2021年の新築一戸建て価格、この8年で最高額に。フルローンは金利上昇リスクに注意
リクルートが2021年の「新築分譲一戸建て契約者動向」(首都圏)を発表した。この調査は、首都圏の新築分譲一戸建てを契約した人を対象に、購入物件や購入行動などを聞いたものだ。購入価格や広さ、駅からの距離、購入者の資金計画などに変化はあったのだろうか?
【今週の住活トピック】
「新築分譲一戸建て契約者動向」調査(2021年首都圏調査)公表/リクルート
平均購入価格は4331万円で、調査開始以降で最高額。広さは前年並み
まず、2021年に新築分譲一戸建ての契約をした人の購入物件について、見ていこう。購入物件価格の平均額は4331万円で、2014年の調査開始以降で最高額になった。内訳を見ると、「3000万~3500万円未満」と「3500万~4000万円未満」がそれぞれ約17%で、3000万円台が全体の3分の1を占める。いっぽうで5000万円以上の物件も24%を占めるなど、価格はかなり分散していることがうかがえる。
出典:リクルート「新築分譲一戸建て契約者動向」調査(2021年首都圏調査)より)
次に、購入物件の広さを見ると、建物の平均面積は99.0平米。100平米前後の「95~100平米未満」(22.1%)と「100~105平米未満」(25.2%)に集中している。また、土地の平均面積は120.5平米で、120平米前後の「100~120平米未満(32.7%)と「120~140平米未満」(23.9%)に集中している。広さはいずれも前年並みだ。
一戸建てとして好まれる面積は、土地120平米前後、建物100平米前後あたりになるが、立地条件などによって価格は変わるということだろう。
出典:リクルート「新築分譲一戸建て契約者動向」調査(2021年首都圏調査)より)
ちなみに、リクルートの「新築マンション契約者動向」(2021年首都圏調査)と比べてみると、新築マンションの平均購入価格は5709万円でやはり調査開始以降の最高額となったが、平均の専有面積は66.0平米と調査開始以降で最も小さくなった。新築マンションでは価格の上昇につれて専有面積は小さくなる傾向が見られるが、新築分譲一戸建てでは広さはあまり変わらず、平均価格だけが変動している印象だ。
また、新築マンションでは、シングル世帯の購入者が18%(男性7%・女性11%)であるのに対し、新築分譲一戸建てでは、シングル世帯は3%だった。
最寄り駅からの平均徒歩分数は14分、年々増加する傾向に
では次に、購入物件の立地を見ていこう。
最も多かったのは「東京都の23区外(市部エリア)」の24.1%だが、埼玉県、神奈川県、千葉県もそれぞれ20%近辺であり、立地は首都圏全体に分布していることがわかる。「東京23区」は15.1%で前年よりは増加した。
出典:リクルート「新築分譲一戸建て契約者動向」調査(2021年首都圏調査)より
最寄り駅からの距離を見ると、平均徒歩分数は14.0分。「徒歩11~15分以内」が26.0%で最も多いが、次いで「バス・車利用」(24.7%)や「徒歩6~10分以内」(21.5%)も多かった。平均徒歩分数は、2014年の調査開始時は11.6分だったが、次第に長くなり、徒歩10分以内の占める比率が年々減少する傾向が見られる。
マンションと違って、一戸建ての購入者は車通勤の人も多く、駐車スペースにこだわって(夫婦それぞれの2台駐車可能)住まい探しをしている事例も見られる。また、コロナ禍の働き方の変化の影響もあってか、駅近へのこだわりが薄まっているように感じられる。
出典:リクルート「新築分譲一戸建て契約者動向」調査(2021年首都圏調査)より)
4人に1人がフルローンで一戸建てを購入
次に、購入した世帯の状況を見ていこう。
まず、世帯主の平均年齢は36.7歳。「30~34歳」(28.9%)と「35~39歳」(24.8%)で、30代が過半数を占めた。この傾向は近年変わっていない。また、既婚世帯に占める共働きの比率は68.6%で、年々増加傾向にある。平均世帯年収は779万円で、2014年以降最も高くなった。
さて、購入者の資金計画を見ると、自己資金の平均額は573万円。1000万円以上用意した世帯もいる一方で、自己資金0円、つまり全額ローンで購入した世帯が25.3%もいる。
出典:リクルート「新築分譲一戸建て契約者動向」調査(2021年首都圏調査)より)
では、ローン借入額はどうだろう?平均借入額は4075万円で、こちらも調査以降の最高額となった。「4000万~5000万円未満」が最多の26.4%で、次いで「5000万円以上」(19.7%)、「3500万~4000万円未満」(18.7%)、「3000万~3500万円未満」(18.2%)の順に多いという結果だ。
出典:リクルート「新築分譲一戸建て契約者動向」調査(2021年首都圏調査)より)
30代で新築分譲一戸建てを購入する人が多いことから、自己資金などの準備が十分ではない世帯がある一方で、共働きの増加により世帯年収が増加し、多額のローンを借り入れることができるようになった、という背景もあるのだろう。
調査結果によると、総年収1000万円以上の既婚共働き世帯が、全体の22.6%。総年収1000万円以上の既婚共働き世帯について、世帯主、配偶者それぞれの平均年収を見ると、世帯主が905万円、配偶者が548万円だったという。
さて、筆者が気になるのは、4人に1人がフルローンだということ。万一、変動金利型などの低金利を活用して、めいっぱい借りている世帯があるなら、早めに今後の金利上昇リスクについて検討しておく必要があるだろう。
実は、金融市場の長期金利がじわじわと上昇している。金融市場の長期金利と連動する、全期間固定型の住宅ローン「フラット35」の金利も2・3・4月と連続して金利が上がっている。長く続いてきた住宅ローンの超低金利時代だが、市場の金利上昇圧力が高まっているのだ。いまのところ、変動金利型などの金利は上がっていないが、長期間金利を固定するローンの方が先に上がっていくので、マイホームを購入した後は住宅ローンのメンテナンスについても怠らないようにしてほしい。
●関連サイト
リクルートの調査結果
「2021年首都圏 新築分譲一戸建て契約者動向調査」
「2021年首都圏 新築マンション契約者動向調査」
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