どうしても機械を敵視したい人たち

どうしても機械を敵視したい人たち


今回はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。

どうしても機械を敵視したい人たち

「そろそろ機械に負ける前提で物事考えおかないとまずいだろうと」 2013年03月30日 『BLOGOS』
http://blogos.com/article/59162/

ほんと次から次へと同じような言を書く人が多いな。百歩譲って機械に人間の仕事が奪われるとして、それを心配するのがなぜ「いま」なのだろうか。

俺が「ああ、人間って要らなくなっちゃうのかも」と思ったのは、自動改札が導入された時だったけどね(笑)。だってそれまで、物心ついた頃から、改札には駅員がいて、カチカチと切符を切るハサミを鳴らしていた。

ストライキの時は背広を着た偉そうな人たちが、代わりに切符を切っていた。つまり組合員がストをしてるので、管理職が代わりに改札に立ってたのだろう。

それがあれよあれよという間に自動改札に置き変わっていき、駅員がいなくなってしまった。「あの人達、いまなにしてるんだろう?」と思ったものだ。自動改札の普及のネックは技術的な問題というよりも国鉄の労使問題だった。

それが民営化でJRになり前進した。だから自動改札こそが、人間と機械の仕事の奪い合いだったといっていい。人間は(というか労働組合は)この戦いに負けたのだw。国鉄民営化の目的は強すぎてにっちもさっちも行かなくなった労働組合潰し。

それに比べて将棋でコンピュータが人間に勝ったからといって、なんの変化もないと思うけどね。オセロとかチェスではとっくに勝ってるわけだし。

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ある小説でこんなシーンがある。バーチャルリアリティとして優れているのはコンピュータか人間の役者か? コンピュータの天才は人間の役者の方だと主張し、一応技術者ではあるけど彼には到底かなわない人間は、コンピュータだと主張した。

コンピュータの天才は、コンピュータをよく知ってるだけあって、その限界も見えていたのだ。一方そこまでたどり着いてないエンジニアは、コンピュータに夢を抱いていた。

で、どっちが正しいかの壮大な実験が始まるのだが、人間の役者の方が圧倒的にコストが安い。しかもリアルだ(あたりまえw)。

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人間の仕事が機械に奪われることはない。人間の方が低コストだという理由で(笑)。実際、システムを組み上げてしまえば、ランニングコストは機械の方が低いかもしれない(それでもメンテナンス費とかはかかる)。

工場でもベルトコンベアに乗って自動的に製品が作られていくけど、コンベアから別のコンベアに移す作業とかは、人間がやってるよね(笑)。なぜその箇所が自動化できないか?複雑だからだ。しかもその部分は柔軟な運用が求められる。

システム化してもすぐに変更しなければならないなら、開発費の方が高く付く。人間なら「今日は予定が変わった、こうしろ」と大雑把に指示すれば適当にこなしてくれるが、機械はそうはいかない。またゼロから再設計しなければならない。

だからといって予め考えうるすべてのパターンを想定しておくこともオーバスペックになってコストパフォーマンスが悪い。ようするに人間が一番低コストなのだ。開発費が要らない!

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もちろん人間並みに汎用性があり、大雑把な指示でもその意図を理解し、どうすべきか自分で考えて行動してくれるロボットが登場すれば、そういう部分の人間は要らなくなるけどね。つまりそれは人間そのもののロボットが登場したらという話。それを心配するのは、ちょっと気が早いんじゃ(笑)。

コンピュータは将棋で人間に勝つことができても、工事現場で働いている人の代わりはできない。原発の作業も放射線を浴びながら今日も人間がやっている。プログラミングもやってくれない。これを自分でやってくれると楽なんだけどねぇ。

でも、きっとプログラムしなくていいロボットって、すごく人間から見ると生意気に見えると思う。「あなたの指示は矛盾しています!」を連発されるはず(笑)。「なんだこりゃ、プログラマ不要のロボットだと聞いたのに、全然便利じゃない。これじゃプログラマにやらせた方が楽じゃないか。おい、ちょっとそこのプログラマ、こいつをなんとかしろ!」と。

プログラミングを、人間の言葉を機械に分かる言葉に翻訳するだけの作業だと思っている人間って多いよね。いきあたりばったりな非論理的な人間の要求を、論理的に矛盾がないように整理する作業がプログラミング。

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マクドナルドの店員すらコンピュータはできないだろう。ボタンを押せばハンバーガーが出てくる自動販売機みたいなシステムでいいならいいけど、それなら現時点でもすべてのマクドナルドは自動販売機化されているはずだよね。

要するに「作り立てを人間が手渡ししてくれる」という贅沢をマクドナルドは提供してるのであって、ハンバーガーという食品を提供しているのではないのだ。そこに人間は価値を見出して対価を払っているわけだ。

ラーメン屋だって、メニューを変えるたびに、新しい機械を導入したり改造しなければならないから、機械化は難しいように思う。麺を茹でるとかスープを煮込むとか部分的には機械化可能だろうけど、載せる具を変えるとかはメカ部分の改造が必要だろうし、麺のゆで加減を3種類から5種類に増やすとか、そのたびにプログラムを変えなければならない。

人間がやってれば、自分で手順を変えるとか店員に指示をすればできるのに、なまじ機械化したために、毎回システムエンジニアを呼んで、プロジェクトを立ちあげなければならない。ラーメン屋のおやじがwwww。そういう世界がすぐに来るとは思えない。

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機械に仕事を奪われると、人間は経営やクリエイティブな活動に活路を見出すようになるという人が多いが、そんなことはないと思うね。ちょっと夢を見過ぎなんじゃないの?(笑)。その前にもっと地に足の着いた部分、こういう泥臭い部分が問題だろう。人間が機械に勝てる点は、なんでも臨機応変にそこそこできる高い汎用性。

作業が多様・柔軟過ぎて、ロボット化できない、もしくはやろうとすると毎回専用機を開発し直さなければならずコスト的に見合わない。そういう部分に人間は現在よりも高い価値を与えていくはず。

だから案外ブルーカラーの給料が相対的に上がるかもね。オフィスでExcelを使うような作業はむしろコンピュータによる全自動化が容易だ。でも道路工事現場の作業はコンピュータ化できない。そういう人材の方が求められ、高給を得る時代になるかもしれない。

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参考サイト:
「どうしても機械を敵視したい人たち : メカAG」 『ONETOPI』
http://1topi.jp/curator/kuzyo/1304/03/154182

執筆: この記事はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。

寄稿いただいた記事は2013年04月06日時点のものです。

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