藤岡みなみ|大好きです、無人販売所【思い立ったがDIY吉日】vol.52
タレントの藤岡みなみさんが、モノづくりに対してのあれこれをつづるコラム連載!題字ももちろん本人。可愛くも愉快な世界観には、思わず引き込まれちゃいます。今回は、モイストポプリ作りにチャレンジ!
藤岡みなみ
タレント、エッセイスト。タイムトラベル専門書店 utouto店主。縄文時代と四川料理が好き。やってみたがり。
ブログ:藤岡みなみ 熊猫百貨店
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大好きです、無人販売所
無人販売所への偏愛から始まるDIY。
無人販売所にハマっている。個人の家の前などに設けられた横幅1mほどの棚に、近くの畑で採れたおいしそうな野菜や果物が並べられている。すぐそばに代金を入れる箱があり、客が自分で支払って商品を持って帰るしくみだ。いわば、セルフレジのはしり。監視カメラなどもなさそうだし、性善説に基づくシステムだなあと思う。私は野菜を盗んでいると思われないようにするため、誰も見ていなくても「あーっ、おいしそうなじゃがいも! えーっと、100円かあ。お金はここに入れてっと。ありがとうございましたー!」と大声で独り言を言ってしまう癖がある。文字にすると余計にあやしい。
無人なのになぜか人の温もりを感じる。
無人販売はいい。直売だからか、たいていスーパーよりお得な値段だし、人と触れ合わずに購入できるというスタイルは今の世の中に合っている。買いたいものがその日必ずあるとは限らないけれど、ラインナップがランダムなところも魅力だ。見たことがない変わった形のウリや、どこからどこまでが食べられるのかわからない根菜に出会うこともある。また、おしゃれな家の前の無人販売棚は売られているものもおしゃれで、ハーブやお花が並べられている様子は見ているだけで癒やされる。散歩がてら、足を延ばしていくつかの無人販売所をめぐるのが最近のマイブームだ。
どんどんたまっていくゆずたち。
私には「大声で独り言を言いながら購入する」以外にも困った癖がある。それは、欲しいものがなくても絶対に何か買う、というものだ。棚に近づいたのに何も買わずに離れるという動きもまた遠目には盗人らしく見えるかもしれないという恐怖感に起因している。考えすぎなのはわかっているが、そういう性格なので仕方ない。本当に欲しいものがないことも多く、そういうときはたいていゆずを買うことにしている。大根や白菜はありすぎると場所をとって困るけれど、ゆずならいくつかあっても大丈夫そう、持って帰るのも楽だし、という判断である。冬になるとどこの無人販売所にもゆずが置いてあった。いくつかの無人販売所をまわり、ゆずばかり買い集めて帰ることになる日もあった。
大量消費大作戦!その結果は
たしかにゆずは置き場所には困らないが、大量に消費できるようなものではないということに気づいたのは家にゆずが20個ほどたまった頃だった。もう置き場所にも困り始める数だ。湯船に一気に5つ入れてみたらふくらはぎがヒリヒリして恐怖を覚えた。ゆず酒やはちみつゆず茶にするのにも、1〜2個あれば十分だ。砂糖で煮詰めて乾燥させるゆずピールも作った。まだ減らない。そこで普段やったことのないゆず消費DIYに挑戦することにした。
たっぷり入れると隙間ができなくて綺麗。
「モイストポプリ」なるものがあるらしい。ポプリといえば乾燥した花やハーブのイメージだが、モイストポプリは生乾きのものを塩の中で熟成させることで完成する。今回はゆずの皮でモイストポプリを作ってみた。今まで50回以上やってきたこの連載で取り上げたDIYの中で最も簡単かもしれない。ガラス容器などに粗塩と千切りにしたゆずの皮を交互に入れ、層を作る。おわり。さわやかな色味で、玄関や台所の片隅に置いたらきっとかわいい。そのままでも十分いい香りだが、3週間ほど熟成させるとどんどんいい感じになってくるようだ。お風呂に入れるとバスソルトにもなる。でもふくらはぎが敏感な私はたぶんしない。
スイーツみたいな見た目にきゅんとする。
いざ大量消費と意気込んだが、モイストポプリ作りによって消費できたゆずの数はわずかに2個であった。そしてまた散歩に出かければ大声を出しながらゆずばっかり買ってきてしまうのだろう。やれやれ。もうこうなったら家の前に棚を出して、無人のゆず屋をはじめるしかない。
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思い立ったがDIY吉日<vol.51>欲しいものを買ってあげたい、しかし……
思い立ったがDIY吉日<vol.50>50年後のためにスープを研究しています
思い立ったがDIY吉日<vol.49>ロード・オブ・ザ・華奢リング
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