今さら人に聞けない!節分のまめまきの由来や決まり事を徹底紹介
節分のまめまきには明確な理由があります。さらにまめまきの手順にもさまざまな決まり事があるのです。これまではただ行事の1つとして楽しんでいただけという人も、正しいまめまきの決まり事を学んで、まめまき本来の効果を最大限取り入れましょう!
節分にまめまきをする理由って?決まり事もある!
節分の日にまめまきをするという家庭は多いことでしょう。しかし、節分にわざわざまめまきをする理由や、まめまきの手順にもいろいろと細かい決まり事があることは、あまり知られていないようです。
そこで本記事では節分で豆まきをするようになった理由や、まめまきを行う手順に関する決まり事について調査してみました。まめまきの正しい手順を知って、家の中の鬼をすべて追い出しましょう!
節分の由来とまめまきをする理由
元々節分と呼ばれる日は年に4回ありました。立春・立夏・立秋・立冬の前日を「季節を分ける日」として節分と呼んでいたのです。ではなぜ立春前の節分が重要視されて今に残っているのでしょうか?
実は旧暦では立春が元旦と重なることが多かったため、節分は大みそかと重なる日でもあったのです。そのため室町時代のころから節分といえば立春前となり、「年越しの大祓(おおはらえ)」として重要視されるようになったといわれています。
ではなぜまめまきが行われるのでしょうか?理由は1年の変わり目である節分の夜に、最も鬼や魔物が姿を現す時でもあるとされたためです。そこで豆まきでこれらの災厄を追い払うようになりました。
このまめまきは中国から伝わった「追儺(ついな)」に由来し、平安時代には宮中行事として行われていたものです。しかし初期のころは鬼祓いを司る役人が鬼に扮した者たちを、祓えの力があるとされる桃で作った弓と、わらの矢を使って追い払うというものでした。
やがて追儺(ついな)はまめまきに変わり、室町時代以降から時間をかけて庶民にも広がり、寺社では「まめ打ち」という形で行われるようになり、庶民の間では「まめまき」が定着していったのです。
節分にまめまきで払う鬼って何?
鬼は古来より邪気の象徴として、さまざまな形で恐れられてきました。日本語の鬼は「陰(おん)」という言葉を名前の起源とするといわれています。この「陰(おん)」は、目に見えない気の中でも邪気のことを指すことから、転じて鬼となったのです。
鬼は目に見えないよう隠れている怖いものを指すことから、災害や病気、飢饉などのように、人の手に負えないひどい災厄のすべては鬼が起こしているものと考えられてきました。
そんな鬼が住んでいるのは丑寅の方角とされ、それが鬼門と呼ばれる理由です。丑寅の方角に住んでいることから、鬼の姿は牛(丑)の角と虎(寅)の牙を持った異形の姿と考えられました。衣服も虎柄なのは、この方角からきているのです。
鬼の色の意味
赤鬼や青鬼のように、鬼にはさまざまな色がついています。この鬼の色にはそれぞれ意味があるのです。赤鬼には「過ぎた欲望」、青鬼には「怒りや憎しみ」、緑鬼には「不健康」といった意味があるとされています。
まめまきをする時には自分の心に住まうどんな鬼を祓いたいか、しっかり意識しながらまくとよいでしょう。
まめまきに使う豆はなぜ大豆?
追儺(ついな)がまめまきに変わった理由は、広範囲を厄祓いしやすいということと、大豆ならではの理由があります。大豆はまいた時に立つ音が大きく、鬼や魔物を祓うのに最適とされました。
さらに魔物の目である「魔目(まめ)」に当てることで魔を滅する「魔滅(まめ)」に通じるともされたのです。しかも大豆は穀霊が宿るといわれる五穀の1つでもあるため、昔から神事の際に用いられる「神聖な穀物」でもありました。
そんな大豆ですが、まめまきに使う時には炒った豆を使うことが決まり事です。もし生のまままいた場合、拾い逃した豆から芽が出てしまうことがあります。そうなると縁起が悪いとされているのです。さらに「炒る」ことが「射る」にも通じているので、炒り豆を使用しましょう。
節分のまめまきの手順
地域や家庭によってしきたりに違いはありますが、一般的な家庭でのまめまきの手順をご紹介しましょう。
まずは福豆の準備から始めます。福豆は必ず炒ってから、まめまきの夜が来るまで枡や神様へのお供え物用の器である三方に入れてから、神棚にお供えしておきましょう。神棚がない家では、目線よりも高い位置に白い紙を敷いて、神棚の代わりにしてもよいでしょう。
次に鬼が家の中に入ってくるのを防ぐために、ヒイラギの枝に焼いたイワシの頭を刺した「柊鰯(ひいらぎいわし)」を門や玄関に飾ったら、まめまきの準備も完了です。鬼は丑寅の刻と呼ばれる真夜中にやってくるため、まめまきも夜になるまで待ちます。
午後8時~10時ごろにまめまきを始めるため、まずは玄関やベランダ、窓など、すべての戸や入り口を開けましょう。必ず家族全員そろってまめまきを始めます。
豆をまくのは年男の役目です。本来は一家の主人を指しますが、現在ではその年に生まれた男性がそう呼ばれます。家や地域によって年男や年女、厄年の人がまめまきをすることも。豆を入れた枡を胸の高さまで上げた左手で持ち、右手で下手投げに投げてください。
まめまきは玄関から各部屋を回っていきます。出入り口で「鬼は外、福は内」と2回ずつ繰り返しながら豆をまいていきましょう。豆をまき終わったら再び鬼が入り込まないように、そして福が逃げないようにすぐに戸締りをします。
最後に「年取り豆」と呼ばれる豆を食べますが、一般的には1年の厄除けのために自分の年齢に1個足した数の豆を食べます。地域によって意味や数にも違いがあり、新年の厄祓いとして1つ多く食べる、数え年として1つ多く食べる、数え年と新年の分で2つ多く食べる、実年齢の数だけ食べるなどさまざまです。
食べる数が多すぎて大変という場合には、「福茶」を代わりに飲むこともあります。作り方は、「喜ぶ」にかけて昆布の佃煮か塩昆布を、めでたい花とされる梅にかけて梅干しを1個、まめまきに使った福豆を吉数の3粒、それぞれを湯飲みに入れてお茶を淹れるだけです。
おわりに
節分のまめまきには、1年の厄を祓ってよい年にするための願いがこもっています。地域によって習慣に違いがあるとはいえ、こめられた思いは変わりません。家族そろって厄祓いをする大切な日として、まめまきを楽しんでください!
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