清原和博氏のタトゥー除去問題を考える KK世代と呼ばれた人間として│久田将義

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清原和博氏のタトゥー除去問題を考える KK世代と呼ばれた人間として│久田将義

僕はあえて、覚醒剤を一度やった人は更生して欲しいという意味で「一度やった人は信じない」という事を言っています。それは、ヤクザや元暴走族を取材しているうちに「もう覚醒剤は止めました。何であんな事をやっていたのか」と清々しく笑う顔を見て、「もうこの人は安心だな」と思っていると、数年後、人から、あるいは警察署から「(その人が)薬物で逮捕された」と知らされるケースが間々あるからです。本当にガッカリしたものです。

再犯率は6~7割とも言われている覚醒剤事犯です。立ち直るのが本当に難しいのは、読者の皆さんも僕のように覚醒剤を実際に打っている人に取材しなくてもテレビべースでもお分かりかと思います。
けれど、冒頭の「一度やった人は信じない」という言葉に奮起して「ふざけんな」と思い、更生してくれれば憎まれ役を買った意義もあると捉えています。

清原和博さんという日本プロ野球界のスーパースターがいました。ご存知の通り、2016年覚醒剤を所持・使用の罪で東麻布の自宅マンションで逮捕。現役時代の覚醒剤の使用は否定するも、懲役2年4カ月、執行猶予4年という判決でした。そして執行猶予があけた2020年、YouTubeを開設しました。敏腕ディレクター、マッコイ斉藤さんの企画の元でした。
当初、僕は冒頭のような考えを清原さんに抱いていました。また体重が140kg近くあるというのも薬物の影響の一つなのでは、と疑っていました。そしてスタート当時は呂律もさほど宜しくはなかったです。

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が、試しにYouTubeを視聴したら、つい引き込まれました。「甲子園は清原の為にあるのか!」と実況したほどホームランを打ちまくり、NPBではホームラン525本、2000本安打、1500打点はNPB史上6人しかいません。また、僕の記憶では同期の桑田真澄投手(現・ジャイアンツピッチングコーチ)は「清原は世界一のバッターだと思います」というコメントを残していました。
その清原さんのYouTube(「清スポ」。登録者数は4月2日で約38万人)と好調です。初回が六本木で石橋貴明さんとのコラボでした。この動画で「大丈夫かな」と思いました。元覚醒剤で逮捕された人間に聞くと、「覚醒剤を断つには、場所・人間関係・仕事。この三つを変えなければダメだ」と聞いていたからです。

仕事も場所も変わっていないではないですか。本当に更生する気があるのだろうか、と。マッコイ斉藤さんも「良いように清原さんを利用しているのか。というか清原さんもよく乗っかったものだ」と冷ややかに見ていました。

が、最近の動画で少年野球の子供が父親と一緒に、清原さんの実践アドバイスを受けているものがありました。スポーツ新聞では清原さんのダイエットばかり追っていますが、その手の話題は芸人さんにお任せすれば良い事でしょう。いつまで経っても進歩がないですね。
その動画では清原さんは極めて、紳士的に、穏やかに、少年野球に合わせたアドバイスをしていました。野球の素人の僕から見ても分かるほどでした。そして、その少年は後日、試合でホームランを打ったそうです。その動画もアップされています。

「これか、これが清原さんの生きる道なのか」と、僕は感動しました。清原さんの少年に対する言葉遣いも素晴らしいものでした。

話がそれますがNHKで『奇跡のレッスン』という番組があります。スポーツに励む少年少女に「まさかこの人がコーチしてくれるのか」というレジェンドを呼び、アドバイスする番組です。野球だったらランディ・ジョンソンが来日してコーチングしていました。
ラグビーでは目黒学院(旧目黒高校。ラグビーでは強豪校)に元日本代表ヘッドコーチ、エディ・ジョーンズがゲストでした。中学ラグビーの回では元日本代表の大畑大介、畠山健介、大西将太郎各氏が教えていましたが、中学・高校ラグビー経験者として、中学ラグビーにああいう厳しめに教えるのは違和感を抱きました。高校で教えるなら別です。あれで中学生がラグビーから離れてしまうのではと危惧しました。「名選手、必ずしも名コーチではない」のだなと感じたものです。事実、子供をラグビー選手にしたいと言っていた知り合いも、「あれだとラグビーはやらせたくない」と言っていた事を付け加えておきます。

閑話休題。

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それと比べると清原さんは少年に画面越しにも伝わる、優しさで技術を「さすが誰かが50年に1人出るかでないかの天才と言われただけあるな」と視聴していました。
清原さんの更生はここにあるのではと感じました。最初は前記のように「六本木? テレビディレクターと組む? 大丈夫?」と思ってはいましたが。

しばらくして、清原さんがタトゥー除去手術に踏み切るという報道がありました。足と背中から胸にかけて龍の刺青が入っているはずです。これはずいぶん前から僕は気づいていました。あるスポーツ番組で清原さんが肩のあたりにテーピングをしていたのを見て、「ついちゃったんだな(つく=刺青を入れる)」と推測しました。結果当たっていた訳です。

テーピングで隠したり、最近はパウダーで格闘技選手がタトゥーを隠して試合をしています。僕はタトゥーや刺青は想いがあっていれているものだから、いったん入れたらよほどの事がない限り消さなくてもいいのではと思っている派です。

ただし、インタビューをした事がありますが元プロボクサーで元ヤクザだった大嶋宏成さんの例があります。大嶋さんは、和彫りだったため、ボクシング協会からダメ出しをくらいレーザーと皮膚移植でヤクザ的部分の胸の刺青だけを除去しました。これはこれで、ボクシングにかける意気込みをリスペクトしたいと思います。

清原さんは少年野球の指導が合っているのではいかと、『清スポ』を見て感じました。それほど子どもに対して優しさと、技術を伝える上での分かりやすさが見ているこちら側にも伝わってきました。思わず「いいね」ボタンを押しました。

なので、脚に刺青が入っているのを見たら、普通の野球少年の父母は抵抗感を抱くでしょう。どうしても見てしまう場所です。刺青に関して言うと僕が取材したヤクザに言わせると「自己満足の世界。ヤクザなら隠すもの。出している子らはヤクザじゃないでしょ。いいんじゃないですか」という考えでした。

清原さんがどういう思いで入れたか分かりません。ハッキリ言って、その頃はイキっていたのだと思っています。因みに、僕は清原さんと同年代なのでKK世代と言われていました。彼の逮捕後はそういわれるのが嫌でした。が、『清スポ』を見て、それほど捨てたものではないと感じました。単純なのかも知れません。けれど少年に対する清原さんの誠実さは本物だったと受け止めています。

除去するなら入れるな。そう思う人がいてもおかしくありません。が、今回はお母さまと盟友佐々木主浩(言わず知れた名クローザー)との約束があると言う事です。

僕はそれだけではないと思っています。これからのNPBを背負うであろう、あるいは野球から離れて別の道を行く少年たちに少しでも清原さんの『清スポ』での優しさと技術論を伝えるために必要なのだと考えています。
タトゥー愛好者、刺青を既に入れている人からすればガッカリするかも知れません。けれど元刺青ボクサー大嶋宏成さんの例もある訳です。

清原さんが少年たちに教えたのではなく、「野球少年が清原さんに」第二の人生の進み方を教えてくれたのかも知れません。(文・久田将義)

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