[山芋や長芋のとろろ]加熱&冷凍で粘りは変わる?
山芋は、長芋や大和芋、つくね芋、いちょう芋などの総称です。山芋の魅力は、調理法によって食感が変わること。すりおろすと粘りが出て、細く切ってサラダなどに入れるとシャキシャキとし、輪切りにして焼くとホクホクとした食感に、それぞれなります。中でもその粘りを楽しめる「とろろ」は山芋の代表的な料理で、そのまま食べたり山かけなどで使われたりします。今回は、山芋の特徴である、粘りについて解説します。
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山芋の粘りとは?
●粘りの成分
山芋の粘りは、すりおろすことで中に含まれている粘質物が細胞外に出て、水に溶けることで現れます。この粘質物は、多糖と糖タンパク質で構成されています。
●品種によって違う?
下のグラフは、3種類の山芋のとろろの粘度を比較したものです。粘度が高い順に、つくね芋、いちょう芋、長芋となりました。
ずり応力:液体(とろろ)を平行に動かすときの単位面積あたりの内部摩擦力。ずり応力が大きいほど粘性が高い。
ずり速度:液体(とろろ)を垂直方向に動かすときの単位面積あたりの速度。ずり速度が大きいほど粘性が低い。
とろろを凍結or加熱するとどう変化する?
●凍結する
下のグラフは、凍らせていないとろろの粘度と水分量を100として、変化の割合を比較した実験結果です。山芋のとろろを凍結させると、粘度が約10%増加しました。一方、凍結乾燥させた場合は、逆に約10%低下。この違いは、とろろの不溶性成分の保水性が凍結と凍結乾燥で変化するためと考えられます。
凍結試料は、とろろに等量の蒸留水を加え、−20℃で一晩凍結させた後、室温で解凍したもの。凍結乾燥試料は、凍結乾燥後に加水して元の水分量に戻したもの。
●加熱する
下のグラフは、熱したときの実験の結果で、長芋のとろろから抽出した粘質物を使っています。長芋のとろろの粘質物を加熱すると、50℃で5時間の処理では粘度は低下しませんでした。しかし、60℃以上になると加熱時間と共に粘度が低下しました。
最後に
調理法によっていろいろな食感を楽しめる山芋のとろろの特徴を知って、調理に生かしてください。
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[山芋]長芋や大和芋の特徴と、栄養や下ごしらえ&保存のコツ
とろろでおなじみの山芋。実は山芋という特定の品種はなく、長芋や大和芋、いちょういもといった「ヤマノイモ科」に属する芋類を総称して「山芋」「やまのいも」と呼びます。生のまま刻めばシャキシャキ、すりおろせば粘りのある食感を楽しめるほか、加熱すればホクホクに。さまざまな料理に使える野菜です。
最終更新:2022.11.18
文:アーク・コミュニケーションズ
監修:カゴメ
出典:
J-stage
「ヤマイモ粘質物の性状と構造の解析」(山芋の粘り、種類による違い)
「ヤマイモ(Dioscorea opposita Thunb.)の『とろろ』と粘質物の粘性特性ならびに各種処理が粘性に及ぼす影響」(とろろを凍結、加熱したときの粘度や水分の変化)
国立医薬品食品衛生研究所日本薬局方名称データベース 一般試験法「粘度測定法」(ずり応力とずり速度について)
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