安全かつ効率的な航空機運航をサポート! 気象現象予測を3D化する「3DARVI」
全日本空輸株式会社(ANA)、株式会社エムティーアイ、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、それぞれの技術やノウハウを融合させ、気象現象予測を3D化するアプリ「3DARVI(スリーディーアーヴィー)」を開発。航空機の安全かつ効率的な運航の実現を目指し、2021年8月より運用を開始します。
雨・雲・気温、そして雷も予測
「3DARVI」は、エムティーアイが提供する航空気象総合システム「ARVI」をベースとし、ANAのオペレーションノウハウとエムティーアイの3D気象可視化技術、JAXAが開発する被雷危険性予測技術を活用したアプリです。
技術として最も注目したいのが被雷危険性予測でしょう。これは、JAXAが収集した3年以上にわたる気象データの分析をもとに、航空機被雷が発生する危険性が高い領域を検出する技術。この技術をもとにJAXAとエムティーアイは、2019年11月より航空機の被雷回避に向けた共同研究を実施し、被雷予測エリアの可視化に成功しています。
「3DARVI」では、この被雷危険性予測技術にANAオペレーションの知見を加味し、被雷可能性が高いエリアをより高い精度で特定できるアルゴリズムを構築。そこから導出される被雷の可能性の高いエリアをエムティーアイの3D表示技術で可視化すると同時に、リアルタイムで算出することが可能です。
もちろん、雷以外の航空機の運航に影響のある雨・雲・気温などについても3Dで可視化されるため、直感的かつ迅速な情報の把握が可能となり、悪天候を回避するなど安全で効率的な運航ができるといいます。
「ARVI」とは?
ではここで、「3DARVI」のベースとなっている「ARVI」について少し紹介しておきましょう。
「ARVI」は、航空機運航に影響を与える気象・災害情報などをひとつの画面で重ねて表示することができるシステムです。例えば、気象情報とフライトプランを重ねて表示したり、大量の気象データを重ねて表示したりすることで、迅速な意思決定と安全な運航をサポートしています。
航空機の安全を守るシステムらしい機能が「断面図モード」。これは、高度ごとの気象データを確認することができるモードで、高度選定で重要な気象断面図をフライトプランに沿ったかたちで見ることができます。なお、「ARVI」の画面はパイロットと管理者で共有可能。この「ARVI」に各社の技術やノウハウを融合させ、さらに進化したシステムが「3DARVI」です。
(文・Higuchi)
ウェブサイト: https://techable.jp/
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