日本の英語教育には欠陥あり!? NHK『ラジオ英会話』講師が解き明かす”話せる英語の極意”
日本では中学校(最近では小学校)から大学まで、多大な時間を英語の授業に費やしますが、それでも「英語を話すのが苦手」という人は多いです。今回紹介する『それわ英語ぢゃないだらふ』の著者・大西泰斗氏は、これについて「話せないと悩むのは、種を蒔いてもいない畑を眺めて『なぜスイカが実らないのか』とため息をついているようなものだ」と記します。
東洋学園大学教授であり、NHK『ラジオ英会話』講師でもある大西氏によると、日本の学校で習う英語の文法は、文章読解に重きを置いたものであり、「話す」ために必要な何かが決定的に欠けているのだそうです。
たとえば、「We met him at a bar in Roppongi.」(六本木のバーで彼に会ったよ)という一文を見てみましょう。主語を除けば、英語で最初に出てくる言葉は日本語では最後に訳され、その語順は鏡に映したような対称関係となります。「これほど大きく語順が異なることばを学習するには、語順についての深い理解と入念な習熟が必要」(本書より)なのに、学校文法ではそこを深く学ぶことはほぼありません。これでは、英語を話すスキルではなく、文法と読解による「上手な訳し方」を学んでいるにすぎないと大西氏は記します。
では、「話せる英語」を身につけるにはどうすればよいのでしょうか? その答えは、訳読に特化した文法の代わりに、「話す」ことを目的とした文法を構築すること。そこで大切になるのが「語順」です。
「英語において語順は意味を決定する支配的地位を持っているので、語順の原則さえ正しく摑まえることができれば、この上なくシンプルな文法を作り上げることができます」(本書より)
英語の語順の基本配置となる「5文型」それぞれの位置(主語、目的語、説明語句)を拡張すれば、簡単に”文章を複雑にしていくこと”も可能となります。
また、私たちが英語を話せない原因は、文法だけでなく表現学習にも言えるようです。第1章「学校文法」、第2章「新しい文法」に続く第3章「イメージ」では、表現学習の問題にも触れています。
たとえば、「到着する」の日本語訳を覚えているだけでは、「arrive」と「reach」のどちらを使えばいいかわからない場合があります。ただ日本語訳するのではなく「イメージ」の理解にシフトする必要があると大西氏は指摘します。「arrive」と「reach」の具体的な解説は、ぜひ本書でご確認ください。
さらに最終章の第4章「英会話の学習」では、大西氏が今のところ最善だと考える、新しい文法を学んだ後、あるいは同時に行われるべき英会話学習の方法も紹介されています。
「一見複雑な現象も、突き詰めていけば単純な規則や感覚の繰り返しである」(本書より)とあるとおり、これまで習ってきた英語を違った角度から見ることで、思いもよらない効率的な学習が生まれるかもしれません。
英語を学習中の人、英語を学んできたものの話すのが苦手だという人は、本書で大西氏秘伝の”英会話マスターの極意”を学んでみてはいかがでしょうか。今からだって大丈夫。「種を蒔けばいい。やるべきことはただそれだけなのです」と大西氏はみなさんの背中を押しています。
[文・鷺ノ宮やよい]
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