって必要な機能であるものの、その身近さゆえに悩みも多い汗の問題。プレスセミナーを主催した科研製薬株式会社はワキ汗のセルフチェックもできるWEBサイト・ワキ汗治療ナビを運営している。ワキ汗に関する基礎知識や治療方法なども掲載されているので、ぜひチェックしてみてほしい。

ワキ汗治療ナビ:
https://wakiase-navi.jp/

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