聴力強化機能搭載の完全ワイヤレスイヤホン「Jabra Enhance」レビュー コンパクトに耳へ収まり日常的な聞こえにくさをサポート
GNオーディオジャパンが2月25日に発売した、聴力強化機能搭載の完全ワイヤレスイヤホン「Jabra Enhance」レビューをお届けします。
デンマークJabra社の完全ワイヤレスイヤホン「Elite」シリーズ新製品として、補聴器メーカーのGNヒアリングジャパンとの協業で開発した完全ワイヤレスイヤホン。日常的な聞こえにくさをサポートする聴力強化機能を搭載するのが大きな特徴です。50歳になり、ふだんから耳の聞こえにくさを感じることが増えてきた筆者。完全ワイヤレスイヤホンで聴力をどのようにサポートできるのか、発表時から興味がありました。
本体は見るからに完全ワイヤレスイヤホンなのですが、印象的なのがそのコンパクトさ。Jabraの完全ワイヤレスイヤホン「Jabra Elite 75t」と比べて50%小型化しています。完全ワイヤレスイヤホンとしても小さく、補聴器には見えないデザインは、日常的に抵抗なく使える印象です。本体はIP52準拠の防塵防滴性能を備え、汗をかいたり雨天での使用にも対応します。
本体を収納する充電ケースも、完全ワイヤレスイヤホン用ケースの中では非常にコンパクト。バッテリーの持ちが心配になりますが、本体なら1回の充電で最長10時間、ケースを併用すると最長30時間の電池寿命なので、終日外出しても安心して使えます。
充電ケースはUSB Type-C充電に対応します。
耳への装着感は、一般的な完全ワイヤレスイヤホンよりコンパクトなことから、耳への違和感が少なく良好。装着して上端を後ろへ回転させることで耳たぶ側の耳殻にすっぽり収まり、走ったり運動しても外れる不安はありません。イヤーピースは3種類のサイズを同梱し、耳に合ったサイズが選択可能。
セットアップには専用のアプリ「Jabra Enhance」アプリを使用します。アプリは今のところiOSのみをサポート。Androidではセットアップができないので、筆者はiPadを使用しました。セットアップを開始するために、まずデバイスとペアリングするのですが、Jabra Enhanceは通常のBluetoothデバイスとしてではなく、iOSの設定から「アクセシビリティ」を選択し、「聴覚サポート」の「ヒアリングデバイス」として追加。ペアリングを実行します。
アプリを起動してセットアップを開始。まずユーザー1人1人の聞こえ方に合わせたパーソナライズをするので、静かな場所でセットアップするよう案内されます。
性別と年齢の入力後、左右の耳で聞こえ方を確認する「練習」モードに。様々な周波数や音量の音を聞いて、聞こえたら画面をタップしていきます。
録音された人の話し声を聞いて、3種類のフィルタから聞こえやすいものを選んでパーソナライズが完了。「マイプロフィール」として、左右でどの音域を補強しているかを確認することができます。筆者の場合、左耳の高音域が特に聞き取りにくい傾向があるようです。確かに自覚あるなあ……。
セットアップ後、聞き取りの音量やリスニングモードをアプリから設定できます。リスニングモードは、周囲の環境や会話に合わせて自動調整する「アダプティブ」、1対1の会話など身近な音に焦点を合わせる「フォーカス」、周囲全体の音を多く取り込む「サラウンド」の3モードから選択が可能。聞き取りの音量は本体のボタンからも調整でき、右耳のボタンで音量アップ、左耳のボタンで音量ダウンが可能。右耳は着信応答と終話、左耳はマイクのミュートの操作にも対応します。
アダプティブモードに設定して装着していると、確かに周囲の音がよく聞こえるようになりました。換気扇の音やキーボードのタイプ音など、ふだんあまり気にしていなかった生活音がよく聞こえるようになります。テレビをつければ音声が聞き取りやすく、音量をあまり上げなくても問題なく聞こえます。対面で人と会話する際は、特に音がクリアになった印象に。
完全ワイヤレスイヤホンなので、もちろん音楽を聴くことも可能。イコライザーなど細かい設定はできませんが、自分の聞こえ方に合わせてチューニングされているため、どの音域もクリアに聞こえるのが印象に残りました。さらにもう1点、通常の完全ワイヤレスイヤホンにはない特徴が。音楽を聴いている際や通話中には自動でサラウンドモードに設定されるのですが、音楽を聴いている最中に話しかけられても、人の声が大きくクリアに聞こえるのです。完全ワイヤレスイヤホンと補聴器がハイブリッドになった、Jabra Enhanceならではの体験と言えるのではないでしょうか。
たとえばオフィスでの勤務中に使用すれば、同僚との会話も明瞭に聞こえる状態で音楽を聴いたり通話できるので、つけっぱなしで作業するのに便利。コンパクトで耳に収まりやすい本体は、時折外して耳を休ませつつ、長時間装着して快適に使用できます。自宅でも、家族と一緒にテレビを観るときに補聴器として使ったり、音楽を聴くイヤホンとして活躍しそうです。
Jabra Enhanceは軽度難聴を対象とした「耳あな型補聴器 ENHEB」として、医療機器認証番号を取得しています。使用にあたっては、補聴器のように医師の診察は不要。ただし、下記に該当する場合は耳鼻咽喉科の受診を勧めています。
・耳の手術を受けたことがある
・最近3か月以内に耳漏があった
・最近2か月以内に聴力が低下した
・最近1か月以内に急に耳鳴りが大きくなった
・外耳道に痛みまたは、かゆみがある
・耳あかが多くたまっている
・聴力測定の結果、平均聴力の左右差が25dB以上ある
・聴力測定の結果、500,1000,2000Hzの聴力に20dB以上の気骨導差がある
メーカー希望小売価格は8万9000円(非課税)。耳の聞こえにくさを感じている人で、完全ワイヤレスイヤホンをよく使う人は導入を検討してみてもよいかもしれません。最近、会話やテレビの音が聞こえにくそうだな……と心配な家族へのプレゼントにもよさそうですね。
宮原俊介(エグゼクティブマネージャー) 酒と音楽とプロレスを愛する、未来検索ブラジルのコンテンツプロデューサー。2010年3月~2019年11月まで2代目編集長、2019年12月~2024年3月に編集主幹を務め現職。ゲームコミュニティ『モゲラ』も担当してます
ウェブサイト: http://mogera.jp/
TwitterID: shnskm
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。