人に教えたくなる子牛肉と牛肉の違い!意外と細かい規定があった

人に教えたくなる子牛肉と牛肉の違い!意外と細かい規定があった

子牛肉というと、フランス料理やイタリア料理のレストランなどで、メニューで見かける機会が増えています。しかし、この子牛肉という牛肉は、一般的な牛肉とどのような違いがあるのでしょうか?子牛肉についての規定など、詳しく調査してみました。

子牛肉はいわゆる牛肉とどんな違いがあるの?

子牛肉はいわゆる牛肉と比較して、まだまだスーパーなどでの取り扱いは少ないです。それに対して子牛肉を使った料理を出す店は年々増えているのか、メニューで見かける機会が増えたと感じる人も多いのではないでしょうか。

 

そんな子牛肉ですが、普段よく見かける牛肉とは違い、日本ではまだまだ馴染みの薄い肉といえます。食べようと思ったらレストランなどに行くか、通販で取り寄せるというのが一般的でしょう。わざわざそこまでして食べるほどなの?と思う人も多いかもしれません。

 

そこで子牛肉がどのような肉なのか、詳しく調査してみました。一般的な牛肉との違いや、子牛肉についての意外な事実、部位ごとの特徴についてもまとめてあります。これまで子牛肉がわからず注文しにくかったという人は、ぜひ最後までご覧ください!

 

 

子牛肉とはどんな牛肉?

子牛肉とは読んで字のごとく子牛の肉です。問題は生後どのくらいまでを子牛というかを知っている人が、ごくわずかということでしょう。子牛の基準は国によっても違いがあり、欧米では生後10か月未満、一般的には9~12か月以下とされています。

 

日本では馴染みの薄い子牛肉ですが、フランスやイタリアなどのEU圏や、ニュージーランドやオーストラリアなど子牛肉をよく食べる地域では、牛肉とはまた別の子牛肉として1つのジャンルを確立しているのです。

 

それだけ多くの国の食文化に定着している子牛肉ですが、歴史そのものは非常に浅いといえます。第二次世界大戦後のある年、オランダで生産過剰になって余ってしまった牛乳を子牛に餌として与えてみたところ、香りのよい牛肉になったことが生産のきっかけというのです。

 

品質の安定化とコスト削減を目的に、現在では牛乳ではなく脱脂粉乳を餌に育てられています。そのため産地が変わっても味の差はほとんどないとされますが、5か月ほどで離乳して穀物なども食べるようになってからは、餌や飼育環境による味の差が大きくなるようです。

 

子牛肉の肉質の特徴は、赤みが薄くて低脂質で高たんぱくなこと。さらに柔らかな肉質をしているため、日本では高級食材扱いです。また、日本国内ではまだまだ生産量が少ないことから、流通している多くの子牛肉はオーストラリアなどからの輸入品がメインになっています。

 

 

一般的な牛肉とは?子牛肉との違い

一般的な牛肉は、あらかじめ肉牛として繁殖させた牛や、乳牛として産ませたもののオスとして生まれてきた牛を、それぞれ食肉用に肥培させた牛の肉を指していいます。食肉用として繁殖させる場合は、繁殖農家と肥育農家で分業するのが一般的です。

 

繁殖農家で誕生した牛は、地域によって期間に違いはあるものの、生後6~12か月後まで育成された「素牛」として市場に出され、繁殖農家に買われていきます。そしてさらに肥育農家で肉牛として育てられ、生後2年半~3年ほどで肉にされるのです。

 

一般的に肉牛として育てられる肉牛は、配合飼料をたっぷりと与えられて肥培されるため、脂肪分も多くなります。牛の種類によっても肉質が異なり、肉の硬さやサシの入りにもはっきりとした違いが生まれるのが特徴です。

 

さらに鉄分が多く含まれることから、赤色が強い点でもはっきり違います。子牛肉の噛み応えが適度な弾力を持つのに対し、牛肉はサシ入りの部分はとろけるようでありながら、赤身の部分は噛み応えがあるのも明白な違いです。

 

このように、先にご紹介した子牛肉とは、生産体制から餌、育成期間や生産コスト、はては食感や味まで大きく違います。まさに同じ牛でありながら、子牛肉が定番化している海外で異なるジャンルを確立するくらい、子牛肉と牛肉にははっきりとした違いがあるのです。

 

 

子牛肉は育てた期間で名前が変わる

子牛肉は子牛を育てる期間の長さでも餌が変わるため、育成期間で肉の呼び名が違います。もっとも育成期間が短いのは「ボビーヴィール」と呼ばれる子牛肉で、生後2~3週間、初乳を中心に乳だけで育てられた子牛です。

 

「ボビーヴィール」は乳牛予定で産ませた子牛がオスだった場合に肉にされるもので、日本ではフォンドボー用として骨やスジ肉を輸入して利用するケースがほとんどといいます。

 

続いて育成期間が短いのが「ミルクフェッドヴィール」で、最も高価な子牛肉です。育成期間は生後5か月前後で、脱脂粉乳を中心にミルクだけを与えられて育成されます。肉からはかすかにミルクの香りが感じられ、肉の色は淡くてクセもなく、非常に柔らかいのが特徴です。

 

そして育成に8か月をかけるのが「ヤングロゼヴィール」という子牛肉で、脱脂粉乳と穀物を与えて肥育されています。オランダのTブール社ではヴィテンダー子牛として取り扱い、一種のブランド化をしている子牛肉です。

 

そして日本で最も流通量が多い子牛肉は、オーストラリアのみで生産されている「スタークヴィール」という子牛肉になります。牛肉の価格調整用としても利用されており、主に肉牛のオスを生後4~8か月間、肥育農家への出荷直前の状態まで肥育された子牛です。ただし離乳後は特に穀物などで肥培するのではなく、放牧して牧草だけで育てられています。

 

 

子牛肉の部位別の特徴は?

子牛肉にもさまざまな部位があります。食感や味わいにも違いがあり、楽しみ方もいろいろです。子牛肉はまだ体が小さい子牛の肉だけあって、それぞれの部位も小ぶりになります。

 

そのためヒレなどは、一般的な牛肉よりもさらに希少な部位です。子牛肉は水分が多めなことから、一般的な牛肉よりもよりしっとりしているのが特徴。さらにその柔らかさも魅力の1つです。両方をあわせ持っているヒレはまさに希少な部位といえます。

 

一般的に頭の方から「トルネード」「シャトーブリアン」「フィレミニョン」の3つの部位に分けられ、ステーキ肉としても最高級の部位です。

 

そんなヒレやステーキの定番部位であるサーロインにも負けない美味しさを誇るのが、リブロースの部分といわれています。ローストビーフにしても風味がよく、柔らかさとの相乗効果が生み出す美味しさは無視できません。

 

調理温度で簡単に溶けだす脂肪分が、風味豊かに明るい色をした赤身肉とかみ合い、ヒレやサーロインだけでない子牛肉の美味しさを存分に堪能できます。

 

調理方法の豊富さで選ぶなら、もも肉がおすすめです。動きの多い脚の部分だけあって、外もも肉にはゼラチン質が多く含まれています。煮込み料理にぴったりで、フランスの家庭料理であるフリカッセにはこの外もも肉がおすすめです。

 

また、内もも肉は外もも肉と違った柔らかさと上品な味わいが持ち味。日本ではしゃぶしゃぶで食べるのが人気です。内もも肉はカットしてステーキにしてもよいですが、カツなどの揚げ物にもピッタリという使い勝手のよさが光る部位といえます。

 

もも肉でもう1つ、しんたまと呼ばれる部位もおすすめです。もも肉の中でも特に柔らかくきめ細かい赤身肉で、子牛肉でありながら適度にサシも入ります。そのため焼いてもパサつきにくく、ステーキやローストなどの焼き料理、しゃぶしゃぶなどの鍋料理と、使いどころを選びません。

 

イタリア料理で有名なオッソボッコを作ってみたいなら、骨付きすね肉を用意してください。ゼラチン質をたっぷりと含み、旨み成分も豊富です。骨を筒切りにするのが大変という場合には、すでに料理用に加工されたものを購入するとよいでしょう。

 

 

おわりに

子牛肉はまだまだ日本の一般家庭では馴染みがありませんが、海外では1ジャンルを確立するほど定番の肉です。一般的な牛肉とは育て方に大きな違いがあることから、味も大きく異なります。興味を持ったという人は、まずはお店で味わってみてはいかがでしょうか?

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