家を買う人は必見!4月から変わる「フラット35」、10月には省エネ基準の大幅見直しも
35年などの長期間にわたり金利が固定される住宅ローンの【フラット35】。住宅ローンを借りようと考えている人なら、一度は検討したことがあるだろう。実は、4月以降で制度変更がある。どんな点が変わるのか、詳しく見ていこう。
【今週の住活トピック】
「【フラット35】2022年度4月以降の制度変更事項のお知らせ」を発表/住宅金融支援機構
【フラット35】のバリエーションは意外に多い
【フラット35】は、住宅金融支援機構と民間金融機関が提携している住宅ローンで、長期固定金利である点が大きな特徴だ。住宅金融支援機構という公的機関が関わっている住宅ローンなので、一定の品質が確保されていると認められた住宅でないと利用できない。
今は、民間の金融機関による変動金利の住宅ローンだけでなく、【フラット35】のような長期間、金利を固定するものも低金利なので、住宅の品質面で安心できるだけでなく、長期間低金利を享受できるのが【フラット35】の魅力だろう。さらに、より性能の高い住宅には、当初の一定期間の金利を引き下げる優遇措置も設けられていて、「【フラット35】S」と呼ばれている。
実は、住宅金融支援機構によると、2020年度の【フラット35】の利用者のうち、92%が【フラット35】Sの利用者だったという。2021年度の2月末時点でも89%だというので、およそ9割が一般の【フラット35】ではなく、金利引き下げを受けられる「S」を利用したわけだ。
【フラット35】Sには、金利AプランとBプランがあり、Aプランで当初10年間、Bプランで当初5年間、適用される金利が0.25%引き下げられる。住宅ローンの一般的な返済方法である元利均等返済では、返済当初ほど返済額に占める利息の割合が大きいので、【フラット35】Sを利用するメリットは大きいのだろう。
ほかにも、中古住宅を購入して一定の要件を満たすリフォームを行う場合(住宅事業者が一定の要件を満たすリフォームを行った中古住宅を購入する場合も対象)に、当初一定期間金利が引き下げられる「【フラット35】リノベ」もある。こちらも、金利AプランとBプランがあり、Aプランで当初10年間、Bプランで当初5年間、適用される金利が0.5%引き下げられる。
【フラット35】S、【フラット35】リノベのプラン内容
このほか、自治体がマイホーム取得者(予定者含む)に補助金の交付などの支援をしている場合で、住宅金融支援機構と連携した際に利用できる、「【フラット35】地域連携型」もある。該当すれば当初5年間【フラット35】の金利が0.25%引き下げられ、【フラット35】Sと併用もできる。
4月から「【フラット35】維持保全型」が創設される
2022年4月の制度変更では、「【フラット35】維持保全型」が創設されることになった。これは、いま政府が力を入れている住宅の維持保全施策に対応したものが対象となる。具体的には、以下の通り。
出典:住宅金融支援機構のホームページ「【フラット35】2022年度4月以降の制度変更事項のお知らせ」よりSUUMO編集部作成
(1)は、住宅の耐久性や省エネ性などの高さに加え、維持保全計画が立てられていることなどを条件に認定される「長期優良住宅」であること。(2)と(3)は、4月からスタートする、国の「マンション管理計画認定制度」に認定されることが条件で、(2)が新築版、(3)が中古版となる。
また、古い中古住宅については耐震性や劣化状況の検査を推奨しており、(5)はインスペクション(建物検査)で劣化がないとされたもの、(4)はインスペクションに基づいてリフォームされた(あるいはリフォーム案が提示されている)「安心R住宅」に認定されたもの、(6)は住宅の構造上重要な部分について検査と保険がセットになった「既存住宅売買瑕疵(かし)保険」が付いている住宅だ。
該当する場合は、当初5年間、金利が0.25%引き下げられる。これは、【フラット35】Sと併用でき、金利Bプランと併用した場合は金利引き下げ期間が10年間になり、Aプランと併用した場合は当初5年間の金利引き下げ幅が0.5%(6年目~10年目は0.25%)になる。
ほかにも、【フラット35】地域連携型の中でも、子育て支援に該当する場合に限り、金利引き下げ期間が当初5年間から当初10年間に延長される。
10月からの変更点は大きい!「省エネ性」の条件が厳しくなる点に注意
気になるのが10月からの変更点だ。【フラット35】Sの適用基準の引き上げが予定されているので、かなり影響があるだろう。
現行の【フラット35】Sの基準は、金利Aプランでは、「省エネ性」、「耐震性」、「バリアフリー性」、「耐久性・可変性」のいずれかで一定以上の基準をクリアすることが条件で、金利BプランではAプランより低い基準が設けられているほか、中古住宅独自の基準も設けられている。
住宅金融支援機構によると、現状の【フラット35】Sの資金実行件数のうちほぼ半数が「省エネ性」基準をクリアすることによるというが、この「省エネ性」の基準を引き上げる変更が予定されている。加えて、「省エネ性」に新たに「ZEH(ネットゼロエネルギー住宅)等」を設けて、省エネ性が高いほど金利引き下げが拡大するようにし、中古住宅の【フラット35】S(金利Bプラン)の「バリアフリー性」の基準も高めることになっている。具体的には、次の通り。
■【フラット35】S等の基準の見直し
出典:住宅金融支援機構「【フラット35】2022年度4月以降の制度変更事項のお知らせ」についてのご案内チラシより転載
金利の引き下げについては、ポイント制になり、ポイント数によって当初5年間0.25%引き下げ~当初10年間0.5%引き下げまでの間で設定される。
政府は、「2050年カーボンニュートラル」に向けて、住宅の省エネ性の基準を段階的に引き上げていく。それに先行する形で、【フラット35】についても、2023年4月以降(設計検査申請分)、新築住宅では「断熱等性能等級4以上かつ一次エネルギー消費量等級4以上」に適合しないと、利用できなくなる点にも留意したい。
マイホームを取得する場合、住宅ローンの果たす役割は大きい。長期間にわたって返済していくことになるので、どの住宅ローンを選択するかは大きなポイントだ。【フラット35】の利用を検討している場合、変更点を知っているか知らないかで資金計画が変わることもあるので、正しい情報をタイムリーに入手することが大切だ。
●関連サイト
「【フラット35】2022年度4月以降の制度変更事項のお知らせ」を発表/住宅金融支援機構
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