「4630万円男」は整形手術し名前を変えて海外へ逃亡するしかない 2022年最大級の事件の主人公はネットから逃げられないだろう

山口県阿武町で、町が誤って振り込んだ4630万円と、それを巧みに別の口座に移した24歳の男が逮捕された話題が、ここしばらくのすべてのメディアを席巻している。今回ネットでは「無能職員と無能金融機関社員の奇跡のコラボに行き着いた先が世紀のクズ野郎だった」と言われ方をされた。
カネが絡むとネットがざわめくのは平成の時代からネットの風物詩だった。今回の騒動で思い出したのが、カネが絡むといかに人間がセコくなるか、を示した2002年の「西友牛肉偽装事件」と2008年・サイゼリヤのピザを巡る騒動だ。
西友の札幌の店舗が輸入牛を国産と偽って1年にわたって売った際、悪いことをやっている自覚はあったのだろう。性善説に基づき「レシートナシで返金する」と発表。期間の長さも影響した。しかし、集まったのはいわゆる「ヤカラ」風の人々が多く、スーツ姿の社員に罵声を浴びせる。当時のテレビのニュースのインタビュー映像を切り抜いた画像は今でもネットで有名な「セコい人々」の画像だが、テロップにはこうある。
「だからきょう来たんです 仕事休んで」
「うーん少なくとも3~4万ぐらい」
「50パックぐらい(買った)」
「5万くらいは行ってるんじゃないです?」
この件では当初約1300万円の返金を見込んでいたが、5000万円を支払う結果になった。この騒動の際、暴行で2人が逮捕されたが、2人とも実際は買っていないことを警察に明かした。
もう一つ挙げたサイゼリヤの件では、399円のピザに有害物質・メラミンが微量入っており(健康に問題のないレベル)、これまたレシートなしでの返金を発表した。なんで西友の件があるのにサイゼリヤは性善説に従ったのだろうか。結局、同社は1000万円分を支払ったという。さすがに西友ほどザルではなく、販売期間が短かったため、「何月何日の何時頃に何人で来て、他に何を頼んだのか?」といった質問をした。
そのため、被害はある程度抑えられたのだろう。しかし、この件では、mixiにアホな自慢を書く若者も登場。この若者は、サイゼリヤ7店舗へ行き、「4戦3勝」「3000円ほど稼がせていただいた」と書いたのだ! 当然2ちゃんねるではこの人物が叩かれ、正体暴きの動きも出てきたため、彼はmixiを退会した。
4630万円の件もそうだが、この手のネタはネット民にとってはもう「大好物」でしかないのだ。ソフトバンクモバイルが牛丼一杯無料のキャンペーンをし、行列ができたというニュースが出ると、「乞食wwwwwww」と嘲笑を浴びせる。誰かがツイッターにその写真を投稿したり、報道で自分がその行列に並んでいるところを撮られてしまう。こうした際の写真はネットに永遠に残り続ける。
今回、山口の男は散々記事化されたし、インスタグラムに掲載された自身の写真も散々テレビで紹介された。前出・西友に群がった人々も今でもこの事件について検索すると出てきてしまう。自分がもしも山口の男だったら、もう整形手術をし、名前も変えて海外に逃げるだろう。それだけ彼の顔は特徴的だし、デジタルタトゥーどころか2022年最大級の事件の主人公になってしまったのだから。
カネが絡むセコい行為は、平成だろうが令和だろうが関係なく人々は永遠に叩き続ける。正直割りに合わないと思う。(文@中川淳一郎 連載「俺の平成史」)
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TABLOとは アメリカが生んだ、偉大な古典ミステリーの大家レイモンド・チャンドラー作品の主人公フィリップ・マーロウの有名なセリフがあります。 「強くなければ生きていけない。優しくなければ生きていく資格がない」 人が生きていく上で、「優しさ」こそ最も大切なものであることを端的に表現した言葉です。優しさとは「人を思いやる気持ち」であり「想像力を働かせること」です。弱者の立場に立つ想像力。 「人に優しく」 これは報道する側にも言えることだと思います。 現在、ヘイトニュース、ヘイト発言、フェイクニュースがネットの普及に従い、増大しており、報道関係者の間では深刻な問題となっています。そこには「人に優しく」という考えが存在していません。 なぜ、ヘイト(差別)ニュースがはびこるのか。「相手はどういう感情を抱くのか」という想像力の欠如がなせる業です。ヘイトによって、人は人に憎悪し、戦争が起き、傷ましい結果をもたらし、人類は反省し、「差別をしてはならない」ということを学んだはずです。 しかし、またもヘイトニュースがはびこる世の中になっています。人種差別だけではありません、LGBT差別、女性差別、職業差別等々、依然としてなくなっていないのだな、ということは心ある人ならネットの言論にはびこっていることに気づいているはずです。本サイトはこのヘイトに対して徹頭徹尾、対峙するものです。
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