現在をどう解釈するかで過去も未来も変えられる! コピーライターと考える「ものごとの捉え方」
目の前にある厳しい現実に、「もうダメだ」「自分にはできない」と心が折れそうになったことは誰にでもあると思います。けれど、目の前にある現実をどう捉えるかは自分次第。解釈のしかたによっては、「目の前に立ちはだかる壁にも、見晴らしのいい窓があるかもしれない」(本書より)と、『それ、勝手な決めつけかもよ? だれかの正解にしばられない「解釈」の練習』の著者・阿部広太郎さんは言います。
自己啓発本ならぬ「自己解釈本」として書かれた本書。コピーライターとして活動する阿部さんが、他人や世界に振り回されずに自分主導で生きるための視点のとらえ方を教えてくれます。
緊急事態宣言下の2020年4月、阿部さんがTwitterに投稿して大きな反響を呼んだ以下のツイートを紹介します。
ペストの流行があった1665年。ケンブリッジ大学が一時休校。結局、2年間に及ぶ休校になった。ニュートンはその間に、万有引力の法則を発見した。さらに僕が驚いたのは、ニュートンが「休校期間」のことを『創造的休暇』と呼んでいたことだ。今はこの先に向けて、何かを創造する時間でもある。(@KotaroA)
これはまさに、「解釈を変えることで、勝手な決めつけから自由になれる」という好例ではないでしょうか。
また、自分で解釈のしかたのトレーニングができるのも本書の特徴のひとつ。たとえば第1章「自分篇・自分の知らない自分と出会う」で解釈するのは、「自分」という存在。「なぜ自分はその名前になったのか?」「好きな人と嫌いな人を通じて、自分を浮き彫りにしていこう」「自分の仕事をどうとらえているか?」といった課題が出されます。
ひとりで考えるのは苦痛でしょうか? そう感じる方でも、本書には阿部さんが主宰する講座の受講生による回答が豊富に紹介されているので、心強いかもしれません。また、阿部さん自身の回答や体験談もざっくばらんに書かれています。そのため、阿部さんや他の人たちと一緒に考えているような、そんなアットホームさがあります。
まず第1章で「自分」を、続く第2章で「現在」を見つめることで、「自分の人生の中心は間違いなく自分なんだ」とはっきりと知ることができます。そして自分の現在を真ん中に置き、第3章で「過去」、第4章で「未来」を解釈することで、強風に吹かれても折れない芯を手に入れられると阿部さんは説きます。
新型コロナの脅威、スマホから流れてくる大量の情報、先の見えない不安。何が正解かわからず足がすくんでしまうこともあるでしょう。そんな私たちに阿部さんは「自分が流されていくのでも、自分を塗り替えられていくのでもなく、自分を守るためにも、解釈をして働きかけていきたい」「解釈をしながらさばいていくことで、自分の心の環境を整えていこう」と呼びかけます。
もし「こうじゃなきゃいけない」という考えにしばられてしまうことがあったら、ぜひ本書を開いてみてください。勝手な解釈から解き放たれ、自分らしく羽ばたく翼をきっと授けてくれるでしょう。今の時代を強くしなやかに生きるため、「解釈」のしかたは身につけておいて困らないはずです。
[文・鷺ノ宮やよい]
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