劇団地点・三浦基氏のパワハラ問題 2,500万円の損害賠償訴訟予告と京都市の対応に、被害者と代理人はどう向き合うのか

京都の劇団・地点の主宰・三浦基(もとい)氏による元劇団員へのパワーハラスメントを巡る問題で、1月26日(火)に被害者であるA氏とその代理人らによるオンライン会見が行われた。ビデオ会議システム・ZOOMで行われた会見には、京都弁護士会の岡根竜介弁護士・豊山博子弁護士・磯谷昇太弁護士、東京弁護士会の藤森純弁護士、大阪弁護士会の亀石倫子弁護士の5名が代理人として出席。また、被害者である元劇団員Aさんは、初めて公の場で問題について語ることとなった。

会見は、2020年12月24日に三浦氏のロームシアター京都館長就任見送りが発表されたことを受けて行われたもの。この問題では、元劇団員Aさんが三浦氏から様々なパワハラを受け、不当解雇されたことなどを主張。Aさんは映演労連フリーユニオン(以下、組合)を通じて、2019年9月から劇団・地点(以下、地点)の団体交渉を行ってきた。

この間、劇作家の平田オリザ氏が声明を発表し、同氏を含む舞台芸術関係者や京都舞台芸術協会が連名で京都市に公開質問状を提出。パワハラや退職強要問題で団体交渉中であること、三浦氏が推薦を受けた際の判断基準などの公表を求める声が演劇関係者らを中心に高まっていた。その後、2020年3月5日には、組合と地点が合同で団体交渉の「解決」を発表。「劇団地点代表三浦基は、本件により、元劇団員が結果として精神的苦痛を受けたことを理解し、陳謝いたします」といった文言が組合と地点双方のWEBサイトに掲載され、問題に一旦の区切りが付けられたかに見えた。ところが、今回の会見で、Aさんが和解に応じていなかったことや、その後三浦氏から誹謗中傷を受けていたこと、地点側から2,500万円の損害賠償請求を予告されていたことなど、新たな問題が明かされた。

会見でははじめに、亀石弁護士ら5名がA氏の代理人となった経緯説明が行われた。その後、各代理人から三浦氏のハラスメントの内容や、京都市の問題への対応、今後の方針などが発表されている。以下に、各代理人による説明を時系列表とともに紹介。さらに、Aさんの見解を全文掲載している。

亀石弁護士:岡根弁護士・豊山弁護士・磯谷弁護士、そしてわたくし亀石弁護士の4名は、昨年2020年の春、三浦氏のロームシアター京都館長就任1年延期の報道を受け、館長選任プロセスや氏が抱えるパワハラ・不当解雇問題への京都市の対応に疑問を感じ、同年4月に京都市および京都市音楽芸術文化振興財団に対して同館長人事に関する公文書の公開請求を行い、その結果を7月22日にインターネット上で公開しました。これをきっかけに、三浦氏との交渉事案の当事者、つまり、パワハラの被害者であるAさんから相談を受けていた藤森弁護士と連絡を取り合うことになりました。その中で、実はAさんが地点との和解に応じていない事実を知ることになりました。三浦氏は昨年3月に京都市に対し、「元劇団員との関係は、当事者間で解決に至った」と報告していたわけですが、それが事実と異なることがわかりました。

三浦氏の館長就任を1年延期した際、京都市および京都市音楽芸術文化振興財団と三浦氏との間では、共通確認事項という書面が締結されましたが、そこには「ただし、就任前に信頼回復がなされない、又は新たに信頼を損なう事態が客観的に生じたと考えられる場合は、館長就任を撤回することとする」と記載されています。もし、A氏が和解に応じていない事実が明らかになれば、京都市は三浦氏の館長就任を撤回せざるを得ないだろうと私たちは考えていました。

昨年9月にはAさんから京都市に対して「和解が成立していない」という事実を伝えています。その後12月、地点からAさんに対し、2,500万円の損害賠償請求を提起する予告書面が届きました。その時点で、Aさんの代理人となっていた藤森弁護士、そして私たち京都・大阪の4名の弁護士が代理人団に加わることになりました。その後、12月24日には三浦氏の館長就任見送りが発表されています。

続いて、藤森弁護士から三浦氏のA氏へのハラスメント概要と、団体交渉までの経緯の説明が行われた。

地点入団までに行われたハラスメント

藤森弁護士:Aさんは、オーディションを経て2017年6月に地点に採用されることになりました。三浦氏は、最初の面談からAさんの家族構成や両親の職業、恋人の有無など、Aさんの職能とは無関係の質問を行ったうえで、「両親の老後の世話は兄弟がやればいい」といった発言を行いました。また、Aさんが俳優として芸名で活動することを希望すると、「芸名の使用が劇団の理念にあわない」などの理由をつけ、本名でクレジットするか、「その他」として氏名を記載しないか選択するよう告げました。Aさんが芸名での活動を希望する理由のひとつとして、「過去にストーカー被害に遭っていたこともあり、本名を使用することに抵抗がある」ことを伝えると、三浦氏は「もし、そんなにトラウマが酷いんだったら、もう引退して表に出るのをやめて、早く結婚して旦那さんに守ってもらうしかないよ」などと発言するなど、当初からAさんの人格を傷つけるような発言を繰り返しておりました。

地点とAさんが何度かのやりとりを経たうえで、地点は入団の条件として、「本名か三浦氏の考えた芸名のいずれかで活動すること」「当時の所属団体の退所、出演予定だった公演を辞退すること」「ソロ作品の創作をやめること」を提示。さらに、これらの条件を受け入れない場合は、合格を取り消すと告げてきました。また、地点はこれらの条件を受け入れるかについて、その場で10分以内で決断することを、Aさんに強要しました。Aさんは当時、地点の作品に出演できることに意義を感じており、合格を取り消されることだけは何としても避けたいと考え、地点の条件に従わざるを得ませんでした。

入団以降・退団要求時まで続くハラスメント、一方的な金銭の支払い

藤森弁護士:その後、試用期間として設定されていた最初の出演作である『どん底』の公演が2017年11月に終わり、A氏が地点の劇団員になることが確定いたしました。合同会社地点としての給与の支払いは、2018年4月から開始されております。三浦氏は日常的にハラスメントと言える言動を繰り返していました。三浦氏のハラスメントの体質は、A氏だけにとどまらず、他の劇団員にも及んでいたようです。2018年7月23日に三浦氏はA氏と面談を行い、A氏に対して劇団を辞めるように伝えました。その際、三浦氏の発言には、「あなたのポテンシャルを考えると、地点でやっていくことは難しい。ほかの人も仕上がるまで3,4年かかった。これから来る人があなたよりレベルが低い可能性もあるが、ならば若い人に賭けたい」「なんとなく君がいられないってだけ。なんとなくいたら、なんとなく使えるんだよ。俺、演出うまいから」といったものがございました。

A氏は劇団員を続けたいと希望したため、23日の話し合いは平行線をたどり、25日に改めて話し合いが持たれることになりました。25日の話し合いの際には、三浦氏は次のような発言を行っています。「『何か、馬があわなかったね』て感じの、ま、じゃって感じの、ラテンな感じはある。別に熟年離婚じゃないから」「これ以上話すと、『やめろ』って言い方になっちゃう。まあ、最初からそう言ってるんだけど。前の面接から」「最終的には、『もう辞めて下さいってことです』としか言えない」「最近は、学生に対してセクハラ、パワハラ、アカハラなんだっけ?全部のハラスメントを平然とするの。もう、巨匠だから。本当に、もう気ぃ遣ってる必要がないから」「君、シャーマンの気質があるから、もう、どいてって感があるのかもしれない。合う合わないで言うと、なんかわかるでしょ?」 Aさんは合同会社地点を退社させられることとなり、地点に解雇予告手当の支払いを求めるとともに、数々のハラスメントの事実に対し、対応を行うよう通知いたしました。これに対して、地点の代理人から内容証明が送られてきました。地点は「Aさんを解雇した事実はなく、あくまでも自己都合の退職である」ということ、「ハラスメントの事実がない」ことを主張しました。その一方で、解雇予告手当相当額の金銭を支払ってきました。

Aさん地点入団から解雇まで
2017年5月 Aさんが地点の劇団員オーディションに応募
2017年6月 Aさんがオーディションに合格
2017年9月〜11月 『どん底』の稽古・公演
2018年1月〜3月 『正面に気をつけろ』の稽古・公演
2018年4月〜6月 『山山』の稽古・公演
2018年6月〜7月 『忘れる日本人』の稽古・公演
2018年7月23日 Aさんと三浦氏の面談。三浦氏から退団するように伝えられる。/Aさんはこれを拒否。
2018年7月25日 Aさんと三浦氏の再度の面談。改めて三浦氏から退団するようにと伝えられる/Aさんは改めてこれを拒否。
2018年7月26日 三浦氏が劇団のメーリングリストにてA氏の退団を通知/Aさんの送別会が開催される。
2018年7月27日〜31日 劇団のホームページからAさんのプロフィール等が削除
2018年8月 地点、退職理由を自己都合とし、解雇であると認めず。ハローワークへの離職票提出拒否
2018年10月初旬 Aさんより地点に対して、ホームページにAさんの退団情報を掲載すること、解雇予告手当を支払うこと等を求める通知送付
2018年10月下旬 地点よりパワハラを認めない旨の書面が届く。解雇予告手当相当額の支払あり。

団体交渉中の地点側の態度、急かされる共同声明

藤森弁護士:これを受けてAさんは、映演労連フリーユニオン(組合)に団体交渉を依頼することになりました。団体交渉の中でも、地点は解雇ではなかったこと、ハラスメントがなかったことなどを主張するとともに、三浦氏らはAさんに対して二次加害と言える発言を繰り返しました。そして、団体交渉の最中、京都市から2020年1月16日に「三浦氏が2020年4月1日にロームシアター京都の館長に就任する旨」の発表が行われました。これに続いて、地点が1月29日に「地点の劇作の現場において、ハラスメント行為が行われ、かつ、それが看過されるようなことは一切ありませんでした」などとする声明を発表。その声明では、三浦氏以外の俳優が連名で表記されていました。Aさんは、地点の俳優がAさん同様、三浦氏のハラスメントの被害者と言える立場であるにも関わらず声明に名前が表記されていることについて、あらためてショックを受けました。

これを受けて、組合が2020年2月1日に団体交渉の経緯報告に関する発表を行いました。地点側は2月6日に開催された第5回の団体交渉の後、具体的な和解案について組合側に提示し、2月21日までに回答するよう求めてきました。この間、2月13日に平田オリザさんが三浦氏のハラスメントに関して声明を発表し、2月14日には演劇関係者有志が京都市に公開質問状を送付いたしました。これを受けて、京都市は2月28日に「ロームシアター京都新館長就任に係る対応について」という文章を発表し、三浦氏が「交渉事案があるものの、パワハラの事実はなく、誠意をもって解決するので心配しないでほしい」と(京都市に)伝えていたことが明らかにされました。その後、2020年3月3日に第6回の団体交渉が開かれました。地点は早急に和解について話を進めるよう組合側に要求し、「3月4日21時までに和解が成立できなければ、Aさんに対して訴訟の提起を行う」と伝えました。組合とAさんは、3月4日の深夜まで和解案について協議するなどしてやりとりを続けました。そして、3月5日の早朝に修正案を地点に送るなど、地点側から訴訟提起をちらつかせられる中で、和解の検討を重ねました。3月5日当日に組合の担当者から「地点との交渉が決裂した」といった報告がなされるなど、目まぐるしく状況が動く中で、Aさんは和解案に応じなければならない状況に追い込まれていきます。

和解に関しては、地点と組合とAさんの3者を当事者として和解書を締結するということで話が進んでいきましたが、地点が「共同声明だけは3月5日中に出したい」ということを強く要請したため、和解書の締結前に地点と組合が3月5日に共同声明を出すに至りました。このように、地点が共同声明を3月5日に出すことを強く要請したのは、「Aさんとのハラスメント案件の解決を図ることが、ロームシアター京都館長就任の条件であったため」であると考えております。地点は、和解案のやりとりに関してもAさんに早急に判断するように迫り、在籍時と同様のハラスメントと言える態度を持ってAさんに接し続けていたと言えます。

団体交渉から「解決」の共同声明まで
2019年5月 映演労連フリーユニオンから団体交渉の申し入れ
2019年8月5日 地点より団体交渉についての日程の提案が届く
2019年9月 三浦氏に館長就任を打診することについて市内部で検討
2019年9月8日 第1回団体交渉
2019年9月26日 第2回団体交渉
2019年10月 京都市から三浦氏に打診 三浦氏「光栄。身の引き締まる思い。パワハラ等に関する交渉事案があるが心配しないでほしい」旨の発言
2019年11月14日 第3回団体交渉
2019年12月4日 地点よりAさんの退団の告知文の案が届く
2019年12月12日 第4回団体交渉
2020年1月16日 京都市が三浦氏のロームシアター京都館長就任について発表
2020年1月29日 地点による声明発表「地点の劇作の現場において、ハラスメント行為が行われ、かつ、それが看過されるようなことは一切ありませんでした」
2020年2月1日 映演労連フリーユニオンより団体交渉の経過報告を発表
2020年2月6日 第5回団体交渉
2020年2月13日 平田オリザ氏による声明発表
2020年2月14日 演劇関係者有志による京都市への公開質問状発表/地点から解決案についての提案が映演労連フリーユニオンに届く。2月21日までの回答を求められる
2020年3月3日 第6回団体交渉
2020年3月5日 地点と映演労連フリーユニオンによる共同声明発表(Aさんの署名捺印なし)/三浦氏、京都市音楽芸術文化振興財団に「元劇団員を含め関係当事者間で解決に至った」旨の報告
※赤字は京都市資料情報による補足

Aさん署名捺印なしの共同声明、2,500万円の損害賠償請求予告

藤森弁護士:地点と組合の共同宣言が出された翌日の3月6日に、三浦氏は今後ロームシアター京都に関わる予定のあるアーティストに対して、「Aさんとの問題が解決した」ことを伝えるとともに、「パワハラはなかった。お金の問題だった」という発言を行い、そもそもハラスメントの事実がなく、Aさんが金銭目的で地点に対してハラスメントの被害を訴えたかのような、Aさんを誹謗中傷する発言を行いました。この時点で和解書の締結は無効であり、そもそも和解していなかったのでありますが、仮に和解が成立していたと解釈したとしても、三浦氏は和解書に定められていた口外禁止条項に違反する行為を行っていたということになります。三浦氏の発言を聞いたアーティストがこの内容について、Aさんを支援していた知人に伝えたことで、Aさんは三浦氏の発言の内容を知ることとなりました。Aさんは、三浦氏がAさんの誹謗中傷する発言を行っていることに絶望し、このまま和解書に署名捺印して和解を成立させてよいのかどうかについて悩みに悩むことになりました。Aさんは、ハラスメントの事実に向き合わず、「Aさんが金銭目的である」と誹謗中傷する三浦氏の行為は看過できるものではなく、「和解書に署名捺印することはできない」と判断し、組合にもその旨を伝えることになりました。

この間に、京都市は3月19日に「三浦基氏のロームシアター京都館長就任の延期について」と題する広報を行いました。ここでは、「パワハラ及び不当解雇に関する交渉事案について、3月5日に『元劇団員を含め関係当事者間で解決に至った』旨の報告を三浦氏から受けました。」と公表した上で、三浦氏の館長就任を1年延期する旨を発表しました。京都市の発表にあたって、京都市からAさんへのヒアリングは一切行われておりません。

地点は、2020年5月8日に組合に対して、もともと地点・組合・Aさんの3者間で締結する予定だった和解書について、「地点と組合の2者間だけでもいいので、和解書を締結させたい」と連絡しました。これに伴い、地点と組合の2者間での和解書の調印が行われました。当然、地点と組合の保有している和解書には、Aさんの署名捺印はございません。その後、Aさんは9月16日に地点と京都市に対して抗議文を送付することになりました。地点に対しては、3月6日に三浦さんが行ったAさんへの誹謗中傷発言について謝罪・撤回・共同声明の削除等を求めています。また、和解が成立していないにも関わらず、地点からAさんに振り込まれていたお金について返還したい旨も主張いたしました。

京都市に対しては、組合が京都市に対して行った公開質問状に対する回答がないことや、Aさんへのヒアリングがまったく行われていないにも関わらず、京都市が三浦さんの発言のみを信頼し、京都市の広報資料に三浦さんの発言として、「交渉事案があるものの、パワハラの事実はなく、誠意をもって解決するので心配しないでほしい」などの具体的な主張を掲載したことに抗議する旨や、三浦さんのハラスメントに対して第三者委員会の設置・調査の実施を求める旨を主張いたしました。抗議文に対して、地点からは「3月5日の時点で和解が成立している」こと、「3月6日にAさんを誹謗中傷する発言を行っていない」といった回答が行われました。その後、当職(藤森弁護士)が地点の代理人に対して改めて、地点から振り込まれていたお金を返金したい旨を連絡すると、地点の代理人から、「和解が成立しているため、返金を受けることができない」「Aさんが口外禁止条項に違反しているので、仮に返金がされたとした場合、損害賠償金の一部として受けとる」といった回答がなされました。

これを受けて、私のほうからあらためて、「不当利得となっているお金を返金する」ことと、地点が主張する「Aさんの口外禁止条項違反」の事実について特定するよう求めました。そもそも和解が成立していないため、Aさんが口外禁止条項違反になることはないと考えていますが、地点が主張している事実がどういったものか特定してもらうために、この質問を投げかけました。その後、12月1日に地点代理人はAさんの口外禁止条項違反の具体的な事実の特定をすることなく、「口外禁止条項違反や和解書への署名・捺印を行わなかったことなどについて、債権侵害であり、不法行為が成立しており、地点に2,500万円をくだらない損害が生じている」として、Aさんに対して損害賠償請求訴訟を提起する予定であることを通告してきました。

次に、京都市の対応についてお伝えいたします。Aさんが送付した抗議文に対して、京都市から10月8日に回答がございました。回答の中では、Aさんが求めていた三浦さんのハラスメントについての第三者委員会の設置・調査については、「京都市がハラスメントの交渉事案の当事者ではないので、行わない」とのことでした。また、Aさんの抗議に対する謝罪文の掲載や再発防止策については、「今後検討する」とのことでした。その後、私のほうから京都市に対して何度か進捗について問い合わせたのですが、担当者からは具体的な回答はございませんでした。そして、昨年2020年12月24日には、京都市、京都市音楽芸術文化振興財団、三浦氏の3者が記者会見を開き、三浦さんの館長就任見送りが発表されています。

三浦氏の誹謗中傷からAさんへの損害賠償請求予告まで
2020年3月6日 三浦氏がロームシアター京都に関わるアーティストに対してAさんを誹謗中傷する発言を行う
2020年3月19日 京都市が「三浦基氏のロームシアター京都館長就任の延期について」発表
2020年5月8日 地点が映演労連フリーユニオンに対して、地点と組合の2者間での和解書締結を要求 
2020年7月22日 岡根弁護士、豊山弁護士、磯谷弁護士、亀石弁護士によるロームシアター京都館長問題についての情報公開の内容公表 
2020年9月16日 Aさんが地点と京都市に対して抗議文を送付
2020年10月6日 藤森弁護士がAさんの代理人として地点に対して受任通知送付
2020年10月16日 京都市がAさんに対して回答書送付  
2020年12月1日 地点からAさんに対して2,500万円の損害賠償請求訴訟を求める通知書を送付
2020年12月24日 公益財団法人 京都市音楽芸術文化振興財団の調査報告「ロームシアター京都館長人事及び本件に係る信頼回復の取組について」発表
※赤字は京都市資料情報による補足

Aさんから、三浦氏によるハラスメントの実態、現在の心境

本日は、お集まりいただきありがとうございます。少し緊張しています。後悔のないように、誠実にお話ししたいと思います。今日ご参加いただいた弁護士の先生方や、まわりで支えてくださる方のお力添えもあり、自分の言葉で話す機会をいただいたことに感謝しています。まず、どうしても「これだけは言いたい」ということがあります。私は、演劇が好きです。だからここまで頑張ってきたし、これから先の未来のことも、大切に思っています。今日、皆様に名乗る名前が無いことを、申し訳なく思っています。様々な社会問題について、お名前を出して活動されている方を、心から尊敬しています。できれば、私もそんなかっこいい人になりたかったです。ですが、今は体調が不安定なこともあり、個人的な問い合わせに対応できない可能性があることを考えて、今日は匿名でお話しすることにしました。

私はただ、足元を見て坂道を登ってきたような、先が見えない中で、とにかく走ってきたような気がします。私は当初、このように事が大きくなるとは、一切思っていませんでした。今も戸惑う部分があります。今日ここでお話しするに至るまでに、色々なことがありました。今、私はただ悲しいと思っています。私が最初に、自分に起きたことを受け流すことなく、きちんと話し合おうと思ったのは、自分に何が起きたのか知りたいということだったと思います。一連の出来事について、対等な立場で話し合い、地点に責任のある部分については対応していただく。対等な立場で、それができると信じていました。三浦氏、地点がハラスメントについて話し合う姿勢を見せないことで、私の傷は深まっていったと考えています。また、自分でも驚くほど長く、後まで影響があったのは、入団前に使っていた芸名を使えなかったということです。名前とアイデンティティは深くつながっています。これまで使用してきた芸名を使えなかったことで、アイデンティティを奪われたと感じています。

次に、24日の会見を受けて、感じていることをお話します。京都市・財団・三浦氏の会見で、私側から地点に文章を送ったことが明らかになりました。「三浦氏が館長に相応しくない」という内容と説明があったそうですが、事実と齟齬があります。三浦氏への抗議文は、あくまで三浦氏の誹謗中傷発言への抗議と謝罪を求めるものです。私はこれまで、三浦氏と地点が、これまでの自分自身や、組織のあり方について向き合ってくれることを望んで、抗議や団体交渉を行なってきました。それは私の心の傷や名誉の回復に必要なこと、そして、今後のハラスメントの抑止につながることであったからです。しかし、解雇から団体交渉、そして現在に至るまで、三浦氏の態度が誠実なものであるとは受け止められませんでした。

三浦氏の3月6日の誹謗中傷発言にも、私は強いショックを受けました。自分の切実な思いが、まさか「お金の問題」という言葉で踏みにじられるとは思ってもいませんでした。また、発言の相手がロームシアターに関わりのあるアーティストでもあったことから、私を貶めることで、自分に非がないように見せる三浦氏のやり方に疑問を持ちました。これまでの努力が一瞬で砂となり、吹き飛ばされるような……何もかもが無駄だったと思うしかないような、苦しい時間でした。それでもまだ、私は地点との対話の可能性を捨てきれませんでした。しかし、どのようにこの件を進めていくか考えていく中で、様々な方が色々な表現で「三浦氏は変わらない」とおっしゃるのを聞き、「これだけ沢山の人が同じことを言うのだから、きっとそうなのだろう」「三浦氏に問いかけを続けても答えは返ってこない。そのことを受け入れなければならない」と考えるようになりました。対話を諦めたとき、私は自分の傷が地点との交渉の中で癒されることも諦めました。そのことを、本当に悲しく思っています。

12月1日に、地点代理人を通じて、損害賠償請求の訴訟をするという予告通知が届きました。2,500万円という高額な請求に、主張の根拠や金額の正当性を考えるよりも先に、体がすくみました。「社会的に殺される」と本気で思いました。身を守りたいと強く思いましたが、具体的にどうしたらいいかはわからず、途方に暮れました。「これから先ずっと、友人との楽しい食事や、買い物のたびにお金のことでびくびくしなければならないのか」と、人生に暗い影を落とされたようでした。

京都市への文書は、館長就任内定後の対応によって私の名誉が傷つけられたこと、組合からの質問状や抗議文に返答がないことを抗議するものでした。京都市の対応の不備により、私はより大きな流れに巻き込まれていくことになりました。京都市からの返信には「謝罪については今後検討する」と明記されています。しかしながら、会見後にも私への連絡は受けていません。組合から送った質問状や抗議文を無視されたことに対する抗議であったのに、同じことがまた起きていると感じています。しかし、発表された文書のなかで、京都市及び財団が対応の不備を認めたことは、ひとつの前進であると捉えています。

私が地点への入団を検討していたとき、判断材料の一つとなったのが、地点が公共劇場と作品を発表していることでした。私が初めて地点の作品を観たのも、公共の劇場です。公共劇場から仕事を任される社会的信頼のある劇団は、創作に関する心理的安全も守られているのだろうと思っていました。2020年度も三浦氏は公共劇場主催で作品の発表を行い、戯曲賞の審査員を務めています。公共劇場のあり方として、ハラスメントに対して先進的なコンプライアンスを持ってほしいという願いがあります。亀石先生たちが請求し、公開された公文書からは、現場で実務を行うロームシアターの職員の方の、劇場に対する誇りを感じました。「レパートリー作品の創作現場でハラスメントに関する意見交換が行われた」という話も聞いています。現場でハラスメントについて考える時間を持ってくださった方々がいることに、希望を感じています。そのような取り組みが、広がっていくことを望みます。

今回、これまで情報公開してこなかった内容をハラスメントの事例としてあげました。中には、インパクトのある発言もあったかと思います。これらの発言を伏せてきたのは、組合のチラシを作る時点で、地点との対話の可能性を信じていたこと。三浦さんから演出家としての活動の場を奪うことが私の目的ではなかったからです。しかし、藤森先生からご説明いただいたような発言の数々を聞いて、同様のハラスメントが繰り返されることを心配せずにはいられませんでした。自分よりも若い世代への影響も心配でした。同じことが繰り返される可能性が高いことが、私に和解の道を選ばせず、ここまで歩む理由のひとつとなりました。

私は、演劇から沢山のことを学んできました。だからこそ、「今自分だけがよければいい」ということではなく、今後の舞台芸術業界への影響ということも考えながら、歩みを進めてきました。「私が疲れて抗議を諦めれば、舞台芸術業界のハラスメントに対する理解は大きく遅れる」と思いました。

そんな中で、いちばんぐるぐると悩んだのは、地点に所属する俳優についてでした。2018年8月以降、一度も会っておらず、直接意見を聞けていないからかもしれませんが、彼らのことをどう思えばいいのか、どう考えを整理したらいいのか、わかりません。彼らとの関わりは、間が空く期間もありながら一年という短いものです。それなのに、どうして割り切ることができないのだろうと、自分でも不思議です。

団体交渉中に三浦氏と他の劇団員の連名で出された声明が話題になりました。私は俳優のみなさんが、傍観者としての責任を問われることを望んでいませんでした。現状のハラスメントに関する理解から考えると、周りの体制も問題になると思いますが、地点の体質を考えると、俳優が自らの意思を持ち続けることは、とても難しいことではないかと思います。私に向けられた言葉ではありませんが、本番でミスをした俳優に対して、その人がいない場で、他の劇団員に対して、強い言葉で責めるところも聞いています。そのような言葉を聞かされて、少なくとも私は萎縮しました。つねに「三浦さんはそういう人だから」という言葉や態度で、こちらが許容するように求められていると私は感じていました。何年もそういう環境が続き、毎日のように顔を合わせる人、今後も関係を続けていく人に、何かを言うことは難しいのではないでしょうか。

地点から出された連名の声明を見たときも、私はまず、俳優への暴力を感じました。劇団や法人である以上、つねに解散の可能性は否定できない。もしそうなれば、劇団員はこの文章を背負って、別の場所で活動しなければならない。そういった俳優への配慮が、一切欠けていると思いました。その声明が私への攻撃も含むものであることに気づいたのは、それを思ったあとのことです。私には、声明文を発表するにあたって、地点の中でどのような話し合いがあったのか、わかりません。しかし、連名を選ぶという形で、俳優にハラスメントの二次加害に加担させたと受け止めています。このことの責任は、三浦氏に重く受け止め、考えてほしいと思います。

最後になりますが、私はこのことで自分が何か利益を得ようとは思っていません。ただ少しでも、芸術分野における創作環境が良くなるなら、自分もそこに関わる一員として、未来でこの活動の恩恵を受けるかもしれません。そういう未来に向かってボールを投げるような、効果の測りづらい活動です。ずっと同じような経験をして、苦しむ人が出てほしくないという気持ちが、私の強い原動力となっています。声を上げたくても上げられない人、上げられなかった人のことを、たくさん考えます。私は本当にたまたま通っていた学校で、俳優の権利やハラスメントについて学ぶ機会がありました。その経験があったからこそ、創作現場の心理的安全や、創作に臨む際の態度に、自分の意思を持てたと感じています。大きな視点で見れば、私がこのようにアクションを起こし、それを支持して下さる方がいたことも、これまで多くの方が行なってきた取り組みの成果でもあるのだと感じています。今回のアクションについて、受け止め方は様々あると思います。誹謗中傷や喧嘩ではなく、建設的な議論が広がることを望みます。ここまでやってきて、正直疲れたと思う部分もあります。受けた傷の回復もできないままに走り続けてきました。もう少し走らなければならないようですが、見守っていただければ嬉しく思います。もちろん、ご意見は様々にあると思います。このことが、何かを考えるきっかけになれば幸いです。

私からの意見は以上です。あらためて、この件に興味を持っていただき、ありがとうございました。

「主体的に館長就任撤回の判断をするべきだった」京都市の対応の問題点

亀石弁護士:館長就任見送りに至る経緯について、疑問に感じていることと、京都市の対応の問題についてお話しをいたします。昨年12月24日付の京都市の発表によれば、三浦氏から(就任見送りの)申し出があったとのこと。「交渉事案の相手方から問題を再度提起され、現状で公共劇場の館長職に就任することは難しいのではと思案している」との申し出があったことから、3者合意の上で見送ることになったと発表しています。しかし、先ほどご説明しました通り、京都市も三浦氏と同じタイミングで、昨年9月にAさんからの抗議文を受け取っています。京都市は三浦氏との間で、「新たな信頼関係を損なう事態が客観的に生じたと考えられる場合には館長就任を撤回する」ということを確認していたのですから、京都市はAさんからの抗議文を受け取って、和解が成立していないという事実を知った時点で、主体的に館長就任撤回の判断をするべきだったのではないでしょうか。三浦氏からの申し出を受け、3者合意の上での見送りを決めたというのは、経緯として不自然だと感じています。

京都市はAさんからの抗議文に対して、10月8日付で回答書を一応は送っていますが、その中で館長問題については、一切触れていません。また、Aさんが求めるヒアリングを行うこともなく、その後、藤森弁護士から何度か問いあわせをしても、それに対して何も具体的な回答をしないまま、12月24日の発表に至っています。今回、京都市は「ロームシアター京都館長問題に係る信頼回復の取り組みについて」という資料の中で、「結果として、被害を訴える方のお立場を蔑ろにし、また、ハラスメントと戦おうとする方々の意思に水を差すことになってしまいました。」と述べていますが、第一に「京都市は昨年9月にAさんからヒアリングを求めたにも関わらず、今までに一度もAさんに対するヒアリングを行っていない」。また、第二に「Aさんが和解書にサインをしていないことを知ったにも関わらず、主体的に館長就任撤回の判断をしなかった」。そして、第三に「こうしたことの批判を回避するために、京都市はAさんから抗議があった事実自体をこれまで対外的に一切公表していません」。こうしたことを踏まえますと、「京都市のAさんへの対応は極めて不誠実である」と言わざるを得ません。結局、三浦氏の申し出を受けて、3者合意の上で見送りすることにしたという結論は、3者がそれぞれのダメージを最小限に止めたいという思惑をすりあわせた結果にすぎないのではないか、と考えざるをえません。

また、京都市は昨年2月28日付の広報資料において、「地点とAさんたちの交渉事案あるものの、パワハラの事実はない」との三浦氏の主張のみに基づいた情報を公開いたしました。行政の自己都合のため、Aさんの承諾も無く、フェアでない形で情報を公表したのです。これは、行政が民事に介入して状況を混乱させ、交渉に影響を与えたということになり、批判されなくてはならないと思っています。「ハラスメントと戦おうとする方々の意思に水を差すことになってしまいました」というレベルの問題ではないということを、京都市には自覚していただきたいと思います。

最後に、私たちがAさんの代理人として、今後のことをどう考えているかをお話しします。昨年12月1日に地点がAさんに対して、2,500万円の損害賠償訴訟の提起を予告してきました。おそらく、この2,500万円という損害額は、三浦氏がロームシアター京都の館長になれなかったことによる逸失利益ということなのだろうと思います。しかし、そもそもの問題は、三浦氏のAさんに対するパワーハラスメントであるにも関わらず、三浦氏はいまだ解決に至っていないことの責任、さらにはロームシアター京都の館長に就任できなかったことの責任を、すべてAさんになすりつけようとしているわけです。三浦氏がやろうとしていることは、「きわめて不当なスラップ訴訟」であると言わざるを得ません。私たちがAさんの代理人団に加わったのは、Aさんに対し、スラップ訴訟が提起された場合には、徹底的に戦わなければならないと思ったからです。勇気を振り絞って声を上げたAさんを、私たちは全力で守り、演劇界、ひいては社会におけるパワーハラスメントに泣き寝入りせず戦っていく所存であることを、お伝えしたいと思います。

質疑応答

――2020年3月5日の共同声明は、Aさんの同意なしに発表されたということでしょうか? ユニオン(組合)が声明内容に同意したのはなぜでしょうか?

藤森弁護士:地点側から予告されている訴訟提起の中で、かなり争点として問題になる部分だと思いますので、回答については控えさせていただきたいと思います。

――Aさんはユニオン(組合)に対してどう思われていますか?

Aさん:団体交渉ができたのはユニオンのおかげであるので、感謝している部分もありますし、今も連絡を取り合っています。ただ、心境については、「今は複雑な思いがある」と答えさせていただきます。

――今日話された三浦氏の発言について、録音などの証拠は残っていますか?

藤森弁護士:この点に関しても、訴訟の争点となってくる部分がかなりありますので、本日の回答は控えさせていただきます。

――訴訟の可能性について言及されていましたが、今後三浦氏に対しては何かアクションを起こされる考えはありますでしょうか?

亀石弁護士:Aさん側から三浦氏や地点に対して訴訟を起こすということは、「今の段階では検討中」です。と言いますのも、三浦氏からAさんに対して「お金が目的だった」といった発言が過去にあり、そのことでAさんが非常に委縮しています。そして、今日、勇気を持って「金銭目的ではない」ということをはっきりとおっしゃいました。こういった中で、三浦氏に対して訴訟を起こすということについては、非常に慎重になっています。なので、三浦氏から訴訟を起こされた場合には徹底的に戦うというスタンスではありますけれども、こちらから何かアクションを起こすかということは、今のところは未定です。

――地点から、具体的な訴訟提起の動きがあったのでしょうか? 損害賠償訴訟の予告通知書には、いつ訴訟を起こすのとかといった具体的なことが書かれていたのでしょうか?

亀石弁護士:訴訟を予告してきた通知書には「近々、訴訟を提起しますので」というような書き方がされていました。ですので、具体的にいつということではないのと、何か訴状が送られてきたという段階ではありません。

――2020年12月24日の京都市による発表「ロームシアター京都館長人事及び本件に係る信頼回復の取組について」では、有識者会議の意見も公開されています。有識者会議は機能していると思われますか?

亀石弁護士:有識者会議においては、委員の方から、例えば館長選任のプロセスが不透明であったこと、館長の権限が(三浦氏の代から)非常に大きくなること、A氏に一切の事実確認をしていないといった問題点など、様々な適切なご指摘がありました。にも関わらず、これから館長の就任・選任をどう進めるのか、A氏の問題をどう受け止め、京都市としてどうハラスメント問題に取り組んでいくのかは発表されていません。また、A氏に対する謝罪もないといったところからすると、せっかくの有意義な有識者会議であったにも関わらず、その意見が活かせているのかは疑問に思います。

取材・文=藤本 洋輔

【参考資料】
・2020年2月28日「京都市:ロームシアター京都新館長就任に係る対応について」:
https://www.city.kyoto.lg.jp/bunshi/page/0000265475.html
・2020年3月19日「京都市:(お知らせ)三浦基氏のロームシアター京都館長就任の延期について」:https://www.city.kyoto.lg.jp/bunshi/page/0000267073.html
・2020年12月24日「ロームシアター京都館長人事及び本件に係る信頼回復の取組について」:https://rohmtheatrekyoto.jp/news/61123/
・「ロームシアター京都館長人事及び本件に係る信頼回復の取組について」(詳細PDF):https://rohmtheatrekyoto.jp/wp-content/uploads/5636aed8887352204660d59f517a20a5.pdf

・2020年7月22日「ロームシアター京都館長問題|情報公開でわかったこと。」(Aさん代理人らによる情報公開ページ):https://9481461644.amebaownd.com/

【時系列表】
2017年5月 Aさんが地点の劇団員オーディションに応募
2017年6月 Aさんがオーディションに合格
2017年9月〜11月 『どん底』の稽古・公演
2018年1月〜3月 『正面に気をつけろ』の稽古・公演
2018年4月〜6月 『山山』の稽古・公演
2018年6月〜7月 『忘れる日本人』の稽古・公演
2018年7月23日 Aさんと三浦氏の面談。三浦氏から退団するように伝えられる。/Aさんはこれを拒否
2018年7月25日 Aさんと三浦氏の再度の面談。改めて三浦氏から退団するようにと伝えられる/Aさんは改めてこれを拒否
2018年7月26日 三浦氏が劇団のメーリングリストにてA氏の退団を通知/Aさんの送別会が開催される
2018年7月27日〜31日 劇団のホームページからAさんのプロフィール等が削除
2018年8月 地点、退職理由を自己都合とし、解雇であると認めず。ハローワークへの離職票提出拒否
2018年10月初旬 Aさんより地点に対して、ホームページにAさんの退団情報を掲載すること、解雇予告手当を支払うこと等を求める通知送付
2018年10月下旬 地点よりパワハラを認めない旨の書面が届く。解雇予告手当相当額の支払あり
2019年5月 映演労連フリーユニオンから団体交渉の申し入れ
2019年8月5日 地点より団体交渉についての日程が届く
2019年9月 三浦氏に館長就任を打診することについて市内部で検討
2019年9月8日 第1回団体交渉
2019年9月26日 第2回団体交渉
2019年10月 京都市から三浦氏に打診 三浦氏「光栄。身の引き締まる思い。パワハラ等に関する交渉事案があるが心配しないでほしい」旨の発言
2019年11月14日 第3回団体交渉
2019年12月4日 地点よりAさんの退団の告知文の案が届く
2019年12月12日 第4回団体交渉
2020年1月16日 京都市が三浦氏のロームシアター京都館長就任について発表
2020年1月29日 地点による声明発表「地点の劇作の現場において、ハラスメント行為が行われ、かつ、それが看過されるようなことは一切ありませんでした」
2020年2月1日 映演労連フリーユニオンより団体交渉の経過報告を発表
2020年2月6日 第5回団体交渉
2020年2月13日 平田オリザ氏による声明発表
2020年2月14日 演劇関係者有志による京都市への公開質問状発表/地点から解決案についての提案が映演労連フリーユニオンに届く。2月21日までの回答を求められる。
2020年3月3日 第6回団体交渉
2020年3月5日 地点と映演労連フリーユニオンによる共同声明発表(Aさんの署名捺印なし)/三浦氏、京都市音楽芸術文化振興財団に「元劇団員を含め関係当事者間で解決に至った」旨の報告
2020年3月6日 三浦氏がロームシアター京都に関わるアーティストに対してAさんを誹謗中傷する発言を行う。
2020年3月19日 京都市が「三浦基氏のロームシアター京都館長就任の延期について」発表
2020年5月8日 地点が映演労連フリーユニオンに対して、地点と組合の2者間での和解書締結を要求 
2020年7月22日 岡根弁護士、豊山弁護士、磯谷弁護士、亀石弁護士によるロームシアター京都館長問題についての情報公開の内容公表 
2020年9月16日 Aさんが地点と京都市に対して抗議文を送付
2020年10月6日 藤森弁護士がAさんの代理人として地点に対して受任通知送付
2020年10月8日 京都市がAさんに対して回答書送付  
2020年12月1日 地点からAさんに対して2,500万円の損害賠償請求訴訟を求める通知書を送付
2020年12月24日 公益財団法人 京都市音楽芸術文化振興財団の調査報告「ロームシアター京都館長人事及び本件に係る信頼回復の取組について」発表
※赤字は京都市資料情報による補足

(執筆者: 藤本 洋輔)

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