幸せになることは料理や運転と同じで「技術」に近い!? 「幸福になるための50の行動」を伝授
国連が毎年発表している「世界幸福度ランキング」の2021年度で日本は56位にランクインしました。GDP世界第3位と物質的には豊かであるはずなのに、国民の幸福度はけっして高いとは言えません。
”自分は幸せである”と感じられるために、私たちはいったいどんなマインドや行動で毎日を過ごせばよいのでしょうか。
この「幸福になるための方法」を、哲学や宗教の分野ではなく科学の観点から追求しているのが本書『幸福の達人 科学的に自分を幸せにする行動リスト50』です。著者はTwitterで133万人以上(2021年9月22日時点)のフォロワーを持つTestosteroneさん。幸福学の第一人者である慶應義塾大学大学院の前野隆司教授監修のもと、世界中の研究論文から導き出した幸福になるためのハックを、具体的な行動へと落とし込んだ一冊です。
幸せになるための行動が記された「TO DOリスト」は全部で50個。この50個を取り入れていけば、難しいことを考えなくても幸せに最短距離で近づける仕組みだというのが本書のユニークな点です。
たとえば、TO DOリスト18番目に出てくるのが「なんでもない『日常』を味わう」。ペンシルバニア大学の研究によると、精神的に落ち込んだ被験者に6週間、毎日数分間を費やして今までは意識せずに急いで終わらせてきたこと(食事やシャワーを浴びることなど)を楽しんでみるよう指示したところ、生活満足度が大幅に高まり、落ち込むことが少なくなったそうです。このように体験を味わう行為は「セイバリング」と呼ばれており、喜びを認識・持続させることで喜びに慣れてしまうことを防ぐ働きがあると考えられています。
私たちがセイバリングを実践する際のやり方として、Testosteroneさんは「通勤、食事、入浴など何気なくこなしている行動に注目する」「それらを意識的に楽しむ努力をする」「恥じらいを捨てて大胆かつ大げさに全力で楽しむ」と解説しています。朝食のトーストひとつとっても「今朝も最高の焼き目で幸せ!」と意識するだけで、ささやかな日常のなかに幸せを感じられるというわけです。
「幸せとはなるものではなく気付くものなのだ。幸せとは何気ない日常がいかに幸せなものか気付き、味わい、『自分、そこそこ幸せだな』と感じることから始まる」(本書より)
セイバリングに限らず、本書で進められている行動はどれも今日から取り入れられるものばかり。つまり幸せとは、「宝くじに当たる」など何か特別なことが起きなくとも、日々の生活のなかでじゅうぶん叶えられるものといえるのかもしれません。そのために必要なのは、脳が持つ特性を知って幸せになる考え方を身につけること。本書には「幸せとは技術である」という言葉が何度も出てきます。運転や料理と同じように、「正しい技術を学んだり、繰り返し練習したりする必要はあるが、誰でもマスターすることができる」(本書より)ものだといいます。
本書のリストにある50の行動を実践することで、自身の幸福度の上昇が実感できるはず。「幸せになるには何をすればよいのだろう」と悩む人におすすめしたい一冊です。
[文・鷺ノ宮やよい]
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