【自然を満喫する】岩手・ひとり旅。網張温泉、小岩井農場の一本桜
ライター・フォトグラファーをしている片渕ゆりです。すがすがしい新緑の季節が訪れると、自然を満喫したい気持ちが高まりますよね。今回は、歴史ある温泉と農場で、のんびりゆったり、思う存分自然に浸る旅へ。行ってみましょう!
東京駅
東北新幹線「はやぶさ」で春の世界へ
JR東京駅から、東北新幹線「はやぶさ」に乗り込みJR盛岡駅へ。エメラルドグリーンの車体は、いつ見てもかっこよくて惚れ惚れしてしまいます。乗車時間は2時間ちょっと。旅の始まりです!
盛岡駅が近づいてきたころ、窓の向こうに高い山が見えてきて、思わず撮影。雪の残る山々が美しい。
盛岡駅からは、送迎バス(無料/要予約)で「休暇村 岩手網張温泉」へ向かいます。到着までは約1時間。2日目に訪れる小岩井農場の横も通りますよ。
道沿いには菜の花や桜も咲いていて、ただ景色を眺めているだけでも旅気分が高まります。東京駅からここまで、乗り継ぎもスムーズであっという間に感じます。
休暇村 岩手網張温泉
休暇村 岩手網張温泉
名湯・網張温泉で、癒やしの時間
本館へ戻りチェックインしたら、念願の温泉タイムです! 網張温泉は休暇村内にある5カ所の温泉「網張五湯」からなる、1,300年の歴史を持つ名湯で、湯巡りも楽しめます(うち2カ所は冬季閉鎖)。
宿泊棟である本館内には、「大釈の湯」と「白泉の湯」があります。まずは明るいうちに、露天風呂のある「大釈の湯」へ行ってみることにしました。
「大釈の湯」に入って驚いたのは、目の前に広がるダイナミックな山脈の景色!
「大釈の湯」には露天風呂もあります。露天風呂からの景色も、このとおり。青空と山のコントラストを眺めながらじっくりとお湯につかっていると、気分がほぐれていくのを実感します。
時折聞こえてくる鳥の声や、風で木々がそよぐ音に耳を傾けます。
網張温泉は山の上にあるので、露天風呂は少し肌寒いのでは? と思っていたのですが、心配は無用でした。というのも、ここのお湯は「容赦の無い熱さ」と評されるくらい湯温が高いのです。体の芯からあたたまり、心なしか体が軽くなったよう。
露天風呂は、本館から歩いて5分ほどにある日帰り入浴施設「網張温泉館 薬師の湯」、7分ほどにある「秘湯 仙女の湯」(※)にもあるとのこと。
※編集部注:11月中旬から翌年5月中旬までは冬季閉鎖。2021年5月現在は臨時休業中
まだ明るいうちにお風呂を満喫できるのは、旅先ならではですね。
休暇村 岩手網張温泉
「岩手おあげんせビュッフェ」の夕ご飯
夕ご飯は、2021年にリニューアルしたというビュッフェをいただきます。海の幸も山の幸も、ついついよくばって全部食べたくなってしまう……! 幸せな悩みです。
豪華なラインナップの中で、ひときわ目を引いたのが釜飯。「山」と「海」の2種類があり、自分の席で熱してあたためます。私が選んだ海の釜飯には、ムール貝、ホタテ、ウニが。火をつけるとだんだんと香ばしい香りが漂い、食欲がそそられます。
お腹も満たされたところで、明日に備えて早めに眠ることにします。
網張温泉は星がよく見える場所。「網張スターナイト」というイベントに参加すると、従業員の方の解説のもと、天体観測が楽しめます。天気が良ければ、満天の星が観測できるのだそうです。
この日は雲が多くて星は見えませんでしたが、数え切れないくらいの星、いつか見てみたいものです。
小岩井農場
歴史ある小岩井農場へ!
2日目は「小岩井農場」へ向かいます。無料送迎バスで盛岡駅に戻り、路線バスに乗り換えて40分ほど。
まず向かったのは敷地内にある一本桜。まきば園入り口から歩いて30分ほどの場所に位置します。壮麗な岩手山を背景に咲き誇る一本桜。緑と青のコントラストの中に咲く一本桜の姿は、まるで絵画のようです。
なんと、推定樹齢は百年ほど。ずっとこの場所を見守ってきたんですね。
小岩井農場に来たら、やっぱり甘いものは外せません! 大定番の「小岩井農場ソフトクリーム」は、新鮮な生乳を使用。ひとくち頬張るとミルクの濃厚な香りが口いっぱいに広がります。自然な甘さで、後味はさっぱり。さすが農場、別格の美味しさです。
小岩井農場
トラクターで非公開エリアを探検!
小岩井農場のアクティビティの1つ、「ファームトラクターライド」は、普段は非公開のエリアを見学することができるツアーです(当日申し込み先着順)。ツアーは約45分間。トラクターがけん引する客車に乗り、ガイドさんのお話を聞きながら森の奥へと向かいます。
心地よい振動に揺られながら向かったのは、「百年の森」というエリア。もともとは荒地だったというこの場所に植林して、時間をかけて森をつくってきたのだそうです。
観光農場のイメージが強い小岩井農場ですが、山林事業や環境緑化事業など幅広く事業を手がけているそう。「林業は次の世代に託していく仕事」というガイドさんの言葉が印象的でした。
小岩井農場
小岩井農場の歩みに触れる
先ほども少し触れましたが、小岩井農場があった場所は、もとは荒れた土地でした。130年という長い歴史の中で、今の緑鮮やかな農場になったのです。
ここを訪れるまで「小岩井」は地名だと思っていたのですが、農場をつくった共同創始者である小野義眞、岩崎彌之助、井上勝の3人の名前から頭文字を取ったものなのだそう。井上勝は日本の鉄道の父とも呼ばれる人物で、小岩井農場の敷地内には実物のSLも展示されています。
2021年4月にまきば園内にオープンした「小岩井農場重要文化財ギャラリー」では、小岩井農場の歴史や、重要文化財について深く知ることができます。
小岩井農場
歴史的な建造物の見学と牛に挨拶
小岩井農場には歴史的建造物が多く残されていて、なんと21棟もの建物が国の重要文化財に指定されています。しかもその多くが今も現役だというので驚きです。
長い歴史を持つ小岩井農場には、かつて宮沢賢治もよく訪れたのだとか。場内には、詩の一節を刻んだ石もありました。
重厚な建築の牛舎には、つぶらな瞳の牛たちが。農場には、ほかにも羊やウサギ、ポニー、牧羊犬など、多くの生き物が棲んでいます。
広大な敷地には、数多くの桜が植えられています。一列にずらりと並ぶ上丸牛舎の桜並木は迫力満点。
お土産で買ったハロウミチーズ「農場育ちハロウミ」。ここでしか買えない貴重なナチュラルチーズです。ミルクの風味豊かで、もっちりとシャクシャクが共存するおもしろい食感。これはハマってしまいそうな予感です。
小岩井駅
田沢湖線で、プチトリップ
小岩井農場から盛岡駅までは路線バスやタクシーを利用して直接行くことも可能ですが、せっかくならば旅情を味わいつくしたい! ということで、帰りは最寄り駅のJR小岩井駅から田沢湖線で盛岡駅に向かうことに。小岩井農場から小岩井駅までは、タクシーで10分ほど。
パステルブルーが可愛らしい、木造の駅舎に到着です。
盛岡駅までは約10分とあっという間ですが、これも立派な旅の一部分。ブルーのボックスシートが、ちょっとノスタルジックな雰囲気です。
盛岡駅から新幹線に乗り、東京駅へ帰ります。
しっかり温泉であたたまり、じっくり自然に触れる。日頃の疲れやストレスが、ふわっと抜けていくような2日間になりました。
大自然の中、絵の中から抜け出てきたような美しい小岩井の桜も味わうことができ、一本桜も桜並木も、それぞれが忘れられない春の一コマとなりました。またいつか、次は誰かと一緒にゆっくり時間をかけて訪れたいと思っています。
東京駅
掲載情報は2021年6月16日配信時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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