新年に欠かせない「松」人気5種のプロフィール&栽培テクニック
日本のお正月・新年など、おめでたい行事に欠かせない「松」。ひと口に松といっても世界中に100種もの分布が見られ、その性質も様々。日本で特に人気のある5種の特徴や魅力&向く仕立て方、さらに育て方のポイントを紹介します。
盆栽からシンボルツリーまで! 松の魅力と育て方を解説
松というと、重厚な和風庭園の中心に据えられている樹木、年配者の趣味の盆栽など、特定のイメージがつきがち。しかし、実は洋風の庭に似合う品種や、グラウンドカバーに使えるものまで! ぜひさまざまな松の魅力に触れてください。
そもそも「松」ってどんな植物?
松(マツ科)=ちょっと古臭い和の植物、と思い込んでいませんか?松は、コニファー(針葉樹)の一種であり、コニファーの中でもっともポピュラーに育てられている庭木です。
重厚な和風庭園はもちろんのこと、品種や仕立て方を選べば、スタイリッシュな洋風の庭にもフィットします。また、多くの松はやせ地でもよく生育する、とても強健な性質です。さらに長寿のシンボルにも取り上げられるほど、長く生きる植物でもあります。
高木で知られる一方で、 手のひらにのるようなミニ盆栽にもなる松。さまざまな仕立て方や管理法など、栽培テクニックの奥行きが深いのも、松を育てる醍醐味です。
仕立て方に関わらず、松は日当たりを好みます。下の枝にもたっぷり日の当たるくらい、日照条件のよい場所で栽培するのがおすすめです。
日当たりが悪いと、生育不良になったり、葉色が冴えなくなったりします。そして、松は成木になると移植を嫌いますから、植え場所は移植せずに済むところを厳選してください。
なお、松の葉は1~5年もの間、落葉せずに枝についています。そのため、他の植物には見られない、独自の手入れが必要です。
その一つが「緑摘み」。4~5月、松の新梢が長くのびてくるので、葉がまだ展開しないうちに手で摘み取ります。緑摘みをすれば、間延びしない美しい樹形を保つことができます。
11月上旬には「もみあげ」を。夏にのびた枝を2~3本だけ残して、他の枝や前年の古い葉もしごき取ります。もみあげをすることで葉数が減り、下枝まで日が当たるようになり、松を健康的に育てられます。同時に害虫予防にも。
ただし、外国原産の松などでは、緑摘みやもみあげを行わず、自然樹形を楽しむたプもあります。栽培する際には、事前に専門書等で管理方法を確認してください。
最後に、松の栽培で忘れてはならないのが、病害虫対策です。すす病にかかると光合成が妨げられてしまうため、早々に専用薬剤で対処しましょう。カイガラムシ、アブラムシ、マツノマダラカミキリなど、さまざまな害虫にも常に注意を払い、適切な薬剤で徹底駆除を。
アカマツ(赤松)
アカマツはその名の通り、赤みがかった樹皮が特徴です。若木のころは白っぽいのですが、樹齢10年を過ぎたころから赤みが目立つようになります。葉はさわやかな明るい緑色で、枝垂れるものや斑入り種も。細く柔らかい葉で、チクチクせず、ソフトな触り心地です。
アカマツは、樹高を調整しない場合には樹高30mにも。樹齢を重ねると樹皮が亀甲状になり、風格が増して見事です。洋風の建物や庭にも似合います。盆栽でもおなじみで、ミニ盆栽はプレゼントにもおすすめです。
クロマツ(黒松)
クロマツは、アカマツと間違われることもしばしばです。違いは、第一にクロマツは樹皮が黒っぽいこと。そのほか、アカマツより葉が長いうえ硬く、先に触れるとチクチクするので見分けがつきます。松ぼっくりもアカマツより大きめです。
これらの特徴から、クロマツを「男(雄)松」、アカマツを「女(雌)松」と呼ぶことがあります。クロマツはとても強健で、海岸でも生育可能です。栽培のコツは、緑摘みともみあげをしっかり行って、樹形を整えること。
また、クロマツは比較的強健なので、盆栽ビギナーの方にもおすすめです。
ゴヨウマツ(五葉松)
ゴヨウマツは、葉が5枚で一対になっていることが、その名前の由来。2~6㎝の銀色がかった葉が美しい松です。
日本固有の松で、和風庭園や神社仏閣でもよく見られます。また、枝を曲げやすく、成長もゆっくりであることから、盆栽にも最適。
ゴヨウマツの栽培のコツは、多湿を避けること。「夜露で育つ」と言われるほどですから、水やりのし過ぎは避けましょう。地植えなら水やりは不要、盆栽など鉢植えで育てる際にも、乾かし気味に育ててください。
ダイオウショウ(大王松)
ダイオウショウは北アメリカ原産。洋庭にも自然になじむ松です。長さ20~40cmもの葉が風に揺れるさまは、見ごたえたっぷり! 庭木としてだけでなく、花材としても人気なのもうなづけます。
大王の名にふさわしく、松ぼっくりは長さ20㎝をこすほどのビックサイズ! ボタニカルクラフトの材料でも、引っ張りだこです。
自然樹形が最も美しいので、緑摘みやもみあげは不要です。年に一度は、寒肥を与えましょう。
ハイマツ(這松)
その名が示すように、地面を這うように広がりながら育つハイマツ。
高山地帯に自生が見られます。
うねるように枝を伸ばす独特の姿を、盆栽や寄せ植えで愛でられるのは、他の松ではできないハイマツならではの楽しみです。
また、グラウンドカバーとして庭のコーナーに植えたり、ロックガーデンで育てると、高山や高原をほうふつとさせる景色をつくれます。
もともと冷涼な高山育ちの松のため、込み入った枝を整理し、風通しを確保しましょう。
おわりに
いかがでしたか? 小さな盆栽にしてもよし、成長を楽しみに庭に植えてもよし。育てるほどに愛着がわくこと請け合いです!
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