大祓って知ってますか?言葉は知らなくても実は実践しているかも…
大祓(おおはらい又はおおはらえ)と聞いても、何のことかイマイチ分からない人も、茅の輪くぐりと聞けば、ピンとくるかもしれません。この茅の輪くぐりは、大祓の行事の一つです。それでは、大祓の意味と、歴史、大祓の時期と、それにまつわる食べ物などを紹介しましょう。
大祓とは?時期や食べ物を紹介
大祓とは、気が付かない内に犯してしまった罪や、身の穢れを祓い、清めるための行事です。特に、天下万民の罪や穢れを祓う神事として、大祓といわれています。
年明けからの半年の穢れを祓うのが、6月30日に行われる夏越の大祓(なごしのおおはらえ)です。7月から年末までの穢れを祓い新しい年を迎えるためのものを、年越し大祓(としこしおおはらえ)といい、これらを合わせて大祓といいます。
これらの決まった時期以外にも、流行り病に民衆が苦しんでいる時や、災害の後、天皇即位の前後などにも、厄災を祓うために行われることがあります。
夏越の大祓
夏越の大祓は6月30日に行われるもので、紙を人型に抜いたもので身体の不調な場所をなで、その後息を3回吹きかけて穢れを移し、茅の輪をくぐることで清めます。人型の紙は、大祓の儀式で厄払いをしていただきます。
この人型に切った紙を、人形代(ひとかたしろ)といいます。
夏越の大祓は、京都を中心に水無月大祓(みなづきおおはらえ)とも呼ばれ、水無月餅を食べる風習があります。
水無月餅は、高価な氷の代わりに三角に切ったういろうを用い、邪気を祓うという小豆を乗せた和菓子です。6月1日に行われていた、氷の節句から発したものではないかといわれています。
関東では、水無月餅の習慣はありません。しかし、最近になって夏越ごはんというものが都内の神社や飲食店が協力して展開されているようです。
これは、大祓の由来とも伝わる素戔嗚尊(すさのうのみこと)を、貧しい平民の蘇民将来(そみんしょうらい)が粟ごはんでもてなしたことをイメージしたものです。
粟はもとより、邪気を祓う豆なども入った雑穀米に、茅の輪をイメージしたかき揚げを乗せたものなどが供されます。
年越しの大祓
年越しの大祓には、特に定まった行事も食べ物もないように思えます、しかし、それは一般的に当たり前の行事として、私たちの生活に根をおろしているため、そう感じるのではないかと思います。
人形代に穢れを移し、厄災を祓うまでは夏越の大祓同様に行われる神社は多くありますが、茅の輪くぐりは夏越の大祓だけというのが殆どです。
しかし私たちは大掃除というお祓いを行うことで、家を清め身を清めて新しい年を迎える準備をすることを習慣としてきました。
そして、年が明ける前に前に食べきってしまうと良いもの、それが年越し蕎麦です。蕎麦は切れやすいため、災いを断ち切るという縁起の良いものです。
また、昔の金細工職人が、作業場に散った金粉を、丸めたそば粉で集めたことから、金運アップに繋がるともいわています。
12月29日には、餅をつかないという風習も、9が苦に繋がり餅が持ちと同じ音だからいうのが理由です。こうしたこと全てが、年越しの大祓の一部といえます。
大祓の歴史
大祓は、神事の一つとして、最初は宮中の行事でした。では、大祓の行事は、何を起源として始まり、いつから民間の行事になったのでしょうか。
大祓の由来は、素戔嗚尊の禊祓い(みそぎはらい)が起源とされています。その後、701年には宮中の行事として確立していたことが分かっていますから、既に1000年以上の歴史を持った神事といえます。
しかし、応仁の乱で国内が乱れ、その中心だった京都の町が荒れ果て、公家たちも衰退した時代を最後に、宮中行事としては途絶えてしまいました。
宮中行事としての大祓を復活させたのが、明治天皇です。歴史的には、かなり最近のことになりますね。宮中祭祀として行われる大祓の内容は、庶民のものとはかなり違います。
民間での大祓は、江戸時代に大きな茅の輪をくぐって厄災を祓う行事から始まったようです。それまでの茅の輪は、お守りのように腰にぶら下げるものでした。
おわりに
大祓には、茅の輪くぐりの作法があったり、言霊を体現する祝詞があったりと、とても奥深いものです。今回は、余り耳にしたことがない大祓の概要を紹介しました。何かしらの不安を抱えていたり、体調が心配だったりする人は、大祓に参加してみてはいかがでしょうか。
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