「ミイラ取りがミイラになる」とは?その語源や由来はある薬にあった

「ミイラ取りがミイラになる」とは、人を探しに行った者が逆に探される立場になったり、説得しに行った人が逆に相手に説得されてしまうことの例えです。
ここでいうミイラ取りというのは、実は世に知られたミイラとはちょっと異なるものだったりするのだとか。
そこでここでは、「ミイラ取りがミイラになる」という言葉の意味や由来について見ていきましょう。
「ミイラ取りがミイラになる」とは
まずは「ミイラ取りがミイラになる」の意味や類義語を見ていきましょう!
「ミイラ取りがミイラになる」の意味
「ミイラ取りがミイラになる」とは、日本独自のことわざの1つです。
相手を説得しに行ったにも関わらず、逆に説得されて相手と同じ意見になってしまうことの例えとして用いられます。
また、文字面から人を探しに行った人が戻ってこないために、逆に探される立場になってしまうことの例えとしても使われます。
「ミイラ取りがミイラになる」の類義語
「ミイラ取りがミイラになる」の類義語としては、「説き伏せられる」「説得される」などがあげられます。
鍵となるのは「する側」ではなく「される側」ということですね。
同じことわざでの類義語としては、「人捕る亀が人に捕られる」や「木菟引きが木菟に引かれる」などがあります。
「ミイラ取りがミイラになる」の語源

ここからは「ミイラ取りがミイラになる」の由来について見ていきましょう。
「ミイラ取り」のミイラは薬の事
「ミイラ取り」のミイラとは、エジプトの王族の特別な埋葬法やホラー映画に出てくるあのミイラを直接的に意味していません。
古くは「没薬(もつやく)」と呼ばれた薬のことを指しています。
没薬とは、ムクロジ目カンラン科の木々などから分泌される赤褐色の植物性ゴム樹脂のことで、主にスーダンやソマリアや南アフリカや紅海沿岸などに自生しています。
海外では「ミルラ」と呼ばれることもあるこの薬が、「ミイラ取りがミイラになる」の成り立ちに関わってきています。
薬のミイラが重宝されたことで生まれた言葉
薬のミルラは、古くから香として焚いて使用されていた記録が残されています。
また、殺菌作用を持つとされ、鎮静薬や鎮痛薬としても重宝されたそうです。
特に古代エジプトでは、日没の際に焚かれていたと考えられている香「キフィ」の調合にも使用していたとされています。
また、ミイラ作りの遺体防腐処理のためにも重宝されたのだとか。
ミルラは、日本では没薬と呼ばれ万病に効く高価な薬とされていました。
そのため、多くの人が欲してやまない薬でしたが、採れるのは日本から遠く離れたアフリカ周辺です。
お金になるとは知っていても、おいそれと採りに行ける場所ではありません。
そして、この没薬はミイラ作りの際にも使われているものですが、伝聞によってミイラが原料になっているといわれるようになりました。
そこから、没薬を求めてミイラを探しに行った人物が、砂漠で遭難して逆にミイラになってしまった人がいるという風説の流布がされるようになりました。
この根も葉もない噂からから「ミイラ取りがミイラになる」という言葉が生まれたとされています。
「ミイラ取りがミイラになる」は日本独自のことわざ

「ミイラ取りがミイラになる」は、エジプト独自のことわざのように思えますが、実は日本独自のことわざです。
そのため、英語などにそっくりな言葉はありません。
しかし、同様の意味合いのことわざならありますので、ご紹介します。
英語での「ミイラ取りがミイラになる」
「ミイラ取りがミイラになる」というニュアンスを英語で伝えたい場合、
「Many go out for wool and come home shorn.」という表現すると同様の意味となります。
この英文を和訳すると「羊の毛を刈りに行ったのに自分が毛を刈られて帰ってくる」となります。
中国語での「ミイラ取りがミイラになる」
「ミイラ取りがミイラになる」は、中国語で「稻草人救火」が同じ意味を持っています。
この文を和訳すると「案山子の火消し」という意味になります。
案山子(かかし)が火を消しに行ったら、確かに藁で燃えやすい自分の体に火が燃え移ってしまう未来しか見えませんね。
まとめ
「ミイラ取りがミイラになる」とは、人を探しに行ったと思ったら、その人も遭難したり迷子になってしまう様子の例えです。
また、説得しに行った人が、逆に相手と同じ意見になって戻ってくるという様子の例えとしても用いられます。
この言葉の由来は、古代エジプトなどで重宝された薬「ミルラ」にあるとされています。
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